METライブビューイング:《イル・トロヴァトーレ》

毎年紹介していますが、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のライブ映像をもとに、映画館でオペラを楽しむMETライブ・ビューイングが今年も始まりました。今年で10シーズン目、名古屋ではミッドランド・スクエア・シネマで朝10時からの上映(1週間続きます)ですが、年々お客さんが増えています。敷居が高いと感じる方も多いでしょうが、洋画を字幕付で観るのが苦にならない人であれば、後は音楽になじめるかどうかです。

さて、今シーズンのオープニングは
ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》
イタリア・オペラの巨星の傑作の一つです。《椿姫》はご存じの方もいらっしゃるでしょう。ほぼ同時期に作曲された歌劇で、《椿姫》同様に社会の底辺にいる人たちを主人公に据えた愛憎劇です。「イル・トロヴァトーレ」とは「吟遊詩人」と言うこと。スペインを舞台に、ロマ(ジプシー)の若者とお城の中で王妃に仕える女官との恋愛と、そこに横やりを入れる貴族。さらに、ロマの若者とこの貴族は政治的には敵対する関係にあり、最後は若い男女が共に命を落とすという悲劇。

先週土曜日から始まっていますが、ちょうど文化の日に観に行きました。
今回の配役中、最も注目していたのは
女官であるレオノーレ役のアンナ・ネトレプコ。現代最高のソプラノ歌手で、たぶん今が最も脂がのっているときではないでしょうか。元々は高音を軽やかに響かせる歌い方を要求される役どころを多く演じていましたが、この2,3年で方向を変えたのか、重たい声と高い表現力を要求される役どころにシフトしてきています。昨年は同じくヴェルディの《マクベス》のマクベス夫人(シェークスピアの《マクベス》をご存じの方は、マクベス夫人の役柄は想像が付くでしょう)を演じ、大絶賛されました。

彼女の演奏(歌唱)は期待に違わぬと言うか、スクリーンとスピーカーを通してですが、圧倒されました。こういう演奏を聴くと、ますますのめり込んでいきそうです。

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月16日(月)(15日深夜)午前0時10分から、NHKEテレで
ヴェルディ:歌劇《椿姫》(主役のヴィオレッタ役はアンナ・ネトレプコ)
が放送されます。ザルツブルク音楽祭という有名なイベントでの公演です。演出がわかりにくいかもしれませんが、アンナに注目して聴けばそんなことも気にならないでしょう。