2018年度第26回 光受容のしくみと視覚の伝導路

 小テストの問題と解答のPDFファイルがこわれていたのか、うまく開かなかったようです。修正しましたので確認して下さい。また、第8章の「要点のまとめ」のうち、p388(50)に誤りがありましたので以下のように訂正します。
  誤:網膜の中心窩付近は杆状体細胞が集中するため( a )が強く、周辺部は( b )が強い。
  
  正:網膜の中心窩付近は錐状体細胞が集中するため( a )が強く、周辺部は( b )が強い。

 今回取り上げた光受容のしくみはかなり複雑です。まだまだ十分に解明されていないところもあるようですが、基本的な部分をできるだけわかりやすく説明したつもりです。ヒトにとって最も情報量の多い感覚ですから、多くの量の情報をより的確に認識できるように複雑なしくみがあるのでしょうか。

 網膜は、眼球壁の最も内側で硝子体と接しています。色素上皮層と神経層からなり、色素上皮層が脈絡膜と接しています。神経層はさらに3つの細胞層に分けてその機能を考えます。

 視細胞は、杆状体細胞と錐状体細胞の2種類があり、機能に違いがあります。この機能の違いは外節に含まれている視物質のはたらきによってつくられています。また、機能の違いはそれぞれの細胞の網膜での分布にも表れ、さらに、網膜の部位による色彩感覚や明暗認識の能力の差となっています。

 視物質のはたらきと、光刺激を受けたときの細胞内で生じる現象を理解するには、かなり分子レベルでの知識を求められます。授業ではかなり簡略化して説明しましたが、オプシンタンパク質とレチナールが結合したロドプシンタンパク質がしくみの鍵を握っています。光刺激を受けるとロドプシンタンパク質の機能が変化して、杆状体細胞ないが過分極します。このことが、双極細胞を興奮(正確には脱分極のみで活動電位は出ません)させ、さらには神経節細胞を興奮させます。神経節細胞の軸索は視神経を構成し、インパルスが視神経を視床外側膝状体へ向かって伝導していきます。

 A組の授業では触れましたが、プリントp378の下図⒝明所での反応の中で、外節円板膜に挿入されているロドプシンタンパク質に組み込まれているレチナールは、図中では「cis-レチナール」となっていますが「trans-レチナール」の誤りですので、訂正します。

 ロドプシンと相互作用するトランスデューシンというタンパク質について簡単に付け加えておきます。嗅覚の受容体の説明で簡単にGタンパク質に触れました。嗅物質受容体と結合していて、状態に嗅物質が結合すると構造が変化して、近傍にある酵素(アデニル酸シクラーゼ)を活性化する役割を演じるタンパク質です。トランスデューシンも同様にGタンパク質で、光刺激を受けて構造変化したロドプシンの作用によって活性化します。杆状体細胞内でのGタンパク質であるトランスデューシンの役割は近傍の酵素であるcGMPホスホジエステラーゼを活性化することです。このcGMPホスホジエステラーゼはcGMPを分解します。cGMPは杆状体細胞の細胞膜にある陽イオンチャネルがに作用して、イオンチャネルを開放する作用を発揮しています。cGMPホスホジエステラーゼの活性化によってcGMPが減少するため、陽イオンチャネルが閉鎖します。

 錐状体細胞内でのフォトプシンの作用も、杆状体細胞内でのロドプシンの作用を同じと考えていいでしょう。色の判別のしかたはかなり複雑なしくみがはたらいています。

 神経節細胞が興奮すると、インパルスは視神経を伝導して視床へ伝えられます。この途中にある視交叉での神経線維の交叉のしかたは、伝導路を理解する上での重要なポイントです。視野が左右反転して網膜に投影していることとともに、自分で図を描くなどして、よく見直しておきましょう。

 来週で年内は最後です。第9章に入り、中枢が末梢での運動をどのように調節しているかを考えます。最初は脊髄を中枢とした機能調節のしくみを取り上げますが、脊髄の構造についてよく復習しておきましょう。