モーツァルティック・バレンタイン

意味が分かりませんよね? バレンタインデーにモーツァルトを聴こうというコンサートです。2月14日土曜日に春日井市・高蔵寺にある春日井市東部市民センターでありました。ホールは500人くらいは入れ、扇形でちょうど古代の野外劇場を思わせるような形でした。もちろん屋内ですが。

プログラムは
ベートーヴェン:ロンディーノ
モーツァルト:セレナード第11番
モーツァルト/ハイデンライヒ編曲:歌劇《魔笛》(管楽合奏版)より抜粋
アンコールとして
モーツァルト/ハイデンライヒ編曲:歌劇《フィガロの結婚》(管楽合奏版)より抜粋
リヒャルト・シュトラウス/??編曲:交響詩《ドン・ファン》(管楽合奏版)より抜粋

演奏は木管楽器を中心とする八重奏で、オーボエ2,クラリネット2、ファゴット2、ホルン2のあわせて8人(後半はコントラバスを加えた九重奏)。演奏者はNHK交響楽団の首席オーボエ奏者である茂木大輔さんを中心に、NHK交響楽団や名古屋フィルハーモニー交響楽団などの管楽器奏者を交えた編成。今回だけの集まりだと思いますが、生ではなかなか聴けない曲、演奏形態だけに十分に堪能できました。

茂木さんはNHKが放送するN響の演奏会でいつも見ています。また、名フィルのメンバーも3人加わっておられましたが、私にとっては毎月の定期でおなじみ。非常に親近感のわくステージでした。コンサートでは、舞台上の演奏者の後にスクリーンを配して、それぞれの曲の紹介やモーツァルトの生い立ちの紹介など、あまりクラシック音楽、あるいは今回のような形態の演奏になじみのない人も飽きずに聴いていられるような趣向が凝らされていました。特に、後半の『魔笛』からの抜粋は、序曲のあと、オペラの筋書きにしたがって10曲が続けて演奏されましたが、曲の間にストーリー紹介が入り、オペラを知らなくても音楽を楽しむことができたのではないでしょうか。

私が最も聴きたかったのはモーツァルトのセレナードです。CDは何種類か持っていますが、未だ生演奏を聴いたことがなく、これでまた念願の1つがかないました。

今回のような編成は、管楽器の演奏形態としては非常に音色がまとまりやすく、きれいなハーモニーをつくることができます。その一方で、各楽器ごとに特異なフレーズや動き方が異なっているため、音楽のいろんな側面を楽しむことができます。今回の演奏も各楽器の個性が際立ち、また、各奏者のすばらしい音色を存分に楽しめました。特に、セレナードはクラリネットの活躍の目立つ曲ですが、名フィル・浅井さんの柔らかく暖かみのある音色が印象的でした。

木管楽器による八重奏の演奏形態はハルモニームジーク(ドイツ語でHarmoniemusik)と呼ばれ、18世紀後半から19世紀の前半、つまりモーツァルトやベートーヴェンが活躍した時代に流行したそうです。主に貴族の食事やお金持ちたちのパーティーの場での伴奏音楽として利用されました。食事の際に演奏されるため"Table music"とも呼ばれます。今回演奏されたモーツァルトのセレナードなどはその典型的な曲です。ベートーヴェンも同様の編成の曲を1曲だけつくっており、今回演奏された『ロンディーノ』はその一部が独立して演奏されるようになった曲です。

ハルモニームジークとしては、当時人気のあったオペラの一部を管楽八重奏(または九重奏)に編曲して演奏させて楽しむということも多かったようです。モーツァルトの有名なオペラはすべて編曲版があり、現在でも数多く録音されてCDとして発売されています。また、モーツァルトは自身のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』のなかの宴会のシーンで、『フィガロの結婚』のアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」のハルモニームジーク版を取り入れています。

この企画と連続して、3月7日に春日井市民会館で
生演奏と投影で綴る大作曲家の大傑作シリーズVol.1〜モーツァルト
が、今回中心になられた茂木大輔さんの指揮であります。(案内はここ) 私もいきます。きっと楽しいと思います。