山形城

先週末に学会出張で山形へ行きました。空き時間に山形城へ行きました。

戦国時代、最上氏によって基本的な形が作られた平城。現在も市内の中心に位置し、JR山形駅からも徒歩圏内です。

御殿があったであろう本丸を中心に二の丸、三の丸が順に取り囲んだ輪郭式城郭。本丸は現在発掘、復原が進められている最中。本丸を囲む土塁と空堀も一部残っていて見応えがあります。二の丸域には現在は野球場や博物館などがありましたが、その外側にはほぼ当時のままの幅の広い水堀が残っています。二の丸と三の丸の間にはいくつかの門があったようですが、それらの部分には石垣を築き、門以外の部分は土塁のままで水堀に。石垣はいくつか残されていましたが、多くは野面積みと切り込みはぎの折衷のように見えました。それほど高さもなく、やはり西日本の大規模なお城に比べるとやや見劣りします。また、大手門が復原されていて内部が無料公開されています。

最上氏は現在の山形を中心に覇を誇った戦国大名。ちょうど伊達政宗の母親のお兄さんとその息子の時代に最盛期を迎えましたが、時代は豊臣から徳川へ移り変わる時期。伊達同様に天下を狙うには遠すぎるし遅すぎました。最上氏は江戸時代の初めに改易され、その後山形城の主は次々と変わり、それに伴って城も荒れていったそうです。

新発田城

7月の終わりに新潟に行く機会があり、帰りの飛行機までの時間に隣町・新発田市のお城を観てきました。

新潟市のすぐ北にある新発田市を中心とした地域は、関ヶ原合戦の直前に入った溝口秀勝以降、江戸時代が終わるまで同一大名が藩主を務めた珍しいところ。外様大名で名目10万石(始め6万石)でも、新田開発などをどんどん進めた結果、その数倍の内実で藩としては裕福だったようです。

現在の新発田城には本丸表門と櫓(二重櫓)一棟が現存し、ともに重要文化財。内堀とそこから立ち上がる石垣は切り込み接ぎという比較的新しい技術でくみ上げられており、当時の姿を残しています。ただ、旧本丸とその外側の大部分が自衛隊駐屯地になっているため、見学することができず残念です。

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重要文化財の二重櫓。櫓と石垣の境界部分の海鼠塀は北国でよく用いられる建築様式ですが、城の櫓などに用いられているのは珍しい。

名フィル定期(第426回):展覧会の絵

7月の定期演奏会は最終週末(7月24日、25日)、仕事の都合でいつもの土曜日ではなく、金曜日に振り替えて聴きに行きました。

『オーケストレーションの魔術師たち2』と題して、
リムスキー・コルサコフ:スペイン狂詩曲
ムソルグスキー(ラスカトフ編):歌曲集『死の歌と踊り』(日本初演)
藤倉大:歌曲集『世界にあてたわたしの手紙』(委嘱新オーケストレーション・バリトン+オーケストラ版 世界初演)
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲『展覧会の絵』
バリトン独唱:サイモン・ベイリー
指揮:マーティン・ブラビンズ

3回続けてブラビンズ&名フィルの演奏会を聴きに行くことになったわけですが、彼の指揮は何をしたいのか、どこを聴かせたいのかがはっきりしていて、非常にわかりやすいという気がします。したがって、たくさんの音が重なっているにもかかわらず、一つ一つの楽器の音がはっきりと聴こえ、随所でCD鑑賞では気づかなかった音が聴こえます。今回のようなプログラムではその良さがはっきりと現れていて、実に楽しいコンサートでした。

さて、今回は「初演」とされる曲が2曲もあります。かつてはオーケストラのコンサートは作曲家たちの作品披露会でもありましたので、ほとんどが「世界初演」。過去の名曲がプログラムの中心になったのはこの数十年くらいではないでしょうか。

今回取り上げられた2曲の歌曲集は、いずれもピアノ伴奏付として作曲されたものをオーケストラ伴奏用に編曲したものです。いずれも現代の作曲家がアレンジしているので、オーケストレーションは華やか、そして打楽器群が大活躍します。観ているだけでも十分楽しめる曲です。しかし、何よりすばらしかったのは独唱のバリトン。正確には、バス・バリトンといって、通常のバリトンよりもやや深い声質で、やや深刻な内容の歌詞をじっくりと聴くのにむいています。今回のムソルグスキーの「死の歌と踊り」は、「子守歌」、「セレナード」、「トレパーク」、「司令官」と題された4つの歌詞がそれぞれ、子ども、恋人、農民、兵士の死を歌ったもの。ロシア語は話しているところを聞いていると非常にくせのある音にきこえるのですが、音楽に乗せると非常に美しく響きます。今回の歌手はイギリス人ですが、非常にレパートリーが広いようで、ロシア語も見事に表現していました(たぶん)。

メインの『展覧会の絵』は以前に紹介したとおりピアノ曲の編曲版です。最初に編曲してこの曲を有名にしたのが今回演奏されたラヴェル版です。この編曲が圧倒的に演奏頻度が高く、録音も数え切れないくらい出ています。よくあるたとえですが、ピアノ版がモノクロの水墨画や版画なら、このオケ版は油彩画。色彩はもちろんのこと、筆のタッチ、絵の具の重なり具合など油絵を鑑賞するように聴いているといろんな音が聴こえ、表情が見えてきます。オケ版ではほぼすべての管楽器にソロがあり、珍しいところではテューバやサキソフォンでしょうか。特にテューバのソロは通常よりも高音域を用いるため難曲です。

ブラビンスのタクト(本番での棒の振り方だけではなくリハーサルでの指示も含めて)は、おそらく何をどうすべきかがはっきりしていて、音量やテンポ、表情の付け方など演奏者の共通認識がしっかりとできているのだろうと思います。毎回の演奏は、明らかにこれまでの名フィルの水準を超えていて、確実にレベルアップしていることが分かります。もちろん、いろんな不満はありますが、それらば来シーズン以降の新音楽監督・小泉和裕に期待しましょう。

8月は北半球ではシーズンオフ。名フィルも通常の活動はほとんどなく、次回定期は9月4日、5日。来期新音楽監督である小泉の指揮で〈アート・オブ・ヴァリエーション〉と題して、ベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』他です。