チェンバロ・リサイタル

 先週の水曜日(12月12日)、伏見の名古屋電気会館コンサートホールでチェンバロのリサイタルがありました。
プログラムは
  バッハ:ゴルトベルク変奏曲
  チェンバロ独奏:マハン・エスファハニ
です。

 チェンバロをご存じの方はあまりないと思います。ピアノがつくられたのが1700年頃ですが、それよりも古いタイプの楽器で、17世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパで普及していた楽器です。ピアノはハンマーで太い弦を叩いて音を出しますが、チェンバロは細い弦をギターのピックのようなものではじいて音を出します。したがって、ピアノほど音量の幅はなく、残響もありません。大きなホールで演奏する楽器ではありません。
 こんな楽器です。
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チェンバロのためのコンサートを聴きに行ったのは今回が初めてです。以前から興味はありましたが、コンサート自体があまりないため、リサイタルという形では初めてです。演奏された曲は、バロック音楽ではとりわけ有名な曲で、以前にピアノの独奏によるコンサートを聴きに行ったことがあります(http://physiol.poo.gs/blog-2/files/59aef56d6021dd7394e475f11121ae81-225.html)。

音量のある楽器ではないことはお客さんも了解済み。しーんとして、たまに咳払いなどが聞こえる程度の、じつに静謐な空間でした。今回の演奏者の特徴かもしれませんが、チェンバロの演奏は淡々とした響きで、感情を込めるというよりも、じっと向かい合うという感じでしょうか。冒頭のアリアをもとにした30曲の変奏曲が、1時間余に渡って演奏されます。演奏者と一緒になって音に向き合っていると、あっという間に立ってしまいました。

この曲はいくつかのCDを持っていますが、それぞれごとに特徴があり、どれとどれを比べても大きな違いを感じるのがこのゴルトベルク変奏曲です。感情を表に出した演奏もあれば、哲学的な雰囲気を感じる演奏もあります。30曲の構成に数学的な美しさがあるなど、いろんな解説があります。しかし、どの1曲だけを取り出して聴いても、音楽の深さを感じるすばらしい曲です。

今回演奏したエスファハニは、アメリカ生まれのイラン人。あまり感情を表に出すような演奏ではないものの、けっして深く沈潜するような音楽ではありませんでした。時にもの悲しさを感じさせる響きを感じましたgあ、生で聴くには非常に入り込みやすい演奏だったと思います。

アンコールは一転して、感情を表ししたかのような激しい曲調でした。と言っても、演奏されたのはフランス・バロック期の作曲家、ラモーの作品です。服装も上着はなく、ヒョウ柄のメガネとサスペンダーがお似合いでした。
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