METライブ・ビューイング《蝶々夫人》

以前にプッチーニの有名なオペラ、「蝶々夫人」を紹介したことがありました.
ちょうど今ミッドランドシネマでMETライブビューイングとしてこの「蝶々夫人」を上映していますので、先週土曜日に見にいってきました.

正直言って、これまでみてきたMETの上演の中では最高です.(^ロ^)~~♪
タイトルロール(Title role)の蝶々夫人は、パトリシア・ラセットというソプラノ歌手が演じていました.はじめて見る(聴く)歌手だったのですが、この蝶々夫人が当たり役のようで、見事でした.難役なのだそうですが、そう感じさせないのはもちろんのこと、表現力が素晴らしいのでしょう.
ピンカートンを待つ切なさにジーンときて、裏切られたと知った瞬間の驚きと悲しさには胸が打たれます.最後は、カーテンコールでも涙が出てくるくらい(´Д⊂グスン 

このオペラには子役がつき物なのですが、この演出では人形をつかっていました.ヨーロッパのどこかの人形劇団だそうですが、日本の文楽に触発されてつくられたそうです.人形1体を3人の黒子が操作して、しぐさの一つ一つが本当の子どもであるかのよう.ぎこちない演技で変に気が散ることがあるのを思うと、大成功だと思います.

今週の金曜日までやっています.時間のあるからはぜひ行ってみてください.

来週の土曜日からは、ベルリーニの「夢遊病の娘」というオペラをやります.かなりマイナーな曲ですが、前に紹介したドニゼッティ「ランメルモールのルチア」と同様にベルカントオペラの代表作、主演はナタリー・デセイ、昨年のシーズンにドニゼッティ「連隊の娘」で大成功、透き通るような高音の響きにはうっとりさせられます.(*^O^*)

名フィル定期(第356回)

授業がないとなかなかファイルを開かないからか、趣味のページも久しぶりになってしまいました.

先週は、火曜日にヴェッセリーナ・カサロヴァという現在世界で1,2を争うメゾ・ソプラノ歌手のリサイタルと、昨日はMEライブ・ヴューイング「プッチーニ:蝶々夫人」、名フィル定期にいきました.
3月はちょっと時間ができるはずだったのでいろいろ入れてしまい、ちょっと後悔してます.

さて、まず名フィルの定期ですが、3月は今シーズンの最後ということで、華々しく「花火」というタイトル、曲は
ストラヴィンスキー:幻想曲「花火」
プロコフィエフ:交響的協奏曲(チェロ協奏曲第2番)
グラズノフ:交響曲第5番

今回もまたなじみのない名前が並んでいるかもしれません.今回はすべてロシア、あるいは旧ソ連の作曲家です.チャイコフスキーやボロディンのような「これがロシアの大地だ!」という響きではないのですが、ドイツやフランスの作曲家とは違う独特の音楽です.

バレエに興味のある人ならストラヴィンスキーの名前は聞いたことがあると思います.「春の祭典」、「ペトルーシュカ」、「火の鳥」は彼の代表的なバレエ音楽(これらを指して、ストラヴィンスキーの3大バレエといいます).20世紀の作曲家で、亡くなったのは1971年、「春の祭典」などは、これがクラシック音楽?と耳を疑うような曲です.今回の「花火」はわずか5分足らずの曲ですが、いろんな花火の様子を表現しているかのように、リズムや音色が目まぐるしく変わる楽しい曲です.現代音楽の香りはしますが、メロディーや音色を十分に楽しめるようにつくられています.

2曲目のプロコフィエフもバレエ音楽で有名な作曲家.「ロメオとジュリエット」というバレエ音楽では「パトリオット家とモンタギュー家」という曲が有名で、聴けば誰でも「あれか」とわかるはずです.
今回の演奏は、記憶に残っている限りいい曲だったのですが、どういうわけか睡魔との闘いを強いられ(>_<)、印象があいまいです.珍しい曲でCDを手に入れることもできず、予習していないのが響いたかもしれません.
ただ、チェロの独奏をしたタチアナ・ヴァシリエヴァはまだ若い(多分30代)のですが、かなり有名なチェリストだそうです.使っていた楽器は、あのストラディバリウス.小さくても遠くまで響きわたるような、それでいて透明感のある素晴らしい音でした.

メインのグラズノフは曲の特徴をとらえた力強い名演でした.この作曲家は有名な曲を探すのが難しいですね.超マイナーです.
チャイコフスキーの次の世代の作曲家で、オーケストラのための曲、特に交響曲に力を入れた作曲家です.この第5番は、それほど長い曲ではありませんが、4つの楽章がそれぞれ違った雰囲気、曲想を持っています.いずれもメロディカルなので、あまり難しいことを考えずに聴くこともできます.
全体に管楽器が活躍する曲で、第2楽章の木管楽器の掛け合いや第4楽章の金管楽器を中心とした大音量のファンファーレは聴きものです.

シリーズを締めくくるにふさわしい名演で、文字通り華々しく終わる聴き応えのあるコンサートでした.

木管アンサンブル2

今週火曜日にアンサンブルのコンサートに行きました.
栄の東急ホテルの横にある宗次ホールというところです.300席くらいの小さなホールで、1000円くらいのランチコンサートとか、「日常にクラシックを」をテーマに取り組んでいるホールなので、リーズナブルな価格で手軽にクラシック音楽を楽しめるように企画を組んでいます.オーナーの宗次さんは「ココ壱番屋」の社長(会長?)さんです.


