椿姫:トリノ王立歌劇場

先月はいろいろ落ち着かなくて、名フィルの定期を含めて2回コンサートに行ったのですが、音楽の話題を書く余裕がありませんでした.

さて、先週の日曜日にイタリア・トリノ王立歌劇場の公演に行ってきました.残念ながら名古屋には来てくれなくて、7月後半の2週間くらいで横浜と東京だけの公演.私は、ちょうど最終日に当たる8月1日の東京文化会館でのヴェルディ作曲『椿姫』を観に行きました.

今回は『椿姫』とプッチーニの『ラ・ボエーム』の2本だてできたのですが、『椿姫』の主役をナタリー・デセイという私が一番好きな歌手が歌う予定になっていたので、こちらを選びました.

いや、さすがでした.はじめの方はやや声が出ていないな、調子が悪いのかな、とも思いましたが、進むにしたがって調子が出てきた(というか、初めのうちはセーブしていたのかも)ようで、いつもCD/DVDで聴いているデセイそのものでした.

つき抜けるような美声と文字通り玉を転がすような高音のテクニックがすばらしく、同時に演技力も抜群、現在世界で3指あるいは5指(好みもありますので)に入るソプラノ歌手です.オペラでは初来日なのですが、生で聴いてみたいという念願が叶いました.会場の多くの方が同じ思いだったようで、最後は会場総立ちで『ブラボー』の嵐.今までに観たオペラ公演の中では最高でした.

『椿姫』というオペラは1850年頃のパリを舞台にして、高級娼婦に田舎出の坊ちゃんが入れあげてしまうという話.原作はアレキサンドル・デュマ・フィス(『三銃士』や『モンテクリスト伯』で有名なアレキサンドル・デュマの息子です)の小説『椿姫(正しく訳すと『椿を持つ女』)』(邦訳も出ています).自身の体験が基になっているといわれ、主人公の娼婦にも明確なモデルがいるそうです.

オペラの『椿姫』は、原題『La Traviata=道を踏み外した女』.最後は主人公が亡くなってしまう悲劇なのですが、今回の演出は、この『道を踏み外した女』であることをやや強調したもので、賛否はあるでしょうが私は結構しっくりきました.

『プリティーウーマン』という映画をご存じの方も多いでしょう.この映画は『椿姫』を基にしています.人物設定や終わり方(映画はハッピーエンドです)など、多少の違いはありますが、例えば、途中で2人でオペラを観に行くシーン.使われているのはこのヴェルディ『椿姫』で、暗示しているわけです.

次回、このオペラのストーリーを詳しく説明したいと思います.