名フィル定期(第364回)

先週の土曜日は名フィルの12月定期、指揮者は常任指揮者のディエリー・フィッシャーで、ソリストがフルートのエマニュエル・パユという信じられないような組み合わせでした.

曲目は
ボルン:カルメン幻想曲
ドビュッシー(カプレ編曲):組曲『子どもの領分』から「雪は踊っている」
ドビュッシー/ホリガー:アルデュル・ノワール
ジャルレ:フルート協奏曲『・・・静寂の時・・・』
ストラヴィンスキー:バレエ『ペトルーシュカ』(1911年版全曲)

私も事前に聴いたことがあったのはストラヴィンスキーとドビュッシーの『子どもの領分』の原曲(ピアノ曲としてはかなり有名)だけ.後はマイナーどころか、日本初演の曲が2曲も入っているという、(@_@; )なプログラムです.

とは言っても、今回の呼びはなんと言ってもソリストのパユ.1曲目と4曲目がフルートソロの入る曲で、最初の登場から拍手の大きさが違いました.
パユはおそらく現代最高のフルーティスト、20歳でパリの国立高等音楽・舞踊学校(通称コンセルヴァトワール、「のだめ」がパリで通っている学校です(^^))を首席卒業し、弱冠23歳でベルリン・フィルの主席に抜擢されたという天才.現在40歳ですが、オケだけではなく、ソロや室内楽でも大活躍.
決して明るく輝くような音色ではないのですが、芯が太く、高音から低音までまんべんなくよく鳴っていました.以前に紹介したヴァイオリニストのデュメイの音もそうでしたが、ピアニッシモで吹いているはずなのに会場全体が鳴っているようによく響きました.

実は指揮者のフィッシャーももとはフルート奏者.しかも同じジュネーブ生まれということで、もともとつながりはあったのかもしれませんが、本当によく名フィルに出てくれました.(._.)オジギ

演奏された曲ですが、1曲目はビゼーのオペラ「カルメン」の有名なメロディーを、主旋律をフルートが奏でながらメドレーにしたようなわかりやすい小品.作曲者のボルンも本来フルート奏者.
4曲目の作曲者:Micharl Jarrellは1958年・ジュネーブ生まれで、これまた指揮者、ソリストと同じ.しかもこの曲を2年前に初演したのがパユ.彼のための曲みたいなもの.相当な難曲らしいのですが、あまりにも普通に吹いていたので、実際にどれくらい難しいのかはわかりませんでした.たぶんフルートという楽器の可能性をとことん追求した上でつくられたのでしょう、現代音楽を聞き慣れない方には雑音か?、フルートからちゃんとした音が出てないぞ?と思う様なところもたくさんあります.(日本初演でした)

実は、1週間前に伏見のしらかわホールで、パユの他同じフランス系の管楽器奏者たちによる『レ・ヴァン・フランセ』というアンサンブルの演奏会がありました.歴史的にフランスには有名な管楽器奏者が多く、このグループもクラリネットやホルン、オーボエ、バッソンの現代を代表するソリストたちの集まり.弦楽器の4重奏などは有名な曲がたくさんありますが、管楽器の合奏にもいい曲がたくさんあります.
CDなども含めて、ドイツ・オーストリア系のグループの演奏を聴くことが多いので、かなり新鮮でした.

この演奏会に行った理由は、パユではなく、「バッソン」の生を聴きたかったから.『のだめカンタービレ』を読んでいる方はわかると思いますが、現在一般に使われているファゴット:fagott(英語ではバスーン:bassoon)はドイツ式と言われます.オーボエと同じく2枚リード式の低音楽器で、オケでは普通オーボエの後、クラリネットの隣に座り、木管楽器の最低音を受け持ちます.フランス式のbassonとは楽器の形や音色、運指が異なります.フランスでもこのバッソンを使う人が少なくなっているそうで、日本では生で聴く機会がほとんどなく、この機会を逃してはと楽しみにしていました.

確かにちょっと違いました.意外かもしれませんが、ドイツ式がやや甘く、しっとりした音がするのに対して、フレンチは少しくすんだような、渋い音がします.ドイツ式が音の立ち上がりがまろやかであるのに対して、フランス式は指の動きが聞き取れるような、音の出方を感じました.

先週は学会出張だったのですが、その前後で非常に充実したコンサートを堪能できました.(実は出張先でも夜にオペラを聴きに行ったのですが、それは後日)