2018年度 第24回 平衡覚、可視光線の特徴

 平衡感覚はいわゆる五感には含まれません。古来、ヒトが特に認識することなく過ごしてきたということでしょう。したがって、その感覚についてうまく言葉で言い表すことも難しく、なかなか説明しづらい感覚です。そこで、授業では平衡感覚が乱された場合や感覚器官が障害を受けた場合にどのような症状が現れるかを考えました。

 鉛直方向や前後あるいは左右方向への加減速などの受動的な動きによって生じる静的平衡と、頭部の回転などによって生じる動的平衡に分けて、それぞれの受容器の構造と機能を考えました。前者は卵形囊と球形囊(合わせて耳石器)で、後者が半規管です。

 進化的に考えると、元々は聴覚などはなかったと考えられます。現在も海生動物には聴覚がないと考えられる動物もたくさんいます。しかし、水中で生活をしている動物であっても、重力に対して姿勢を維持する必要がありますし、周囲からの水の圧力を受けると体勢が崩れます。こうしたことへの適応から平衡感覚が備わったのでしょう。しかし、水の振動も小さな圧力であれば体勢を崩すことはなく、むしろその周波数の違い感覚し分けることができれば情報として使えます。ここから聴覚が進化したのではないでしょうか。したがって、平衡覚と聴覚は、ほとんど同じ部位に受容器があり、そのしくみも非常によく似ています。

 卵形囊と球形嚢は平衡斑の構造を、半規管は膨大部の構造をしっかりと確認しておきましょう。
BCの授業では卵形囊と球形囊のはたらきの違いについてはっきりと説明しませんでした。球形嚢は上下方向にかかった直線加速度(エレベーターに乗ったときなど)を検出し、卵形嚢は水平方向、つまり身体の前後方向あるいは左右方向にかかった直線加速度(車に乗っているときの加減速など)や頭部の傾きによって生じる加速度を検出しています。
半規管は3つが互いに垂直に交叉していますが、外側半規管が水平方向にあることは説明しましたが、前半器官と後半規管の位置関係をはっきりと説明していませんでした。この2つはともに外側半規管に対して垂直で、正中矢状面と約45度となる平面上に位置し、前半器官が前方に、後半規管が後方にあります。

 有毛細胞は静止状態でもある程度脱分極しており、その結果、感覚神経に対して興奮が伝達されています。したがって、感覚神経(前庭神経)は静止時でもある程度の興奮を送り出しています。ここで加速度運動が生じると、耳石の重さや半規管の動きと内リンパの動きとの間の差によって、感覚毛が一方向へ屈曲します。屈曲する方向によって、内リンパのカリウムイオンが有毛細胞内へ流入しで脱分極が大きくなったり、逆に流入が完全に阻止されて過分極が生じたりします。脱分極が
大きくなると感覚神経のインパルスの頻度が高まり、過分極が生じると感覚神経のインパルスの頻度が低下します。加速度の方向によって、左右で逆になったり、前後で逆になったりするでしょう。

 卵形囊・球形囊と半規管の有毛細胞は前庭神経とシナプス接続し、前庭神経は前庭神経核へ投射しています。前庭神経核は外側核、内側核、上核、下核に区分される大型の神経核です。ただし、有毛細胞の位置と神経核の部位に明確な対応はないようです。この前庭神経核は大脳皮質(一次体性感覚野の一部)、動眼神経核、外転神経核、滑車神経核へのびる神経線維があります。また、一部は脊髄にも伸び、頸随や胸髄、腰髄の運動ニューロンと直接つながっています。単に感覚が生じるというだけではなく、直接運動を引き起こすことができます。

 痛覚や味覚、嗅覚の伝導路では視床下部や大脳辺縁系に情報が送られて、このことが情動反応を引き起こすことにつながっていました。平衡覚では、身体の運動を生じるような経路があることをよく頭に入れておきましょう。

 後半では光、すなわち電磁波の特徴を簡単にまとめました。視覚の適合刺激は可視光線ですが、ヒトが知覚できるというから「可視」光線というのであって、電磁波という物理現象です。波長とエネルギーの違いによって分類され、その利用法も異なっています。『光マップ』で改めて確認しておきましょう。また、電磁波に共通する屈折と分散、特に屈折は来週の授業で取り上げる視覚おける遠近の調節機能を考える上で必須ですのよ組み直しておきましょう。

 今日はプリズムを持っていくのを忘れてしまったため、来週の授業で実物を見ながら屈折についておさらいする予定です。

 『色』というのはじつに不思議なものですが、発行しない物体の色が反射と吸収によって生じるということを理解できていればよいでしょう。

 来週は視覚機能を具体的に考えていきます。視覚器である眼、あるいは眼球の構造については余詳しく説明できませんので、あらかじめよく予習しておきましょう。