METライブビューイング《メリー・ウィドウ》

現在、ミッドランドスクエア・シネマでMETライブビューイング
レハール作曲《メリー・ウィドウ》(The Merry Widow、原語であるドイツ語ではDie lustige Witwe、『陽気な未亡人』ほどの意味でしょうか)
が上映されています。
先週土曜日(2月21日)に観に行きました。今回も満席。飽きの来ない楽しい話ですが、オペラとしてはそれほど有名ではないので、まさか(゜;)エエッ ライブ・ビューイングも人気が出てきたようです。詳しい情報はここです

さて、《メリー・ウィドウ》のような演目はオペラ(歌劇)ではなくオペレッタ(喜歌劇)と呼ばれます。オペラが基本的に台詞なしで上演されるのに対して、オペレッタにはかなり台詞が入り、登場人物が気持ちを表現したり、ここぞというやりとりの部分を歌います。ちょうどミュージカルと同じです。というよりも、ウィーンやパリではやったオペレッタがアメリカ・ニューヨークに渡ってミュージカルになったと言った方がいいでしょう。

レハール(1870-1948)は現在のハンガリー生まれで、プラハでドヴォルザークに作曲を学び、ウィーンで活躍しました。オペレッタが得意だったようで、《メリー・ウィドウ》を出世作として14作完成させています。オリジナルは歌も台詞もドイツ語ですが、今回の上演は英語版。アメリカではかなりポピュラーなようです。

さて、パンフレットを参考に簡単にあらすじを。
舞台は20世紀初めのパリ。架空の小国ポンテヴェドロ(多分にバルカン半島辺りを感じさせる)の在フランス大使であるツェータ男爵主催のパーティー。主人公のハンナ・グラヴァリは貧しい家庭の生まれながら、ポンテヴィドロ国の資産の大半を所有する大金持ちと結婚。結婚後すぐに死別し、莫大な財産を相続。ハンナが他国の男性と再婚すると国が破産しかねないと心配するツェータ男爵は、書記官の伯爵ダニロにハンナに求婚するように命令。しかし、ダニロは「恋はいつでもOK、婚約もしてもいいけど結婚はしないのが主義」と言って命令を拒否。実は、ダニロはかつてハンナと恋仲で、身分違いゆえに結ばれなかったという過去があります。決して恋心は消えていないものの、素直になれない。一方、ハンナもダニロを忘れておらず、流し目を送るもすんなりとは伝わらない。そんな最中に、ハンナはツェータ男爵の妻ヴァランシエンヌの浮気をかばってダニロの誤解を招いてしまいます。ダニロはお金に目がくらんだと思われたくないとか、いろいろ考えるのですが、最後は2人が結婚すると宣言してめでたしめでたし。

今回のキャストは
指揮:アンドリュー・デイヴィス 演出:スーザン・ストローマン

出演:ルネ・フレミング(ハンナ)、ネイサン・ガン(ダニロ)、ケリー・オハラ(ヴァランシエンヌ)、アレック・シュレイダー(カミーユ)、トーマス・アレン(ツェータ男爵)

実演奏時間は約2時間半。たわいもないストーリーですが、魅力的で口ずさみたくなるようなメロディーが随所にあり、とにかく飽きません。暗い雰囲気のメロディーは全くなく、最後までわくわく、どきどき。また、舞台や衣装も豪華絢爛で、ただ観ているだけでも楽しめます。ただ、今回の一番の注目はハンナを演じたルネ・フレミング。現代最高のソプラノ歌手の一人で、風格、声質ともにこの役にぴったり。是非とも彼女のハンナを見たい、聴きたいと思っていたので念願が叶いました。最も有名なアリアは特に第2幕で歌われる「ヴァリアの歌」。(ここにルネ・フレミングが若かりし頃に歌った映像があります。どうやら来日公演か?)

また、今回の演出を手がけているのはトニー賞などを受賞しているブロードウェイのミュージカルの専門家、さらに、主役2人に次ぐ役どころである男爵夫人ヴァランシエンヌ役を何とミュージカル女優が演じました。オペラ歌手の声とはやはり違いますが、見事。存在感があり、演技もさすがです。後半でパリの『マキシム』というキャバレーでカンカン踊りのシーンがあります。ここでは、普段はミュージカルで活躍している歌手たちがヴァランシエンヌ役の女優さんと一緒に歌とダンスを披露。まさにミュージカル、METのホールだけではなく、映画館の客席からも拍手が起こっていました。

第2幕の「ヴィリアの歌」や第3幕でハンナとダニロの二重唱「唇は黙し、ヴァイオリンは囁く」(ドミンゴ&テ・カナワのデュエットはここ、スタジオ録画です)などは、ルキノ・ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」で主人公アッシェンバッハが美少年タージオに出会う場面で使われているそうです。気がつきませんでした。

次回は3月7日から、オッフェンバック作曲《ホフマン物語》、パヴァロッティの再来と言われ、現在売り出し中のヴィットーリオ・グリゴーロ()が登場します。かっこいいです。ここを参考にしてください