ラフマニノフ

 8月は定期演奏会やお休みでしたが、月末にどこかの団体のメモリアルを祝うコンサートがあり、たまたまタダ券が手に入ったので聴きに行ってきました.

 プログラムは
ニコライ:歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
指揮:角田鋼亮
ヴァイオリン独奏:島田真千子
ピアノ独奏:田村響
「若手音楽家と名フィルを楽しむ夕べ」と題されており、いずれも20代の若手が指揮、独奏を務め、有名曲を楽しむコンサートでした.

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はフィギュアスケートでもおなじみの超有名曲ですが、それだけに生を聴いたことがなく、また、先日の定期(
ここ)で聴いたばかりの田村の独奏ということで抽選に応募しました.ラッキー(^o^) 

 3階席でやや独奏楽器の音が聴こえにくいところもあったのですが、超絶技巧を駆使した難曲を見事に弾ききっていました.

 ラフマニノフは1873年ロシア生まれ.貴族出身ということで、ロシア革命を期にアメリカに亡命.以後、アメリカで暮らし1943年に亡くなりました.作曲家ですが、それ以前にピアニスト、それも音楽史上有数のヴィルトゥオーゾ(卓越した演奏技術を持つ演奏家).ピアノ曲を作曲するに当たっては、自らの高い技術を十二分に生かせるような難曲を書いています.したがって、後生の演奏家たちはそれはそれは大変なことでしょう.

 ラフマニノフの場合には、単に「指が回る」「タッチがすばらしい」というだけでなく、手が異常に大きく、かつ関節が柔らかいという特異体質でした.
手は、「デスハンド(death hand)」が残っているのですが、ピアノの鍵盤で右手の親指を”ド”において、小指が1オクターブ上の"ソ"まで十分届いたそうです.また、右手の人差し指で”ド”、中指”ミ”、薬指”ソ”、小指で”ド”とおいて、余った親指を他の4本の指の下をくぐらせて小指の3度上の”ミ”がたたけたというのです.「マルファン症候群」という細胞間の結合組織を作っている物質がうまくできない先天性の遺伝子疾患だったのではないかといわれています.

 したがって、ラフマニノフが作った曲の中でおそらく最も有名な今回の協奏曲第2番も、自分の持っている特徴を生かした部分がたくさんあります.一番分かりやすいのは冒頭、いきなりピアノのソロで始まるのですが、両手を使って全部で同時に8つの音を和音として鳴らします.右手で4音:ド、ファ、ラ(フラット)、ド、左手で3音:ファ、ド、ラ(フラット).左手は1オクターブ以上離れた音を同時にならすことになるので、手の小さな奏者には不可能です.
今回の田村も、さすがにラフマニノフの手には及ばないらしく、この冒頭部分をアルペジオ(分散和音)=低い方から順に素早くならしていく方法を使っていました.このとき、ペダルを踏んでおけば、指を鍵盤から離しても音は響き続けるので、和音になります.

 もちろん「技術」一辺倒ではなく、名曲たる所以はロシアの大地を思わせるような雄大な雰囲気とメランコリックなメロディーです.

 最後に、今回の指揮者・角田は初めて聴いた(観た)のですが、ドラマ(あるいは映画?)の「のだめカンタービレ」で玉木宏に指揮指導をした方だそうです.たしかに似てました(^。^)

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も「のだめ」で出てきました.のだめがライジングスターのコンサートで聴いて、1回で覚えて、髪の毛を爆発させながら徹夜で練習していた曲です.