名フィル定期(第359回)&ザルツブルグ

 今月は興味深いプログラムのコンサートがあって、非常に楽しみな1ヶ月です.

 昨日は名フィルの定期で
ショスタコーヴィチ:祝典序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番《ジュノーム》
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》
の3曲.指揮は常任指揮者のティエリー・フィッシャー.テーマはずばり「春の祭典」

 今回もなじみのない方には???というプログラムかもしれませんが、曲を知っていると、とにかく「いったいどうなるんだろう」という、非常に興味深い選曲です.しかも、モーツァルトのソリストは高校生.ストラヴィンスキーの「ハルサイ」(と略します)はとんでもない曲なので、予習におさおさ怠りなかったのですが、聴きこめば聴きこむほどわくわくしました.(^^)
 
 「ハルサイ」が難曲なぶん正味1時間半足らずのコンサートでしたが、期待に違わず素晴らしい一夜でした.

 ショスタコーヴィチの「祝典序曲」は吹奏楽への編曲版が普及していて、聴いたことのある人もいるかもしれません.私も高校生のときにコンクールの自由曲でやったことがあります.テンポが速いのでそれなりに難しいのですが、曲の構成は比較的単純で、わかりやすい曲です.冒頭部分がモスクワオリンピック(1980年?)の開会式でファンファーレとしても使われていました.この日の演奏も、その後のメインとなるべき2曲を引き出すにふさわしい、まさに「序曲」らしい演奏でした.

 2曲目のモーツァルトの協奏曲は、27曲あるモーツァルトのピアノ協奏曲の中では若い頃(といっても36歳でなくなったモーツァルトが21歳の時に作った曲です)の作品で、瑞々しい快活さあふれる作品.ソリストも名古屋の明和高校3年生の北村朋幹.名フィル定期史上最年少のソリストということでしたが、高校生でこういう場が与えられるだけで素晴らしい才能を持っているということです.若々しすぎてやや不満を感じるのではないかと正直あまり来していなかったのですが、素晴らしいモーツァルトでした.

 指揮者のフィッシャーも、カチッとした音楽作りをするのですが、北村もけっこうまじめな青年なのでしょうか、非常に誠実で端正な音を聴かせてくれました.

 ピアノという楽器は誰が弾いても同じ音がしそうですが、これほど音作りの難しい楽器はないかも知れません.特にモーツァルトの音は弾き手によってすべて違うといってもいいくらいです.この日の演奏は、今後に大いに期待を持たせるものでした.

 一昨年、安城市出身のピアニスト・田村響がフランスの「ロン・ティボー・コンクール」で優勝して話題になりました(この時20歳)が、彼も同じく明和高校音楽科の出身で、彼が高校3年生のときに名フィルと協演しています(定期演奏会ではありませんが).チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾きました(今日のNHK・名曲探偵アマデウスで取り上げていました).全く違うタイプの曲なので比較はできませんが、今回の北村の方が演奏に落ち着きと深みがあったような気がします.

 また、先々週の金曜日に、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団という、その名の通り、モーツァルトの生まれ故郷であるオーストリア・ザルツブルグに本拠を置くオーケストラのコンサートがありました.オール・モーツァルト・プログラムで、第2曲目がラルス・フォークトというすでに国際的に活躍しているベテランピアニストがソロを弾いた協奏曲第20番でした.
この曲はモーツァルトにしては珍しい短調の曲で、彼の協奏曲の作風が一変したきっかけとなる重要な曲.昨年「名曲探偵アマデウス」でも取り上げていました.

 やはり「大人」と「子ども」の違いというか、曲自体にそういう違いがあるので比較してはいけないのでしょうが、わずかの間を置いて面白い聴き比べができました.

 さて、モーツァルトでさわやかに一服した後は、メインのストラヴィンスキーの「ハルサイ」
多くの方は作曲家の名前も聞いたことがないと思いますが、ぜひ一度この曲を聴いてみてください.「これがクラシック?」、「楽譜があるの?」と思うことでしょう.
楽譜を見てみると、変拍子(5拍子や7拍子)があったり、弱拍が強拍になったり、1章節ごとに拍子が変わったり、とついていくのがやっと.(・・;)

 これこそが20世紀最高の音楽であり、オケをよく聴く人なら、少なくない人が「ハマってしまう」名曲です.私も持っているCDは5種類くらいですが、買えるものなら売られているすべての種類を手に入れて聴き比べしてみたいです.
演奏するほうにとっても難曲ですが、さすがはプロ、というか、何やら鬼気迫るものを感じさせてくれました.いろいろ珍しい楽器も使われて編成も大きく、舞台一杯に並んだオケがつくりだす、まさに「異空間」に引き込まれてしまいました.
(北村君を聞きにきた観客?のなかには、ついていけなかったのか、やや緊張の切れてしまうお客さんがいたのが残念でした.)

 コンサートの後は、知り合いのソムリエが主催する夕食会に出席して、これまた極上のワインを飲み比べてきました.(「神の雫」ででてきた「幻のワイン」を堪能!!)(^○^)

 ちなみに今度の日曜日は、コバケン(小林研一郎)/名フィルの「モーツァルト:レイクエム」です.