アンナ・ボレーナ(METライブビューイング)

これまでにも何度か紹介しましたニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称MET)の企画する《ライブビューイング》の2011-2012シーズンの日本上映が先週から始まりました.本来は文字通りの「ライブ」なのですが、ニューヨークとの時差や字幕、上映会場の都合などで、日本では1ヶ月遅れくらいで上映されます.その代わり1週間毎日あるので時間の都合はつけやすくて便利です.

歌劇場での実演をいろんなカメラアングルでハイヴィジョン撮影して、音声も5.1チャンネル.幕間には歌手のインタビューやバックステージ見学なども入っています.このあたりではミッドランドシネマで上映されます.

さて、今シーズンはメジャーなオペラが少ないような気がするのですが、逆にめったに出会えない作品を観ることができるので大いに楽しみです.日本での公式HPはここです(
METライブビューイング | 松竹).またニュースサイトもあります(METライブビューイング 最新情報).興味のある方は是非のぞいてください.

今シーズンオープニングは
ドニゼッティ:アンナ・ボレーナ
という作品です.ややマイナーな作品ですが、9月に始まったMETの今シーズンのオープニングを飾った演目で、タイトルロール(Title role:標題役、つまり主役)がアンナ・ネトレプコという、ロシア出身のソプラノ歌手.たぶん現在のソプラノ歌手の中では人気、実力(ついでに美貌も(^_^))トップでしょう.(パンフレットの表紙も彼女です↓)


これはアン・ブーリンという16世紀に実在したイギリス王妃をモデルにした悲劇.夫のヘンリー8世は6人の妻がいたそうで(もちろん同時に6人ではありません)、アン・ブーリンは不貞の濡れ衣を着せられて処刑されます.この実話を基に19世紀初頭に活躍したイタリアの作曲家ドニゼッティがオペラにしたもので、主役であるアンナ・ボレーナは最後には狂気に追い込まれた末に断頭台へ上ります.演じるソプラノ歌手には歌唱技術だけではなく、心理的な表現力も求められる難役で、上演機会も少ないそうです.

実は映像のディスク(DVDなど)もほとんどなく、日本語字幕附きは出ていません.したがってとりあえずCDだけ1組買って音楽をさらって行ったのですが、やっぱり「観ると聴くでは大違い」.圧倒されてしまいました.

アンナ・ネトレプコは声量のある歌手ですが、今回は恐ろしいほどの迫力というか、鬼気迫るものを感じました.不貞の相手とされるペルシ公を演じたテノール歌手(スティーブン・コステロ)の美声にも驚きました.声量もかなりのもので、上映していたホールのスピーカーがハレーションしているのではないかと思うくらいでした.まだ新人とされる歌手でしたが、今後が楽しみです.

今回の演出は、できるだけ16世紀の雰囲気が出るようにと、衣装などもしっかりと時代考証した上でつくったようです.本当に映画を観ているような気にもなりました.

今シーズン2作目は来週の土曜日(19日)から
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
です.最も有名なオペラの一つで、ヨーロッパの「ドン・ファン伝説」をもとにつくられた名作.一度聴いたら忘れられないメロディがたくさんあります.上演時間4時間弱(休憩1回)とやや長いですが、是非!!