6月生まれの作曲家3:リヒャルト・シュトラウス

 6月生まれの3人目はリヒャルト・シュトラウスです。1864年6月11日、ミュンヘン生まれです。父親は当時のミュンヘンの王立劇場のホルン奏者でした。ヨハン・シュトラウスという作曲ががいますが、血縁関係は全くありません。“Strauss“はドイツ語圏によくあるファミリーネームのようです。ヨハン・シュトラウスと区別するためにフルネームで呼ばれることが多いです。

 若くして天才の名を恣にし、作曲家として成功します。オーケストラによって物語を描く交響詩というジャンルで、次々と名曲をつくります。交響詩『ツァラストゥストラはこう語った』の冒頭部分は映画「2001年宇宙の旅」で使われて有名になりました。今でもBGMとしてよく使われています。また、「アルプル交響曲」や「英雄の生涯」のように自らの経験を音楽にした曲や、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」や「ドン・ファン」のように伝説・昔話をモチーフにした曲も作っています。いずれも演奏するには難しい曲ばかりですが、印象的なフレーズもあり、大編成のオーケストラを響かせ聴き応えがあります。ややマイナーですが、ピアノ協奏曲のような「ブルレスカ」がお薦めです。

 作曲家人生の前半は、このようにオーケストラ作品が中心でしたが、後半に入ると一転してオペラばかりを作曲します。『サロメ』は新約聖書を中の物語を題材にしたオスカーワイルイドの戯曲をもとにオペラ化した作品で、当時としては非常に前衛的でした。「七つのヴェールの踊り」は単独でも演奏されることがあります。しかし、その後はやや古典回帰して、分かりやすい作品を作っています。

 リヒャルト・シュトラウスはモーツァルトを大変尊敬していました。そのモーツァルトの傑作オペラである『フィガロの結婚』に対するオマージュとして作曲したのが『ばらの騎士』です。当時の大ヒット作品で、私の最も好きなオペラでもあります。音楽が素晴らしいのはもちろんですが、古き良き時代として描くことによってモーツァルトを称えながらも、世紀末ヨーロッパを懐かしみ、さらに、老若男女の悲喜交々を優しく包み込むように描いています。作中人物の誰かには必ず感情移入できるすばらし作品です。

 この他に、滅多に上演されないようですが、リヒャルト・シュトラウス最後のオペラである『カプリッチョ』は、音楽か詩かという、歌曲あるいはオペラにとっての究極の問いをテーマにした作品です。オペラの中では結論は出していないところが、憎らしい。

 1949年に85歳で亡くなります。当時のことですから大往生といって良いでしょう。亡くなる3年ほど前に作曲した「オーボエ協奏曲」は愛らしくありながらも、楽器の魅力を存分に引き出した佳作です。