名フィル定期(第354回)

先週末に今年最初の名フィルの定期演奏会でした.すごくいい演奏だったので、一週間経ってしまいましたがちょっと気合いを入れてみます.

さて、プログラムは

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番第3楽章(弦楽合奏版)
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
レスピーギ:アダージョと変奏
ブラームス(シェーンベルク編曲):ピアノ四重奏曲第1番(管弦楽版)

です.作曲家はけっこうメジャーですが、曲はマイナーなものばかり.

第1曲目のベートーヴェンは題名の通りもとは弦楽四重奏曲、2本のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成の曲を弦楽合奏(ヴァイオリン2パート、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)に作曲者自身が編曲したもの.演奏は1stヴァイオリン12本でしたので、2ndヴァイオリン10本、ヴィオラ8本、チェロ6本、コンバス4本だったかな?
同じベートーヴェンの第9(交響曲第9番)の第3楽章を彷彿とさせるような静かでうっとりするような響き、ちょうど早春のやさしい日差しのような.
原曲を聴いたことはないのですが、こういうゆっくりしたテンポで白丸(二文音符や全音符など)の多い曲は音を並べるのは簡単ですが、実は難曲.とにかく緊張感を維持するのが大変.逆にいい演奏に出会ったときには、しびれます.この日の演奏では特に中間部.メロディーらしいメロディーがなく、本当に白丸が並んでいるだけの部分が、心を引きつけて放しませんでした.
この曲(第3楽章)は、「病癒えたものの神への聖なる感謝の歌」と作曲者自身が書き込んでいます.晩年の傑作なのですが、病が癒えて(といっても完治したわけではないのですが)ほっとした気分が見事に表現されています.

2曲目と3曲目はチェロの独奏が入ります.チェリストは客演でフランス人でした.
チャイコフスキーはチェリストのレパートリーとしてはかなり重要らしいですが、オケの演奏会ではやや珍しい.ちょっとチェロのボリュームが乏しくていまいちでした.
レスピーギは「リュートのための古風なアリア」で有名な作曲家.先日話題にした「タイスの瞑想曲」と並ぶリラグゼーション音楽の代表格です.「ローマの松」はもともとオーケストラのための曲ですが、吹奏楽用にアレンジされてポピュラーです.
今回の曲は初めて聴く曲で、予習もしていませんでしたが、いい曲です.チェロのソロがあまりでしゃばらず、オケが厚みを加えるようにチェロのメロディーを支えていて、けっして聴いているものを興奮させるような曲ではありませんが、程よい気分にしてくれます.
CDを買わねばと思いました.

最後の曲の前に20分の休憩.始めの3曲はだいたい15〜20分位ずつ.ブラームスは45分くらい.特別な場合以外は途中で1回の休憩が入ります.

ブラームスは4曲の交響曲を作っています.交響曲第1番は「のだめカンタービレ」で千秋がライジングスターオーケストラを指揮をした曲です.
今回演奏された弦楽四重奏曲のオーケストラ版は「交響曲第5番」とも評されることもあるほどしっかりとした作り.それは原曲の弦楽四重奏としても、そして編曲版もということでしょう.
実は原曲を聴いたことがないので偉そうなことは言えませんが、ブラームスらしい響きがする反面、シェーンベルク(20世紀の作曲家で、かなり前衛的な曲も作っています)のアイデアなのでしょう、ブラームスの交響曲にはないような多彩な打楽器の活躍.
第4楽章はまるでハンガリー舞曲(第5番が有名、メロディーを聴けば誰もが知っている曲です).いろんな楽器が活躍して、あれよあれよという間に終演でした.

来月は2月20/21日、シューベルト「未完成」とマーラー「巨人」です.試験も終わっていますので、一度いかがですか?

METライブビューイング《タイス》

『タイスの瞑想曲』という曲をご存知でしょうか?
クラシックのイージリスニングやリラグゼーション音楽のCDには必ずといっていいほど入っています.実はなぜこの曲が『瞑想曲』なのか、考えたこともなかったのですが、今日、METライブビューイングでフランスの作曲家マスネがつくった『タイス』というオペラでよくわかりました.

このオペラはローマ時代?のエジプトが舞台.修道士が享楽的な生活を送っている娼婦タイスを改心させてるという話.完全に現実離れしたような話ですが、人間の心の移り変わりを楽しむことができました(^_^).

