5月生まれの作曲家4:ワーグナー

 月を超えてしまいましたが、5月生まれの作曲家をもう1人だけ紹介しましょう。リヒャルト・ワーグナーです。

 1813年5月22日、ライプツィヒ生まれ。1883年2月13日に亡くなっています。この時代としては長生きになると思います。また、彼ほど自らの野心を剥き出しにし、なおかつそれを実現した音楽家はいないでしょう。満足のいく人生だったのではないかと想像します。

 とは言っても、波乱万丈を絵に書いたような人生であったことも事実で、幼い頃に父親を亡くし、革命に参加するも敗れて亡命、各地を点々としときに借金取りに追われて夜逃げ、その過程で遭難しかけることも。人妻と不倫関係になったり、弟子の奥さんと再婚したり。はたまた、国王に取り入って借金を払わせた挙句に、自分専用の劇場を造らせる。伝記あるいは映画にするとさぞ面白いことでしょう。

 現在演奏されるのは数曲のオペラだけですが、ドイツオペラの頂点を作り、その後のヨーロッパ楽壇に与えた影響は計り知れません。19世紀まで有名な作曲家の中で、その子孫がクラシック音楽界で影響力を持っているのはワーグナー一族だけでしょう。

 彼のオペラはドイツや北欧の神話や伝説を基にした話が多く、台本も自分で書いている点で独特です。馴染みにくいストーリーも多い中で、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』が最もわかりやすいでしょうか。特に前奏曲はオーケストラの演奏会で単独でも取り上げられますし、BGMとしても利用されています。

 『ニーベルングの指輪』は四つのオペラの連作で1作品という特異な形式。全曲を演奏または鑑賞するには4日間、合計20時間近くかかります。

 昨年の夏にドイツで『ニュルンベルクのマイスタージンガー』をミュンヘン国立歌劇場で見ました(ここ)。このオペラは1866年にこの劇場で初演されています。また、バイロイト音楽祭では『ローエングリン』をみることができました(ここここ)。この音楽祭が行われるバイロイト祝祭劇場が、ワーグナーが自分専用に造らせた劇場です。