名フィル定期(第379回)

先週の土曜日、16日に名古屋フィルハーモニーの定期演奏会に行きました.

2月、3月と記録をつけるのを怠っていました.演奏はすばらし勝ったのですが、やや重たい曲だったために、記録をつけるのもおっくうになり、そのままになってしまいました.

名フィルのシーズンは4月−3月で、先月が昨シーズンの締めくくりでした.ちょうど大地震の翌日ということで、舞台の団員と客席の黙祷からはじまるという異例の演奏会でしたが、非常に緊張感のあるいい演奏でした.
このときのプログラムは
モーツァルト:交響曲第35番『リンツ』
ブルックナー:交響曲第3番『ワーグナー』
指揮:小泉和裕
でした.

さて、今月からはじまった新シーズンは
『愛と死』シリーズ
と題して1年間(11回)のプログラムが組まれています.芸術の究極のテーマのようなタイトルですが、この数年の意欲的なプログラミングの流れを受けて、当たり前ではない選曲が続いています.(どう『当たり前でないのか』の説明は難しいですが)

今月は
リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』
リスト:死の舞踏
プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」(抜粋)
指揮:ドリアン・ウィルソン
ピアノ:ヴァディム・ホロデンコ

指揮者のウィルソンは現在55歳、名フィルを含めて日本のオケにも何度か共演しているそうですが、定期は今回が初めて.舞台への登場はニコニコしていて、結構和やかそうな感じの方でした.対してリストをひいたソリストは弱冠25歳、演奏のキャリアは相当のようですが、舞台上での歩き方やお辞儀の仕方は何となくぎごちない感じでした.

さて、曲の紹介ですが、1曲目の『ドン・ファン』は、スペインの『ドン・ファン』伝説の主人公をモデルにした曲.元々はどうしようもない好色男の話ですが、シュトラウスが題材としたのはハンガリーの詩人がつくった、永遠の女性を求めながらもかなわず失望するという、やや理想主義に走ったような詩.たしかに音楽も、浮ついたようなところは全くなく、しっかりと主張しながらも、最後は落胆し多様に暗く終わっていきます.
演奏は、大編成のオーケストラの中で、木管楽器や弦楽器のソロも活躍するという、オケの腕が試されるような曲です.冒頭の弦楽器の上昇音階が印象的なのですが、ゾクッとするような緊張感が漂っていました.お客さんの拍手の大きさでは、後の2曲の方がよかったみたいなのですが、この日の演奏の中ではこの曲が最もよかったと思いました.

2曲目の作曲者・リストは今年が生誕200年ということもあって、シーズン冒頭のプログラムにくまれたのでしょう.この曲はピアノのソロが入る協奏曲スタイルですが、構成は変奏曲.あるテーマをはじめに奏して、そのモチーフを使ったメロディーを次々をつなげていくスタイル.(ピアノを習っていた方の中には、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」をさらった方もいるでしょう) この曲のテーマはグレゴリオ聖歌にある『怒りの日(ディエス・イレ)』のテーマです.非常に印象的で、一度聴くと忘れません.他の作曲家も使っていて、聖書にある最後の審判を表しています.

リストの代表曲だけあって、ソリストに掛かる負担は大きいのですが、いや、見事でした.手持ちのCDのもっと有名なピアニストの演奏と比較しながら聴いていたのですが、テクニックは言うことなしだったのではないでしょうか.昨年はショパンの生誕200年で、CDを含めて何度か聴く機会がありましたが、リストは全く違いますね.

メインの『ロメ&ジュリ』は言うまでもなくシェークスピアの悲劇を題材としたもの.この戯曲はいろんな作曲家をインスパイアしたようで、オペラやオーケストラ曲など、いろんな曲が作られています.今回はプロコフィエフ(ロシア出身の20世紀を代表する作曲)はバレエのために作曲.全部で52曲あるのですが、今回はこのうちから10曲を抜粋して演奏されました.

打楽器も活躍する大編成の曲ですが、その情景が浮かんでくるような見事な演奏でした.一番有名なのは『モンタギュー家とキャピュレット家』と題された曲でしょう.「のだめカンタービレ」(ドラマ)のBGMでも使われたので聴いたことのある方もいると思います(と、ここで書いてもわかりませんね (^_^;)

今回のプログラムは、形式的にはソナタ形式や変奏曲、そしてバレエ用の比較的自由なスタイルのものと様々でしたが、いずれも明確なテーマがあって、それをいかに音楽で表現するか、という点で共通していました.もちろんテーマの中心はシーズンタイトルの『愛と死』.コンサートの楽しみ方はいろいろあります(*^^)v

来月は、20,21日.マックス・ポンマーという一昨年の春に登場した指揮者がシューマンの交響曲第2番を振ります.あまり有名ではありませんが、いい曲です.