タイスは修道士の説得によって、それまでの生活を堕落したものとして悔い改めて修道院に入ります.最後は聖女として天に召されていきます.一方、改心するために努力したはずの修道士の方はというと、『ミイラ取りがミイラ』になるように、タイスの魅力に見せられてしまい、煩悩に悩まされます.
心模様が変化しているさまは、変わりそうで変わらない、変わったようでもどこか未練がある、未練を断ち切るように思い切る、とだれしもが経験するようなことなのですが、それだけに普遍的なテーマなのかもしれません.また、タイスの最大の魅力であるその美貌も、いつかは衰えるのではないかと鏡の前で自問する姿も印象的でした.

有名な『瞑想曲』は、このオペラのちょうど中間部分(第2幕の第1場と第2場の間)で、タイスが修道士に諭され瞑想にふけっている様子を表すために演奏されます.この曲の後には、すべてを捨てて修道院に入ることを決意している、という設定.オペラでは非常に珍しいことですが、オケのコンサートマスターがオケピットの中で立ち上がって演奏していました.

あまりあらすじを調べずに視に行ったのですが、見事にはまっているなと思いました.

さて、この『タイス』というオペラは、娼婦タイスと修道士であるアタナエルが主人公なんですが、演じていたのがタイス:ルネ・フレミング(ソプラノ)、アタナエル:トーマス・ハンプソン(バリトン).名曲が入っているにも関わらず、なかなかいい歌い手がいないのだそうで、演奏機会は非常に少ないようです.
今回の2人は、ともに現在世界最高の歌手に数えられています.特にルネ・フレミングの声、演技、見事です.あれなら魅せられてもいいかなと・・・σ(^_^;).一度でいいから生で視て、聴いてみたいですね.

ちなみに、このMETライブビューイングでは、幕間にバックステージを見せたり、出演者(今回は主役の2人)へインタヴューしたりと、生を見に行ったのでは味わえない特典があります.今回のインタビューアーはかつての3大テノールの一人、プラシド・ドミンゴでした.

次回は2月の初め、皆さんにとっては試験中なのが残念ですが、3月にはアンナ・ネトレプコが歌うドニゼッティの『ランメルモールのルチア』.とにかく悲劇m(ToT)m、絶対におすすめです.

年末年始の話題

明けましておめでとうございます.

みなさんは年末年始、どのように過ごしましたか? 私は表紙の通り年末に伊豆に行った以外は、今年は初詣でに行くこともなく、家で飲んだくれておりました.

大晦日はN響の第9.ちょうど紅白の裏でしたが、昨年は女性のソリストが素晴らしかったと思います.

元旦は、大晦日の深夜に録画したベルリン・フィルの『ジルベスターコンサート』.ドイツ語で大晦日のことを”Silvester”といい、大晦日に行われるコンサート(ときに深夜にカウントダウンすることもある)を『ジルベスター・コンサート』といいます.ベルリン・フィルのコンサートは昼間にやっているはずですが、生中継だと日本では深夜.昨年は、ガーシュインなどアメリカの作曲家を取り上げていました.名フィルの12月定期で聴いたばかりの、アダムス:
Short Ride in a Fast Machineも演奏されて、ちょっとびっくりしました.プログラムはここ(http://www.nhk.or.jp/bsclassic/special/index.html)です.
元旦の夜はもちろん、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート.ワルツやポルカが特に好きというわけではないのですが、必ず何がしかのアトラクションをやるので、それが楽しみです.今年は『ハイドン没後200年』と記念して、ハイドン:交響曲第45番嬰ヘ短調『告別』の第4楽章が演奏されました.これも10月の名フィル定期(第351回)で取り上げられた曲.

3日の夜にはNHKの東京と名古屋でやったニューイヤーコンサート.東京のは生放送でしたが、名古屋のは夕方の名フィルのコンサートの録画でした.名古屋出身のソリスト、ヴァイオリンやピアノの競演でした.春日井の高校生がラベルのピアノ協奏曲を弾いたのにはちょっとびっくりしました.彼は今年の夏に名フィル定期にでます.

そして昨日(4日)は、NHKで『夢の音楽堂』と題してウィーン国立歌劇場の音楽監督である小澤征爾の案内で、オペラ劇場の裏側を紹介したり、実際のオペラの解説したりしてくれました.実際のオペラの舞台を見ながらの解説だったので結構面白かったです.最後はクレンペラーという指揮者が振ったリヒャルト・シュトラウスの『バラの騎士』というオペラ.ウィーン国立歌劇場の『伝説』とまでいわれている舞台で、CDやDVDにもなっているはずです.しっかり録画してしまいました.

最近はオペラ・ブームだそうで、テレビで放送される機会も増えているように思います.DVDやBluerayは結構高いので、しこしこと撮りだめていています.改めていくつか見直してみたのですが、レハール:メリー・ウィドウは結構楽しい作品です.