5月が誕生日の作曲家1:ブラームス

 コンサートもなく、家でCDを聴いたり録画を観たりして過ごしていますが、やはり物足りません。生演奏を聴きにいかないと何かを書こうというモチベーションも湧いてきません。

 とはいえ、空白月をつくるのも悔しいので、作曲家について何か書いてみることにしました。ベートーヴェンイヤーではありますが、それはそれとして、今月を誕生日とする作曲家を簡単に紹介することにしました。

 5月生まれの有名な作曲には
7日生まれのブラームスとチャイコフスキー、12日生まれのマスネとフォーレ、そして、22日生まれのワーグナーでしょうか。日本人としては31日生まれの伊福部
がいます。

 ブラームスとチャイコフスキーという、ロマン派の大御所が同じ日に生まれているのは奇遇というか言いようがありません。また、フランス近代音楽の礎を築いたマスネとフォーレが同じ日というものこれまた奇遇。こんなことに気がついたので、筆を取りました。

 ヨハネス・ブラームスは1833年5月7日にドイツのハンブルクに生まれ、1897年4月3日にウィーンで亡くなりました。ハンブルクとウィーンは現在も当時も別の国ですが、同じドイツ語圏、まずは生粋のドイツ人といって良いでしょう。若い頃はかなりのイケメンで、颯爽としていたようですが、よく見る晩年の写真は肥満で髭面。かなりむさ苦しく感じます。生涯独身でしたが、師であるシューマンの夫人、クララ・シューマンを思慕していたとか。シューマンが早くなくなっていますから、当時からもいろいろ噂されていたようですが、あくまでもプラトニックなものだったようです。

 じっくりと筆を進めるたちだったのか、全てが名曲です。誰もが聴いたことのある曲では、ハンガリー舞曲第5番、交響曲第3番第3楽章でしょう。後者はイングリッド・バーグマンとアンソニー・パーキンス主演の映画「さようならをもう一度」のBMGとして使われたことから広く知られるようになりました。この映画はフランスの作家サガンの小説『ブラームスはお好き』が基になっています。映画も小説も名作です。

 クラシック音楽に馴染みがあるあるいはオーケストラの曲を聴いてみたいということであれば、なんといっても交響曲第1番と第4番、そしてピアノ協奏曲第1番でしょう。交響曲第1番は、ベートーヴェンに憧れたブラームスが構想を練り始めてから完成まで20余年をかけた傑作。のちに、ベートーヴェンの「交響曲第10番」とも評されました。プロテスタントのブラームスらしく、コラール風のメロディーで始まり、最後までエネルギーに圧倒されます。

 20余年の間に作曲されたのがピアノ協奏曲第1番です。2曲しかつくっていないピアノ協奏曲はどちらもピアニストにとっても難曲のようですが、交響曲の様に分厚く、聴くのもヘビーです。まるで分厚いステーキのような曲です。

 ブラームスは交響曲を4曲つくりましたが、最後の第4番はまさに集大成。同時代のブルックナーと比較されて、やや古臭いように言われることもあったようですが、オーケストラ曲の王道をいっていると思います。

 ブラームスの出身地であるハンブルクは、北海に面した街。行ったことはありませんが、どんよりとした曇り空をイメージします。一方で、今も昔も庶民のエネルギーにあふれる商業の街。そんな街に育ったからなのでしょうか、ブラームスの曲は全体をおおう何とも言えない暗さと、その下に隠れたマグマのようなエネルギーを感じます。強く生きる意志のようなものが聴く者の心を打つのでしょう。


 ブラームスは歌曲や合唱曲もたくさんつくっていますが、残念ながらほとんど聴いたことがありません。

 次回はチャイコフスキーを。