METライブビューイング《ランメルモールのルチア》

週末にまたオペラ映画を観に行きました.今度はミッドランドでやっているMETライブビューイングで、ドニゼッティというちょうどシューベルトと同い年のイタリアの作曲家がつくった『ランメルモールのルチア』というオペラです.

実話に基づいたとされる同名の小説(戯曲?)をもとにオペラ用の台本が作られたようですが、舞台はスコットランド、したがってちょっと暗いです.
若い名家の男女の恋が、両家のしがらみゆえに引き裂かれるという、ちょうど『ロメオとジュリエット』のような話.

ただ、『ロメ&ジュリ』と違うのは、ヒロインであるルチアが無理やり政略結婚させられてしまうこと、そして結婚相手を初夜に殺してしまいます.その後意識もうろうとなったルチアは、錯乱の後狂死.恋人のエドガルドもルチア死の知らせを聞いて自ら命を絶つ.なんともやりきれない、悲しいストーリーです.

このオペラは、当時のイタリアの『ベルカントオペラ』最高傑作の一つ.ベルカントオペラとは、とにかく超絶技巧のような歌唱を伴っていて、『歌、あるいは歌手の技量を聴かせる』ことに重きを置いたようなオペラです.したがって演じる歌手は大変、この上演のルチア役は、以前に紹介したアンナ・ネトレプコという現在世界トップのソプラノ歌手.

何ヶ所も聴きどころがあるのですが、最後ルチアが結婚相手を殺して血まみれで寝室から出てきて、死んでしまうまでの15〜20分くらいのアリア.ほぼ一人で延々と歌い続けます.このアリアのためにその前のストーリーがあるといってもいいくらい.いくつかの舞台を見たことがありますが、何度みても引き込まれます.

ところで、アンナ・ネトレプコは昨年9月に出産、数ヶ月のブランク(があったはず)の後の初舞台ということでも、注目でした.ご本人もけっこう不安や緊張があったようですが、さすがでした.いつもの圧倒的な声量と高音の伸び.決してきらきらした声ではないのですが、そこがまたこの作品の悲劇性と、舞台であるスコットランドの雰囲気を感じさせてくれました.一度生で聴いてみたいものです.