この日のコンサートは名フィルのメンバーでつくっている「アンサンブル・フィービー」、コンサート・マスターの日比さんの名前のもじり、割とアットホームなコンサートでした.

全席自由だったのですが、2階席で聴いてみました.
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン(各1)にピアノという編成、このメンバーでできるいろんな編成の曲を取り上げています.

小さいなホールだからか、一つ一つの楽器の音がはっきりと聴けて、ちょうど、家のリビングでオーディオを聴いているような感じの響きでした.

前半のメインは、ベートーベンの「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットとピアノのための五重奏曲」.私にとっては聴きなれた曲で、何種類かのCDを持っていますが、生に勝るものはないですね.
モーツァルトも同じ編成の曲を作っていて、大阪にいたときにやったことがあります.5人でやる練習が本当に楽しかったのを覚えていますが、以外と本番のことは覚えていません.ベートーベンもこのモーツァルトの曲を聴いて、感銘を受けて同じ編成の曲を作ったといわれています.名曲です.何種類もCDを持っていますので、リクエストしてください.

後半は、リヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいないたずら」というオーケストラの曲を、ヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、ファゴット、ホルンという編成に編曲した五重奏.オーケストラの演奏会は奏しょっちゅう開かれないが、数人のアンサンブルなら気軽につくれるから(お金持ちなら招待できるから)ということでつくられた曲です.さすがにオケの迫力はありませんでしたが、確かに「ティル」でした.
ちょうど、先週も土曜日のNHKの「名曲探偵」がこの曲を取り上げていました.ドイツの伝説上のいたずら者「ティル」を題材にしたこの曲のストーリーを分かりやすく解説してくれていました.この番組を見ていたおかげて、曲の解釈も含めて、生演奏を堪能することができました.

最後はベルワルドという、スウェーデンの作曲家がつくったヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ホルン、ファゴットのための7重奏曲.シューベルトの1歳年上ですが、きわめてマイナーな作曲家です.この曲を含む室内楽のアルバムと交響曲全集のCDを持っていますが、それぞれ1種類しかないと思います.
なじみやすいメロディーと響きが特徴的な、わかりやすいいい曲です.同じ時代にあまりにも素晴らしい作曲家が多いので、陰に隠れてしまっていますが、もっと取り上げられてもいいと思います.
演奏は、やや低音の響きが弱かったですが、持っているCDの演奏に勝るとも劣らない素晴らしいものでした.

アンサンブルはやっぱり、一人一人の奏者が「この音を聴いてくれ」といい意味で競い合った結果うまれた響き、前にも書きましたが、1+1が2ではなく、3にも4にもなっていくところにあると思います.それだけに、メンバーの気が合っていることが何よりも重要で、同じオケのメンバーでこうした取り組みがもっと進んでいくと、名フィルもきっと素晴らしいオケになっていくことでしょう.

ちなみに、このアンサンブルのファゴット奏者は.名フィル主席奏者のゲオルグ・シャシコフという人です.ブルガリア人だそうで、コンサートの合間に、ブルガリア料理の紹介をしていました.名フィルのような地方オケが、管楽器の首席に外国人を据えたということは(クラリネットの首席も外国人です.)、けっこう全国的にも注目をされています.今のところ成功していると思いますが、これからが楽しみです.

METライブビューイング《ランメルモールのルチア》

週末にまたオペラ映画を観に行きました.今度はミッドランドでやっているMETライブビューイングで、ドニゼッティというちょうどシューベルトと同い年のイタリアの作曲家がつくった『ランメルモールのルチア』というオペラです.

実話に基づいたとされる同名の小説(戯曲?)をもとにオペラ用の台本が作られたようですが、舞台はスコットランド、したがってちょっと暗いです.
若い名家の男女の恋が、両家のしがらみゆえに引き裂かれるという、ちょうど『ロメオとジュリエット』のような話.

ただ、『ロメ&ジュリ』と違うのは、ヒロインであるルチアが無理やり政略結婚させられてしまうこと、そして結婚相手を初夜に殺してしまいます.その後意識もうろうとなったルチアは、錯乱の後狂死.恋人のエドガルドもルチア死の知らせを聞いて自ら命を絶つ.なんともやりきれない、悲しいストーリーです.

このオペラは、当時のイタリアの『ベルカントオペラ』最高傑作の一つ.ベルカントオペラとは、とにかく超絶技巧のような歌唱を伴っていて、『歌、あるいは歌手の技量を聴かせる』ことに重きを置いたようなオペラです.したがって演じる歌手は大変、この上演のルチア役は、以前に紹介したアンナ・ネトレプコという現在世界トップのソプラノ歌手.

何ヶ所も聴きどころがあるのですが、最後ルチアが結婚相手を殺して血まみれで寝室から出てきて、死んでしまうまでの15〜20分くらいのアリア.ほぼ一人で延々と歌い続けます.このアリアのためにその前のストーリーがあるといってもいいくらい.いくつかの舞台を見たことがありますが、何度みても引き込まれます.

ところで、アンナ・ネトレプコは昨年9月に出産、数ヶ月のブランク(があったはず)の後の初舞台ということでも、注目でした.ご本人もけっこう不安や緊張があったようですが、さすがでした.いつもの圧倒的な声量と高音の伸び.決してきらきらした声ではないのですが、そこがまたこの作品の悲劇性と、舞台であるスコットランドの雰囲気を感じさせてくれました.一度生で聴いてみたいものです.