ベートーヴェンの室内楽

先週土曜のコンサートの記録です。

12月に紹介した「ベートーヴェン〜その原点と到達点』という企画の第2回目、
『我がサロンに名曲を!』
と題して、ベートーヴェンとその同時代の音楽家たちにはパトロンとして援助した貴族がいました。作られた曲の多くはこれらパトロンたちに献呈されたのですが、今回は彼らと縁の深い室内楽曲を聴きました。

モーツァルト:オーボエ四重奏曲ヘ長調
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番変ロ長調
ハイドン:弦楽四重奏曲第83番ニ短調
ベートーヴェン:オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンとピアノのための五重奏曲変ホ長調

前回同様に、始まる前と曲の合間に企画者である茂木大輔氏が作曲の経緯や聴き所などを説明してくれました。今日はこれらはおいて、演奏について。

茂木さんがオーボエ奏者ですから、彼の大好きな曲であるモーツァルトの四重奏曲が最初(たぶん)。満開のお花畑で甘い香りをかいでいるかのような第1楽章。オーボエの音色がそのように感じさせるのかもしれませんがモーツァルト25歳の時の作品。純真を絵に描いたような音楽です。第2楽章は一転して憂鬱そのもののような楽想。これまた25歳でこんな体験したことがあるのか、と思わせるような音楽。そして、第3楽章はいたって快活に。モーツァルトがそのように創ったといえばそうなのでしょうが、これをその通りに表現するのは至難です。

この日のプログラムの順番を変えてみると、
弦楽四重奏(ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ)−>オーボエ四重奏(オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)−>管楽器(オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)とピアノ
です。弦楽器は基本的にはすべて同じような音色です。そこへ甘く軽やかなオーボエが入り、最後は1台で十分に幅広い音楽を創れるピアノに様々な音色を持つ管楽器が加わっています。まるで、水墨画のようなモノトーンの絵に、淡い色を加え、最後には色彩豊かな水彩画を見て歩いているような感じです。

この日のメインであり、私のお目当ては最後のベートーヴェンの管楽器とピアノのための五重奏曲、私も最も好きな曲の1つです。モーツァルトにも全く同じ編成の曲があり、学生時代にやったことがあるため、やや想い入れも(^0^;)。ベートーヴェンですが、前回のエロイカのように大上段に振りかざしたところはなく、本当に水彩画のようにさわやかで、どんな気持ちのときでもすーっと耳に入ってきてくれるような名曲です。

演奏は茂木さんと同じNHK交響楽団のメンバーたち、さすがはいつも一緒に演奏しているだけあって息もぴったり。互いに出るところは出て、引くところは引き、それぞれの楽器の特徴を発揮する名演でした。Bravi!! 

この曲は作曲者であるベートーヴェンが自分がピアノを弾くつもりで創ったようで、ピアノパートは決して優しくありませんし、全体を常にリードする役割を負っています。この日のピアノは平松悠歩さん、最近留学から帰ったばかりという新進気鋭。ピアノの音が澄んでいて、しかもひとつひとつの音が立っています。将来性を感じました。また、ベテランの管楽器奏者たちを向こうに回して引けをとらず、かといって決して出しゃばることなく、全体をうまく調和させるように心がけていたところも印象的です。

さらにこの日はアンコールがモーツァルトの同じ編成の曲、第3楽章を通しでやってくれました。感激(*^^)v 先月のベルリン・フィル八重奏団に続いて、室内楽を堪能できました。

来月も同じ8日(土曜日)に、第3回目(最終回)でベートーヴェンの『荘厳ミサ曲』です。