2017年度 第12回 興奮の伝達


 今週はニューロンからの興奮の伝達について、2種類のシナプス、興奮性シナプスと抑制性シナプスの性質を中心に考えました。

 興奮性シナプスとは、興奮性ニューロンをシナプス前ニューロンとして、その終末とシナプス後細胞との間でつくられるシナプスです。興奮性ニューロンの神経終末まで興奮(神経インパルス)が伝導すると、シナプス小胞からエキソサイトーシスによって興奮性伝達物質がシナプス間隙に放出されます。興奮性伝達物質はシナプス後細胞の細胞膜(シナプス後膜)にある自身に対する受容体と結合し、イオンチャネルが開放します。この結果、シナプス間隙からイオンがシナプス後細胞に流入し、脱分極=興奮性シナプス後電位(EPSP)が生じます。単一のEPSPでは閾値を超えないため、多くのEPSPが加重されて閾値を超えると、シナプス後細胞に活動電位が生じます。

 抑制性シナプスに関しては、上の内容を参考にして各自で説明を考えてみましょう。

 シナプス後電位が加重されることを考慮して現象を考えることはあまりないかもしれませんが、シナプス伝達の重要な特徴の1つです。

 神経伝達物質として機能する物質やペプチドは数多く同定されています。まずは有名な物質を取り上げました。来週の授業では自律神経系ではたらく伝達物質であるアセチルコリンのノルアドレナリンについて取り上げます。生理学2&4でも必要に応じて物質名に触れられると思いますが、出てきたらすぐに頭に入れてしまいましょう。

 また、受容体のはたらきは非常に複雑で、現在も神経科学分野における重要な研究対象の1つです。イオンチャネル型受容体と代謝調節型受容体の2つの使い分けについては後期の最後に、自律神経系の機能に関わって改めて取り上げます。

 神経回路は、知識を正しく身につけて、それらを使って論理的に考えられるかどうかの練習です。つまり、興奮性ニューロンと抑制性ニューロン、興奮性シナプスと抑制性シナプス、興奮性伝達物質と抑制性伝達物質の区別がきちんとついているかどうか、そして、これらの知識を使って順序立てて考えられるかどうかです。じっくりと考えてみましょう。声に出して説明してみる、さらに、文にしてみると、どれだけ分かっているのかが分かると思います。できれば他人に聞いてもらったり、見てもらったりして、評価をしてもらうと尚いいでしょう。

 最後に触れたように、来週は、中枢神経系に関する構造と機能は割愛して、末梢神経系に関して取り上げます。解剖学で学んだ内容を見直しておくと、理解しやすいと思います。