バイエルン国立歌劇場1《続き》

 《ホフマン物語》のあらすじを簡単に記します。

第1幕(プロローグ)
 ドイツ・ニュルンベルクにあるルーテル酒場。近くの歌劇場ではモーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》が上演され、歌姫ステラが歌っています。ホフマンが友人のニクラウスと酒を飲みながらステラを待っている。街の有力者(顧問官という肩書きが着いている)であるリンドルフはステラの従僕を買収して、ステラからホフマンに宛てたラブレターを買い取る。ホフマンは酔っ払って、過去の3つの恋物語を語り始める。ここでは冒頭のリンドルフと、最後にホフマンが歌うアリアが聴き所。

第2幕:オランピア
 物理学の教授の家。ホフマンは娘のオランピアを窓越しに見て一目惚れ。一方で、ホフマンはコッペリウスという怪しげな商人から買ったメガネをかける。夜会が始まり、メガネをかけたホフマンはオランピアの美しさと軽やかな歌声に魅了され、一緒に踊る。ところが、オランピアは踊りが止まらなくなり、ついに壊れてしまう。オランピアは教授がつくった機械仕掛けの自動人形でした。なんと言ってもオランピアのアリアがききどころ。超絶技巧で、人間離れしたかのような(すなわち人間ではなく機械だからこそ歌えるような)アリアはこのオペラで最も有名。

第3幕:アントニア
 ホフマンはミュンヘンにいる恋人アントニアを訪ねる。アントニアは歌手だった母の影響で歌うことが好きだが、病気のために父親から歌うことを禁じられている。ホフマンと再会したアントニアは、愛の歌を歌う。医師のミラクルが現れて、アントニアを歌うようにそそのかす。亡くなった母親の亡霊が現れて、同様に歌えと誘うため、アントニアは体力の限り歌い、最後にはなくなってします。この幕ではアントニアがアリア、母親の亡霊やミラクルとともに三重唱など何度か歌声を聴かせてくれます。歌手が歌手の役を演じるという場面で、叙情的な表現力が問われます。

第4幕:ジュリエッタ
 舞台はヴェネツィア。ホフマンとニクラウスが娼婦ジュリエッタの館へ。ここで歌われるニクラウスとジュリエッタの二重唱が《ホフマンの舟歌》として知られています。その後、魔術師のダペルトゥットが大きなダイヤモンドを娼婦のジュリエッタに見せて気をひき、ジュリエッタにホフマンの影を盗むようにそそのかす。ホフマンはジュリエッタの虜になり、恋敵と決闘。ジュリエッタはホフマンの影を奪ってダペルトゥットとどんどらで去って行く。

第5幕(エピローグ)
 再びニュルンベルクのルーテル酒場。ホフマンは3つの失恋話を語り終え、酔いつぶれている。《ドン・ジョヴァンニ》は終演しステラがやってくるが、酔いつぶれたホフマンを見て、リンドルフと立ち去っていく。友人のニクラウスは実はミューズ、つまりギリシャ神話に登場する芸術、音楽の女神。ミューズがホフマンに霊感を与え、ホフマンがミューズをたたえて終わる。

 舞台のつくりはいずれも簡単で、わかりやすい演出でした。また、登場人物が多いのですが、プロローグとエピローグのリンドルフ、第2幕のコッペリウス、第3幕のミラクル、第4幕のダペルトゥットは、いわば悪役。バスでドスのきいた声が理想。2幕から4幕のヒロインはいずれもソプラノ、ホフマンの友人のニクラウスは役としては男性ですが、ミューズも同じ歌手が歌い、女神であるため歌うのは女性、メゾ・ソプラノです。この他に、ルーテル酒場の亭主役、アントニアをつくった物理学者、アントニアの父親、ジュリエッタの恋敵と、多くの歌手が登場します。