名フィル定期(第386回)

1週間たってしまいましたが、先週土曜日の名フィル定期.テーマは《愛の死》、プログラムは
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死
ブルックナー:交響曲第7番
指揮:高関健
でした.

プログラム1曲目、このオペラの冒頭の曲と最後の曲をコンサートなどで続けて演奏する習慣があります.オペラのストーリーは単純で、男女の許されざる恋愛関係の末、男性が決闘での傷がもとで命を落とすと、女性が後を追って「気力で死ぬ」(演出によりますが・・・)という話.その最後を、愛ゆえの死=《愛の死》として頻繁に取り上げられます.又、前奏曲は冒頭に何ともいえない不協和音があり、「トリスタン和音」と呼ばれて音楽史的には画期的な試みとして評価されています.
ワーグナーはオペラで、というよりもオペラだけで有名な作曲家ですが、いったんはまると抜け出せないようです.この《トリスタンとイゾルデ》もその典型.約4時間とやや長いですが、興味ある方は一度どっぷりと浸かってみるといいかな・・・(^_^)

さて、この日のメインは後半のブルックナー.1時間を超える大曲です.ブルックナーはワーグナーを敬愛していて、この交響曲第7番の第2楽章を作曲中にワーグナーの訃報を聞き、追悼の意を込めたといわれています.聴けば聴くほど敬虔な気にさせてくれる曲です.

演奏はこの曲の持つ意味を見事に表現した名演.これほどの演奏に立ち会えて感激です(^ニ^)
指揮者の高関は常に細部を聴き取りながら1拍1拍を噛みしめるように指揮をしていました.特に第2楽章は秀逸.4楽章構成のこの曲の中で最長の20分余.ゆっくりしたテンポ(adagio)ながら緊張感を維持し、オケと聴衆が一緒になって音楽を作っているような時間.思わず涙がこぼれそうになりました.普通は楽章の切れ目で拍手などでないのですが、このときは何人かの方が思わず手を叩いてしまっていました(不肖、わたくしも^_^;).

この1年、大きな災害や事故で大変でしたが、それぞれが自分の大切なものについて考えようとさせてくれるような演奏で年を締めくくることができました.