METライブビューイング《ラ・ボエーム》

 先週土曜日(3月31日)から、今シーズン第6作目、プッチーニ作曲歌劇《ラ・ボエーム》が始まっています。今週の金曜日までですが、朝と夕方の2回公演です。今回の配役は若手歌手中心でビッグネームをあえて起用していません。中心になる役柄は4人ですが、それ以外の登場人物にも重要な役割があり、音楽を超えたアンサンブルが重要な演目です。大物に頼らないことが非常に良い効果を産んでいたように思います。

 19世紀半ばのパリの下町、カルチェラタンと呼ばれる地域が舞台です。現在も大学があるなどパリの中心に位置し、学生街として知られていますが、当時も若者が多かったようです。題名の《ラ・ボエーム》は英語で言えば”The Bohemian”、ロマの人たちをさすこともありますが、ここでは「社会の習慣に縛られず,芸術などを志して自由気ままに生活する人」(大辞林)と言う意味でしょう。まさに、その通りの若者達が主人公の物語です。

 ストーリーはすでに書いているのでそちらに譲りますが、4幕構成で、各幕がおよそ30分ずつ、起承転結がはっきりしていて、展開のわかりやすさはこの作品の魅力の一つです。そして、登場人物である若い芸術家たち、今でいえばちょうど大学生であろう彼ら、彼女らの振る舞いを見事に描いていることも見逃せません。あまりに《ボヘミアン》で、なにやらイライラした気持ちにもさせられますが、やはり清々しい気持ちにさせてくれます。そして、なによりも最大の魅力は登場人物の感情や行動に合わせたプッチーニの音楽です。特に、第4幕でヒロインが息を引き取った後は何度視ても聴いても胸がつまります。

 今回の指揮者はイタリア人のマルコ・アルミリアート、イタリアオペラの指揮では定評があります。