ショパン「葬送」

ちょっと前に紹介した「名曲探偵アマデウス」が、月の途中から放送枠が月曜夜7時からに変更になってしまいました.

で、今日放送があったわけですが、取り上げられた曲はショパンのピアノ・ソナタ第2番「葬送」.
第3楽章が有名な葬送行進曲で、冒頭のフレーズを知らない人はいないかと思います.プロ野球の応援で、相手打者が凡退したときなどにもトランペットで吹いている人がいます.

実は全曲を通して聞いたことがなかったので、非情に新鮮な気持ちで番組を観ました.非常におもしろかったです.(^-^)

作家の平野啓一郎に「葬送」という、ショパン(とその友人であるドラクロア)を主人公にした小説があります.このタイトルもこの曲からとられていて、かなり綿密に取材して書かれています.読まれた方もいるかもしれません.
私もメモリアルイヤーだし、と買ってはみました.文庫本で、第1部、第2部(各上下2冊).内容が濃い上に、非常に癖のある文体で、第2部上巻で挫折してしまいました.(O.; )

番組の中でこの曲を弾いているピアニスト、小山実稚恵は日本を代表するピアニスト.確かショパンコンクールでも入賞しているはず.名古屋でも毎年二〜三回リサイタルをやっていますし、来月には芸文でショパンの協奏曲(2曲とも)をやるはずです.

さて、来週の「アマデウス」はチャイコフスキーの交響曲第4番、あっと驚くような曲です.再来週はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、誰もが知るあの曲です.

名フィル定期(第367回)

花粉が舞う季節になってしまいました.鼻をずるずるいわせてコンサートに行くのは気が重いのですが、昨年秋から治療している耳管狭窄の一環で、ずっと鼻炎薬を飲み続けているので、とりあえず症状が出ることなく過ごしています.

さて、先週末の名フィルの定期は「春 初めてカッコウを聴いて」と題して
ディーリアス:春初めてカッコウを聴いて(On Hearing the First Cuckoo in Spring)
ヴォーン・ウィリアムス:揚げひばり(The Lark Ascending)
リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲(Eine Alpensinfonie)
指揮:クラウス・ペーター・フロール、ヴァイオリン:滝千春(2曲目)
でした.

「四季」を一環テーマとした今シーズン最後の定期演奏会でしたが、いずれもタイトルにあるような情景を描いている典型的は「標題音楽」.前半の2曲は初めて聴く曲でしたが、いずれも19世紀末から20世紀に活躍したイギリスの作曲家の作品です.

ディーリアスは名前を聞くのも初めてなのですが、この曲は、ちょうど印象派の絵の様な雰囲気.当日のパンフレットの解説には、厳密な意味での描写音楽ではないと書かれていたのですが、見事に春の風景を描いていましたと思います.

2曲目はヴァイオリンの独奏がヒバリを表すかのように鳴り続け、オケはやや控えめ.最後はヒバリが飛び去っていくように、ヴァイオリンの音が消えるように静かに終わります.
ヴォーン・ウィリアムスは大規模な編成の交響曲しか聴いたことがなく、こんなかわいらしいというか、詩情あふれる曲はちょっと驚きでした.彼の代表作らしいのですが、自然をテーマにしているのは共通するところかもしれません.「海の交響曲」、「田園交響曲」、「南極交響曲」などが有名です.

後半はリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」.総勢100人を超える大オーケストラによる壮大な曲です.コンサートホールの舞台にあふれんばかりにオケが並び、管楽器は基本的に4本ずつ、ホルンは8本、この他に舞台外にホルン12,トランペット2,トロンボー2(バンダといいます).オルガンやチェレスタも加わり、打楽器にはウィンドマシーンやサンダーマシーンも入ります.
題名の通り、ヨーロッパアルプスを描いた作品.作曲者のリヒャルト・シュトラウスはドイツ生まれですが、山、登山が好きだったようで、アルプスの麓に別荘を持っていて、毎夏を過ごしたそうです.そのときの体験をそのまま音楽にしたのでしょう.

曲の途中に作曲者自身がつけた標題があり、それにしたがうと、「夜」にはじまり、「日の出」とともに「登山」がはじまります.この「登山」を表すテーマメロディーはこの曲の至る所で耳にすることができすのですが、「山頂」につくまでの間、「森」を抜け、「小川に沿って歩み」、「滝」に出会います.バンダは途中の「山の牧場」から聞こえてくる牧童の笛の音.「道に迷って」「氷河」に遭遇したかと思うと「花咲く草原」も目にします.
「山頂」からの雄大な景色が見事に表現されたかと思うと「霧が立ちこめ」「日がかげり」、不気味な「嵐の前の静けさ」に続いて、「雷雨と嵐、下山」です.ここでウィンドマシーンやサンダーマシーンがうなりを上げます.嵐が収まると登山もいよいよ終わりに近づき、一日を振り返って「悲しい歌」が聞こえ、やがて「夜」を迎えて曲は静かに終わります.

交響曲というと固く聞こえますが、映画のサウンドトラックを聴いているような気分になれる曲です.ただ、全体で約50分、全く切れ目なく続くので、ちょっとしんどいかもしれません.

最後に、今回の指揮者は初めて知ったのすがかなり有名な方のようです.確かにこれだけの大曲、難曲にもかかわらず、気がつくようなほころびもなく、50分間緊張感を保ちながらまとめ上げた手腕には敬服します.終演後は客席はもちろん、オケからも惜しみない拍手が送られていました.

