歌劇《ノルマ》

 11月3日、皆さんは学園祭でしたね。文化の日だからと言うわけではありませんが、久しぶりに生のオペラを観に行きました。

 チェコのプラハ国立歌劇場の引っ越し公演で
ベッリーニ作曲《ノルマ》(全2幕)
指揮:ペーター・ヴァレントヴィッチ
演出:菅尾友
管弦楽:プラハ国立歌劇場管弦楽団
合唱:プラハ国立歌劇場合唱団
主な配役
ノルマ(部族長の娘で巫女):エディタ・グルベローヴァ
ポリオーネ(ローマの地方総督):ゾラン・トドロヴィッチ
アダルジーザ(若い巫女):ズザナ・スヴェダ
オロヴェーゾ(部族長):オレグ・コロトコフ
休憩をはさんで約3時間の公演でした。

 物語は平たく言えば、三角関係がもつれ、最後は元の鞘に収まるものの、二人が命を絶ってしまうという悲劇です。昼メロにもならない様な筋ですが、そこはオペラ。見応え、聴き応え十分で、作曲者であるベッリーニの代表作です。

 ベッリーニは19世紀の初めに活躍したイタリアのオペラ作曲家。当時はベートーヴェンなどよりも人気があったかもしれません。しかし、短命で、作品も少ないため、現在上演される作品は今回の《ノルマ》の他は2作程度でしょうか。

 詳しい筋は後ほど紹介することにして、今回の目玉は主役であるノルマを歌ったエディタ・グルベローヴァです。ソプラノ歌手として世界的に有名で、今年69歳。正直言って全盛期はとっくに過ぎていますが、一度聴いてみたかった歌手です。もう来日公演はないと思っていたところ、いい機会に恵まれました。今年のプラハ国立歌劇場の引っ越し公演で上演される《ノルマ》全6回のうち、おそらく3回は彼女が歌っているのではないでしょうか(プログラムではダブルキャストになっていたので、たぶん)。うまく、名古屋があたってくれました。

 主役であるノルマは第1幕の途中で登場して、いきなり最も有名なアリア(『清き女神よ』)を歌います。あまりにも有名なアリアで、会場の誰もが注目していたでしょう。さすがに、いきなりはしんどかったのか、やや期待外れでした。声の押しが弱く、息も続いていないかのように感じるところがありました。しかし、進みにしたがって少しづつ調子が出てきたのでしょう、第2幕からは声の張りもでてきて、低音から高音までまんべんなく響き、表現力とも相まって、迫力がありました。声量こそ若い歌手にはかないませんが、ピアニッシモでの安定性など技術の高さは随所に感じました。第2幕終盤からはほとんど歌いっぱなしですが、他の歌手の声やオケの音にかき消されることなく、しっかりと通って聴こえてきました。芯のある声が出ている証拠でしょう。

 《ノルマ》は主役の有名なアリアのためもあり、非常に人気のあるオペラです。ただ、主役であるノルマの歌唱の難易度が高く、上演機会はそれほど多くありません。国内で、それも名歌手の生演奏に接することができ、大変幸せでした。

 グルベローヴァの全盛期の声や姿は録音や録画で楽しめます。三大テノールで有名なパヴァロッティとの共演など名演も数えきれません。たぶんYouTubeでもたくさん見つかるのではないでしょうか。

 名古屋でオペラを上演するとなると、愛知県芸術劇場の大ホールです。ここは一応オペラ用ではありますが、空間がやや大きすぎるため、客席への声の届き具合があまりよくありません。これまでいろんな席で聴きましたがどこも今ひとつ。今回はチケットを買ったのが2日前ということもあり、一般的によいとされている席は取れませんでした。やや仕方ないかと思って買った4階席、初めて聴く場所でしたがなかなかどうして、舞台から一直線に声が届いているようで、十分に楽しめました。