名フィル定期(第351回)

昨日は名フィルの10月定期、今回もまたなじみのない方には???というプログラム.一応列挙しますと
ベルリオーズ:カンタータ『クレオパトラの死』
ハイドン:交響曲第45番嬰ヘ短調『告別』
アデス:・・・されどすべてよしとなり
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
です.
非常に素晴らしい演奏だったと思います.指揮は、マーティン・ブラビンズというイギリスの指揮者.初めての人でしたが、細部に目が届きながらも全体をしっかりと構成した演奏だったと思います.

ハイドンは『交響曲の父』として教科書にも出てきます.音楽史的にはベートーベンやモーツァルトより前の人で、100曲以上の交響曲を作っています.『古典派』の中心的な作曲家で、これぞ『クラシック』という雰囲気の曲が多いです.

この『告別』という曲は、決して告別式のための曲ではなく、本来速いテンポ(allegroやpresto)で演奏されるはずの第4楽章(交響曲というジャンルの曲は普通、4つの部分、楽章に分かれています)が途中でゆっくりのテンポ(adagio)にかわり、舞台上の奏者が順番に演奏をやめて舞台袖に引き上げているというユニークな演出をします.
ということで、『告別(Farewell)』という表題がついています.

比較的小さな編成(今回は30人弱)で演奏されます.室内楽オーケストラとも言いますが、ほぼ当時のオーケストラの編成を反映しているといっていいでしょう.まとまりはつけやすいのですが、音色や音程にごまかしがきかないので、合わせる能力が問われます.
わたしの持っているCDはアダム・フィッシャーという古典ものに定評のある指揮者と、オーストリアーハンガリー・ハイドンオーケストラという文字通りハイドンを得意とするオケですが、昨日の名フィルも全く遜色のない演奏でした.こういう曲にこそオケの『味』が出るのですが、かなりの美味でした.

メインは最後のバルトーク.1881年生まれのハンガリーの作曲家で、最も有名なのがこの曲です.管弦楽=オーケストラ(Orchestra)のための協奏曲=コンチェルト(concerto)なので、通称『オケコン』.

協奏曲というのは、普通はピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲のように、1つの独奏楽器とオーケストラの組み合わせで曲が作られています.独奏楽器(=ソロ)がその楽器の特徴を生かしたソロを演奏してオケが伴奏になったり、ときには互いに拮抗しあいながら曲が進みます.前回紹介したラフマニノフのピアノ協奏曲はピアノソロが特に目立つ曲です.

オーケストラのための協奏曲といのは、なんか矛盾したような表現ですが、オーケストラに使われている各楽器あるいは楽器群、パートをソロ楽器のように見立てて曲が作られています.次々と違った楽器が表に出てきながら、他がそれをうまく支えていかないといけないため、オケがオケとしていかに機能しているかを問われる難曲です.

編成も大きく、100人近い編成、個々のプレーヤーの能力とオケとしての成熟度がためされているようなものですが、非常にいい演奏でした.
バルトークはハンガリの民謡などをたくさん集めて自分の曲に活かしたりしていますが、この曲の中にもハンガリー民謡かと思えるメロディーが出てきます.ハンガリーはヨーロッパの国の中で唯一、モンゴリアンの国ですが、そのためか私たちの郷愁を誘うようなメルディーもたくさんあって、そういうところの歌い方や、ffでがんがん鳴らすところ、あるいは管楽器などのソロの妙技が堪能できました.

後の2曲もあわせて、全体としては、オーケストラとはこんなにもいろんな響きや表情をつくれるのかということを満喫できる演奏会でした.