4月からは新しいシーズンがはじまります.次のテーマは「都市と音楽」とのことで、世界、特にヨーロッパの都市とそこにちなんだ音楽で構成されます.第1回目、4月は「プラハ」がテーマで、「モルダウ」で有名なスメタナの「わが祖国」全曲です.指揮者は名フィル桂冠指揮者の小林研一郎(今週木曜日にも彼が指揮する名フィルの特別演奏会があります).「わが祖国」はコバケンの十八番、名演が期待できます.

春の祭典

以前にも紹介をしましたが、日曜日の夜8時からNHKのハイヴィジョン放送で「名曲探偵アマデウス」という番組を放送しています.ちょうど大河ドラマの裏で、毎週ではないのですが、2年続いています.この4月からは月曜夜7時に変わるみたいですが・・・(格下げ?(; ; )

先日の日曜日に、ストラヴィンスキーという作曲家のつくった「春の祭典」という曲が取り上げられました.以前にも名フィル定期のプログラムとして紹介しました(
ここ)が、やっとというか、とうとうというか、番組のテーマになりました.
何度も聴いている者としてはもっと詳しい解説をしてほしいところですが、初めて聴く人も多いかと思うと、いつもながらツボを心得た説明だったと思います.それより何より、とにかくこの曲を取り上げたことがすばらしい!!(
番組案内はここ

以前にも書いたように、楽譜があるのか? 本当にちゃんと演奏できているの? と思いたくなるような曲.初演時のスキャンダルは有名ですが、「いかにも」と誰しもうなずいてしまいそうな曲です.

毎週日曜日の夜9時から教育テレビで放送されている「N響アワー」で、次回(14日)にこの「春の祭典」(通称「ハルサイ」)が取り上げられます.見事にはめたような順番ですが、時間のある方はぜひ観て、聴いてみてください.(
N響アワーのサイトはここ)また、「名曲探偵アマデウス」は再放送もありますので、興味のある方はそちらも.

名フィル定期(第366回)

名フィルの2月定期が先週土曜日にありました.おそらく今シーズンの中でも呼び物のプログラムだったろうと思いますが、こんかいだけ聴きに来たというお客さんも結構いたような気がします.

呼び物は指揮者、ハインツ・ホリガー.オーボエ奏者や作曲家としても非常に有名で、今回も自身のために作曲された協奏曲の吹き振り(独奏と指揮を両方やること)と自身作曲の歌曲の日本初演を含んでいます.
プログラムは
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ルトスワフスキ:オーボエとハープのための二重協奏曲
ホリガー:クリスティアン・モルゲンシュテルンの詩による6つの歌
シューマン:交響曲第1番「春」
2曲目の独奏は、オーボエ:ハインツ・ホリガー、ハープ:ウルスラ・ホリガー(ご夫婦です)、3曲目のソプラノ:秦茂子

ラヴェルの曲はややマイナーですが、CDも割と出ているし、題名の通りスペインのいろんな情景が浮かんでくる曲です.BGMにできる雰囲気ではありませんが、ラヴェルらしい音使いです.冒頭と言うこともあり、あっという間に過ぎてしまい、もうすでに記憶が薄くなってしまいました.

私は定期演奏会の「定期会員」、つまり毎回同じ席のチケットをまとめて割安で購入しているのですが、隣の席にも同じ定期の会員の方がおられます.年配のご夫婦ですが、ちょうど2週間前にスペインに行ってこられたとのこと.さて、どんな風にきこえていたのでしょうか?

2曲目と3曲目はいずれも初めて聴く曲.全く予習なしでした(..; ) 
3曲目の歌は、ソリストの張りのある声とともに、非常に親しみやすいメロディーで、すっーと入ってきました.作詞者は19世紀後半から20世紀初頭に活躍したドイツの詩人だそうで、詩は季節感を前面に出した中に、ちょっと寂しさを感じさせるような内容です(訳詞を読むと・・・(^^)).作曲者である指揮者自身にも思い入れというか、愛着があるのかなと思わせるような、しみじみした演奏でした.
理解を超えていたのが2曲目.今回演奏した2人のために1980年に作曲されたそうで、初演はもちろん、2人で何度も演奏してこられたのでしょうから、完全に掌中に収めた曲なのでしょうが、前回の武満同様、様々な音、響きの連続というか羅列で、(?_?)エ?  申し訳ないですが表現のしようがありません.ただ、ホリガーのオーボエは確かにすごいです.CDは出ているようですので、興味のある方はぜひ一度聴いてみてください.

メインのシューマンは、今年が生誕200年であることにちなんだ選曲だと思います.シューマンは4つの交響曲を書いていますが、その中でも新婚ほやほやの時期につくったこの第1番は、シューマン晩年のような暗さを感じさせない清々しい曲.今シーズンのテーマ「四季」では外せない曲でしょう.

シューマンのオーケストラ曲は管楽器のソロがあまりなく、常に弦楽器全体がなっているため、何となくメリハリがない感じがするのですが、今回の演奏は全体に速めのテンポで、個々の楽器、特に管楽器の音が浮き出るような演奏でした.したがって、弦楽器がメロディーラインを歌いこむようにテンポを動かしたりすることもなく、ちょうど先日紹介した古楽器による演奏に似ていました.
私が持っているCDは、カラヤン/ベルリン・フィル、ムーティー/ウィーン・フィルと、かつてのあるいは現代の巨匠が世界最高のオケを十分に歌わせるような演奏.ホリガー/名フィルと聴き比べてみると、重たくてややもたれます.

3月の定期は12、13日(
案内はここ)、テーマは「春初めてカッコウを聴いて」.テーマ通りの曲名の小品ではじまり、ヴァイオリン独奏を含むヴォーン・ウィリアムスの「揚げひばり」と、メインはリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」、アルプスの1日を描いた大作です.