名フィル定期 第436回 モーツァルトとラヴェル

 6月のの名フィル定期(6月17,18日)はモーツァルトとラヴェル、18世紀と20世紀の鬼才の代表作が取り上げられました。

 プログラムは
モーツァルト:歌劇《魔笛》序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ラヴェル:バレエ《ダフニスとクロエ》第1組曲、第2組曲
ピアノ独奏:アレクサンデル・ガジェヴ
指揮:高関健

 前半は序曲に協奏曲という、オーケストラのプログラムとしてはかなり古典的なスタイル。とは言え、天才モーツァルト晩年の傑作です。やや小ぶりの編成で、弦楽器もそれほどビヴラートをかけずに、素朴な音色にきこえました。もともと歌劇の序曲は、幕が上がる前で観客席がまだざわついている中で、「これから話が始まるよ」、「こんな感じの話だよ」と前触れするような意味で演奏されるもの。この《魔笛》序曲はまさにコンサートの冒頭にふさわしい、華やかなファンファーレで始まり、聴衆をわくわくさせてくれるような楽しい曲。今回の演奏は決して派手ではありませんが、聴くものに心構えを促すような演奏でした。

 今回の指揮者、高関は国内を中心に活躍している指揮者。楽譜をじっくりと読み込んで、とことん極め尽くすタイプではないかと思います。数年前の名フィル定期(第386回定期)ではブルックナー交響曲第7番という、1時間を越える大曲を寸分の隙もなく構築したこれ以上ないほどの名演でした。

 モーツァルトは当時、ピアノの名手として知られ、自ら作曲したピアノ曲を演奏して好評を博していました。このピアノ協奏曲第27番は、そんなモーツァルトにとって最後のピアノ協奏曲。なくなる9ヶ月前に初演されました。《魔笛》は死の3ヶ月前に初演されました。

 ピアニストは昨年浜松で行われた第9回浜松国際ピアノコンクールで優勝、そのご褒美のような意味で今回のソリストに抜擢されました。弱冠20歳での優勝、イタリア生まれで、幼い頃からオーケストラと協演していたとのこと。

ガジェヴのピアノのの音は非常に丸く、軽く弾みます。あるいは、噴水から吹き上がる水滴のようにわき出ては、はじけていきます。いかにもモーツァルトらしい、生き生きとした演奏でした。これに対して、オケは吹き出した水に濡れた芝生のように、しっとりとした下地をつくっていたように感じました。ピアノの音色とのコントラストが非常に印象的でした。こうした音色を作り上げることも指揮者の仕事。

 ソリストが優勝した浜松国際ピアノコンクールでは、今回指揮をした高関が協奏曲の指揮者を務めていたようですので、お互いに手の内を知った上でのプログラミングなのでしょう。

 浜松国際ピアノコンクールについてはここを参考にして下さい(http://www.hipic.jp/hipic/

 少し時間がたって記憶もおぼろ、字数の過ぎていますのでラヴェルは割愛します。

 7月は名フィル名誉指揮者のティエリ-・フィッシャーが登壇、ラフマニノフの交響曲第2番、1度聴いたら忘れられないメロディーがの続く傑作。さらに、ラフマニノフと同時代のプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲。こちらは若手有望株の女性ヴァイオリニストの登場です。