新進演奏家のコンサート

 先日(1月18日)に
《新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・コンサート》と題する演奏会が名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールでありました。

 タイトルの通り、若い演奏家にオーケストラとの協演の機会を設けようという企画です。全国7地区で、それぞれ地域に関わりのある若手をオーディションで選抜して、ソリストとして招いた演奏会です。今回は
モーツァルト:クラリネット協奏曲、クラリネット独奏:亀居優斗
グリーグ:ピアノ協奏曲、ピアノ独奏:川添由梨香
ウェーバー:ファゴット協奏曲、ファゴット独奏:多作幸介
ラロ:ヴァイオリン協奏曲《スペイン交響曲》、ヴァイオリン独奏:篠山春菜
指揮:梅田俊明
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
でした。

 ソリストたちはもちろん全員20代(たぶん)。全員がオーディションの合格者といっても、楽器のバランスをとっているのでしょう。まだ大学在学中も居れば、かなり演奏のキャリアを積んでいる奏者も居て、実力にはやや幅があるように感じました。

 クラリネットの亀井はやや迫力不足。春日井市出身で、現在東京芸大の学生のようですから経験不足もあるかな。何となく線が細い。
 ピアノの川添は愛知県芸出身で、すでにドイツ留学を終えているようです。音がべたっとしていて、これまた音量がない。強く叩いているのでしょうが今ひとつ響いてきませんでした。ちょっと緊張していたのかな?第1楽章に??というところがありました。
 ファゴットの多作君は名フィルの首席奏者。実力も演奏経験も十分で、今更このような演奏会で?とも思ったのですが、今回は彼の演奏を聴くのが最大の目的でした。やはり、いつもやっている仲間同士、オケとの間がいいですね。うまく乗っている感じでした。ただ、楽器の性か、大きな音が出ないため、他の楽器と比べるとやや聴き劣りします。
 最後のヴァイオリンの篠山もまだ大学生。とは言っても、高校卒業後、いきなりオーストリアへ留学しているくらいですから、だいぶんステージ慣れしているようですし、迫力もあり聴き応えがありました。ただ、演奏中の姿勢や表現にやや癖があるかな? じつは選曲もちょっと癖があります。いろんな経験を積んでいくと、ただ「聴かせる」だけではない表現力が身につくでしょう。

 全体に残念だったのはお客さんの入り。演奏者がかわいそうなほどでした。高校生が団体で来ていたり、学生時代の友人、先輩後輩、親族などかき集めたのでしょうかちょっと・・・・。

 彼ら、彼女らが今後どのように成長していくのか楽しみです。

名フィル定期 第442回 

 今月の定期演奏会は先週末(1月13,14日)に行われ、プログラムは
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調
フランク:交響曲 ニ短調
チェロ独奏:山崎伸子
指揮:円光寺雅彦
でした。

 今回の指揮者・円光寺とソリスト・山崎はご夫婦です。5年前にもエルガーの協奏曲を協演されています(ここで紹介しています)。

 今回、前半に演奏されたドヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェロ協奏曲の中で最も有名な曲です。チェロの超絶技巧がちりばめられ、聴き所満載です。ドヴォルザークらしい、ロマンティックで耳に残るメロディーもたくさんあり、親しみやすさも抜群です。

 山崎のチェロは決してテクニックをひけらかすのではなく、しっとり優しく胸にしみこむような演奏でした。オケも(指揮者もというべきか)、それを支えながら一緒になってドヴォルザークの世界を表現してくれました。

 木管楽器のアンサンブルは、ややここの楽器の音が際立ちすぎかと思いましたが、その分、演奏者の個性がよく分かりました。弦楽器は舞台の床を響かせたような、かなりしっかりした音がしていました。

 休憩後はメインのフランク。指揮者・円光寺の得意な曲だそうです。フランスの作曲家ですが、このように交響曲を作曲する当たりはドイツ的です。必ずしも有名な曲ではありませんが、いくつか印象的なメロディーがあり、一度聴くと耳に残ります。

 作曲家晩年の作品だけに、曲の構成は非の打ち所なく、第1楽章に出てくる主題(中心になるメロディー)が後半に入っても繰り返されながら、全体が展開していきます。短いモチーフを積み重ねるというのとは違いますが、考え抜かれた曲作りです。

 円光寺は非常に暖かい音をつくる指揮者で、いつも聴き終わってほっとするような気分になれる演奏をしてくれます。今回は得意曲だけに力が入ったのか、力んでいるようなところがありましたが、いつでも聴きたくなるような安心できる演奏でした。

 ところで、名フィルの定期演奏会では開演前にホールのホワイエで15分ほどの「ロビー・コンサート」が行われます。小さなアンサンブル形式の演奏を、団員の方の曲目紹介とともに聴かせてくれます。楽器の音や演奏している様子を間近で見聴きすることができます。管楽器はもとより、弦楽器奏者でも息づかいまで聴けて、毎回楽しみにしています。ウィーン・フィルの「ニュー・イヤー・コンサート」の向こうを張ったわけでもないでしょうが、今回は「新年」ということもあり、楽しいウィンナー・ワルツでした。

 来月は、若手指揮者・川瀬賢太郎の棒で、旧ソ連時代の作曲家3人、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、プロコフィエフの曲が取り上げられます。