第8回 タンパク質の翻訳と翻訳後修飾、輸送、膜輸送(受動輸送)

今日はじめにタンパク質の翻訳をしくみを取り上げました。核酸の文法、つまり塩基の配列をコドンというまとまりで読み替えていくことによってタンパク質の文法に翻訳します。一見複雑なようにみえますが、じっくりと見ていけば単純な法則で成り立っていることが分かるでしょう。生物は遺伝情報をDNAを複製するという形で保存し、また次世代へ伝えていきます。さらに、個体(細胞)の中ではDNA➡RNA➡タンパク質と情報を発現させる(これが遺伝子発現です)ことによって生命を維持しています。

遺伝子発現という言葉はタンパク質が合成されるところまで、つまり翻訳までを指していることが多いですが、タンパク質は遺伝子の情報の通りにアミノ酸がつながっていれば機能するわけではありません。タンパク質にはそれぞれ『正しい形=立体構造』があります。『生理学のための化学』でも説明しているとおり、二次構造、三次構造、場合によっては四次構造が重要です。これらの高次構造をつくるのが小胞体やゴルジ装置などの働きです。

ここまで説明してきたDNAの複製やRNAへの転写、そしてタンパク質への翻訳とその後の立体構成はすべて誤りなく進んでいきます。その結果、我々の健康が維持されています。たとえ、小さな誤りがあったとしても何らかの形で修正されたり、誤りや不具合を含んだものは破壊されたりしてすべて排除されていきます。排除できずに誤りが蓄積していくと細胞ががん化したり、あるいは老化したりしていきます。

後半は細胞膜を挟んで、細胞内外への物質移動のしくみのうち、最も基本的な移動方法である「受動輸送」について説明しました。来週の授業でで、溶質の移動である「拡散」と溶媒(水)の移動である浸透に大きく分けて具体的に考えます。いずれも基本は、今日説明した「広義の拡散」です。現象としては当たり前のことですが、分子の運動という目で改めて見直しておくように。