名フィル市民会館シリーズ:シベリウス生誕150年記念

オーケストラの活動の中心はホームグラウンドとするコンサートホールでの定期演奏会ですが、日本国内のオーケストラはこれ以外にも地域にあるホールで定期的にコンサート行っているところが多いようです。名フィルは、定期演奏会は名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールですが、金山の名古屋市民会館大ホールでも年に4~5回、「市民会館名曲シリーズ」、文字通りの名曲コンサートを行っています。

今年は、常任指揮者の名前をもじって〈マーティン・ブラビッシモ;Martyn Bravissimo!〉と題した4回シリーズです。第1回目は昨日(7/15)、「シベリウス生誕150年記念」。
プログラムはいずれもシベリウス作曲で交響詩『フィンランディア』
ヴァイオリン協奏曲ニ短調
交響曲第2番ニ長調
ヴァイオリン独奏:ニキータ・ボリソグレブスキー
指揮:マーティン・ブラビンス

シベリウスはフィンランドを始めとする北欧を代表する作曲家。第1曲目の『フィンランディア』は学校の鑑賞曲にもなっていて聴いたことのある方も多いでしょう。また、後半部分は歌詞が付けられて、合唱曲としても親しまれています。(シベリウスの顔写真は日本シベリウス協会のHPをご覧ください

『フィンランディア』は帝政ロシアに抑圧されていたフィンランドの独立運動の一環として作曲されたもの。現在でもフィンランドの第二の国歌として歌い継がれている曲です。日本語の合唱曲では「雲わくしじまの森と、静かに輝く水、野の花やさしく香る平和の郷」という歌詞のようですが、フィンランド語では「立ち上がれスオミ(フィンランドのこと)よ、おまえは世界に示した。他民族による支配をはねのけたこと、圧政に屈しなかったことを」という意味の歌詞が付いているそうです。

ところで、今回の演奏は名古屋の菊里高校と明和高校のいずれも音楽科の生徒たちがメンバーとして加わっています。オケにとっては地域の教育への貢献、音高の生徒たちにはいい経験になったのではないでしょうか。彼ら、彼女らの誰かは数年後には名フィルのメンバーに加わったり、あるいはソリストとして共演したりしているかもしれません。楽しみです。


2曲目のヴァイオリン協奏曲は、古今のヴァイオリン協奏曲の中でも名曲中の名曲、難曲中の難曲です。3楽章構成で約40分の曲ですが、ソロ・ヴァイオリンは技巧的にも多くを要求されていることが素人の耳でもよく分かります。室内楽曲のようにオケの各パートの音もよく聞こえてくるように作曲されており、ソロ・ヴァイオリンはオケと対等に渡り合いながら自分を表現しなければなりません。今回の演奏は、ソロ・ヴァイロインとオケが互いによく聴き合って、共に一つの音楽を作りだしていこうとする気持ちがよく伝わってきました。CDで聴いているだけではわからない、息づかいを感じました。

コンサートの締めくくりはやはり交響曲。シベリウスは7つの交響曲を作曲していますが、この2番が最も有名です。やはり、聴き応えがあるからでしょう。そして、北欧らしさ、森と湖の音を感じるからかもしれません。4楽章構成で約45分。第1楽章はまさに「森と湖」、目をつむって聴いていると、シベリウスの耳になった気分です。第3,第4楽章では音楽が大きく展開しながら、大地を感じさせるおおらかなメロディー。ときにブリザードのような響きを感じます。一緒に行った知り合いは、ここで「オーロラを見た」とのこと。名フィルの演奏でこんなに自然の響きを感じたことはありませんでした。そして、すべてのパートの音量にバランスがとれていて、CDではなかなか聞こえてこなかった音までもがすっきりと耳に入ってきました。そして、どの音も無機的ではなく、『オーケストラ』という楽器が奏でているような演奏。
まさにBravissimo(イタリア語で〈とてもすばらしい〉の意)!

〈マーティン・ブラビッシモ;Martyn Bravissimo!〉シリーズの第2回目は明日(7/18)。モーツァルトとリヒャルト・シュトラウスです。