名フィル定期(第473回)

 今月の定期は12月6,7日に《舞踊の傑作》と題した以下のプログラムでした。
   デュカス:バレエ『ラ・ペリ』
   酒井健治:ヴィジョンーガブリエーレ・ダヌンツィオに基づいて
   ストラヴィンスキー:バレエ『ペトルーシュカ』
   カウンターテナー:藤木大地
   ピアノ:野田清隆
   指揮:シルヴァン・カンブルラン

 デュカスとストラヴィンスキーはいずれもバレエのための音楽です。もちろん、今回はバレエはなく、オケによる演奏のみです。バレエのストーリーは割愛しますが、『ラ・ペリ』は華やかなファンファーレで始まります。このファンファーレは、中日ドラゴンズのナゴヤドーム開幕戦の冒頭で名フィルメンバーによって演奏されるそうですから聴いたことのある方もあるのではないでしょうか。

 ともに20世紀初頭に作曲され、パリで初演された曲で、メロディーが変化に富み、それぞれのメロディーごとの楽器の組み合わせも様々。音域や奏法も次々と変化していくため、非常に色彩感の豊かな楽曲です。この時代のフランス音楽に共通する特徴です。時代は、ベル・エポック。アール・ヌーボー全盛期です。そのような時代の雰囲気が作曲家をインスパイアしていたのでしょう。

 少し前に、『デリリとパリの時間旅行』いという映画をみました。ほぼ同時代を舞台にした映画で、ドビュッシーやラヴェル、ピカソにダリ、マリー・キュリーにサラ・ベルナールなど、多士済々が登場する楽しいストーリーでした。

 指揮者のカンブルランはフランス人で、ヨーロッパではかなり活躍しているようで、録音も多数リリースしています。日本では東京に本拠を置く読売日本交響楽団の常任指揮者を長く務めていました。色彩感ある音作りに定評があるようで、今回のプログラムはうってつけです。名フィルには先月に引き続くフランス音楽で、特に管楽器がよく頑張っていました。また、『ペトルーシュカ』にはピアノも加わっていて、音色にさらに色合いが加わり、華やかな演奏でした。

 2曲目は名フィルは日本人作曲家による新作の世界初演です。デュカス、ストラヴィンスキーと同時代のイタリアの詩人、作家の詩に曲をつけています。ダヌンツィオは名前は聞いたことがあっても、どのような作品があるのかは全く知りません。オペラの台本も書いているようです。文学的には同時代のフランス文学の影響を受けているとのことで、関連のあるテーマでプログラミングされています。歌はカウンターテナーという、日本ではあまりなじみのない声域の男性歌手によって歌われます。米良美一を知っている方も多いでしょう。『もののけ姫』の主題歌を歌っていますが、彼のような声あるいは歌い方がカウンターテナーです。今回歌った藤木は30歳前後かと思いますが、ウィーン国立歌劇場でも活躍しています。私が座っている席では十分に声が聞こえず、残念でした。かわりにCDを買って、サインをしてもらってきました。

 もう年末、第9のシーズンですが、今年は予定はありません。昨年は美術館巡りとあわせて東京で日本フィルの演奏会を聴きに行きました。(どうも記録をアップするのを忘れていたようです)
 
 年明け、1月1日にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサートがあります。たぶん、夜7時くらいからNHKで生放送するはずです。興味のある方は是非。