ランメルモールのルチア:あらすじ

あらすじと登場人物紹介すると、

舞台は17世紀のスコットランド、ラマ−ムーア地方(Lammermoor、スコットランド南東部の丘陵地帯だそうです).2つの貴族、アシュトン家とレーヴェンスウッド家が対立.先王がなくなり新王即位によって力関係が逆転.アシュトン家が落ち目になり、それまで冷遇されていたレーヴェンスウッド家が盛り返そうとしている.そこで、アシュトン家は娘・ルチアを裕福な貴族アルトゥーロと政略結婚させて、その庇護を受けようとします.一方、ルチアは母親が亡くなり悲しみに暮れながらも、レーヴェンスウッド家のエドガルドと知り合い恋愛中.
ワルター・スコットの「ランマムーアの花嫁」という、実話を源にした小説を基につくられた台本(イタリア語)を使っています.

主な登場人物は
エンリーコ(バリトン):アシュトン家当主
ルチア(ソプラノ):主人公、エドガルドの妹
エドガルド(テノール):レーヴェンスウッド家当主、ルチアの恋人
アルトゥーロ(テノール):貴族、ルチアの婚約者
ライモンド(バス):神父、ルチアの家庭教師

第1部
《第1場》
エンリーコが部下と一緒に領地を見回りながら、妹ルチアがアルトゥーロとの結婚を承知しないことに不満を漏らします.ルチアの家庭教師・ライモンドは、ルチアがエドガルドと恋愛中であることを知りながらも、母親の死の悲しみを乗り越えられないルチアに結婚は無理と取りなします.ところが、部下の一人がルチアとエドガルドの逢い引きを目撃していて、エンリーコに告げ口.エンリーコは激怒します.
《第2場》
ルチアが召使いとともに登場.物語の前途を暗示するように、この舞台となった地方に伝わる伝説、若い女性が恋に破れて泉に身を投げる物語を歌います.このアリアはハープの前奏に続いて歌われますが、ルチア役に求められる技術(高音を自由に操るコロラテューラ)を披露します.その後エドガルドと逢い引き.エドガルドは新王の命でフランスへ旅立つことを告げ、ルチアは悲しみます.ここで2人は結婚を誓い指輪を交換.ルチアとエドガルドが繰り広げる二重唱が見事です.

第2部
《第1幕》
ルチアとアルトゥーロの結婚式当日.
ルチアとエドガルドは手紙を交わそうとしますが、すべてエンリーコに邪魔されてお互いの気持ちを伝え合うことができていませんでした.ルチアはエンリーコから一族の存続のためにアルトゥーロと結婚するように説かれます.そんな中でエンリーコの部下がつくった偽手紙、エドガルドが他の女性と愛し合っているという話を信じてしまい、希望を失ったのか、結局結婚に同意.アルトゥーロもやってきて結婚誓約書にサインします.この前半部分、エンリーコとルチアが見せる、互いの感情をぶつけ合うような掛け合いは見応えがあります.
ここへ突然エドガルドが登場、サインされた結婚誓約書を見て激怒.ルチアを詰り、エンリーコともやり合って退場.ここでは、ルチア、エンリーコ、エドガルド、ライモンド、アルトゥーロ、そして合唱が加わってのコンチェルタント(同じは伴奏やメロディーに乗って何人もの独唱が互いに別の歌詞を歌う)は圧巻です.これぞオペラと実感できます.
《第2幕》
《第1場》
エドガルドの居城
エドガルドが一人で嘆いているところへ、披露宴を抜け出したエンリーコがやってきて決闘を申し込みます.エドガルドもうけてます.テノールとバリトンの二重唱として有名な部分です.
《第2場》
披露宴
ルチアとアルトゥーロの披露宴たけなわ.二人は初夜を迎えるべく寝室に入りますが、そこで悲劇が起こります.ルチアがアルトゥーロを刺し殺してしまい、動転したまま出てきます.ここでルチアが歌うアリアがこのオペラの白眉、正気を失った女性を15分間一人で歌い、演じます.『狂乱の場』と言われますが、このオペラはこの場面、アリアのためにあると言っても過言ではありません.最後は『狂い死に』してしまいます.実際にはあり得ないことですが、そう思わせてしまうところが音楽の力です.これまで映像、生あわせて4,5種類観ていますが、どれもが違ったルチア、というか狂乱を見せてもらえます.歌手によっては精神科医などとも相談して役作りをするそうです.
《第3場》
エドガルドがエンリーコを決闘場で待っていると、披露宴に出席したと思われる人々が出てきて、ルチアが瀕死であると告げます.ルチアの死を知らせる鐘が鳴ると、絶望したエドガルドは自ら命を絶ちます.

正直言って『ロメオとジュリエット』とよく似てはいますが、もっと悲惨というか、救いようのない悲劇.あまり元気のない時に見るオペラではないかもしれません.

このオペラにはイタリア語版とフランス語版があります.ドニゼッティは、最初にイタリア国内で上演するためにイタリア語台本を使って作曲しましたが、後にフランスに渡って翻訳版をつくりました.現在もフランス国内ではフランス版で上演されることが多いようです.今回METでルチアを演じたメンバーも、パリやリヨンの歌劇場ではフランス語版を歌っています.