ラ・ボエーム

先週土曜日は《椿姫》のあと、いったん帰宅して昼寝して、夕方から栄・宗次ホールでの声楽のコンサートを聴きに行きました.

出演は
砂川涼子(ソプラノ)、村上敏明(テノール)他

休憩を入れて約2時間半と長めのコンサートでしたが、前半は《帰れソレントへ》やグノー、ヴェルディなど有名な歌曲、あるいはオペラのアリアを6曲.砂川涼子が宮古島出身ということで、宮古島の民謡も歌われました.

後半がメインで
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》(ハイライト)
いすとテーブルという簡単なセットとピアノ伴奏で、本来2時間半くらいのオペラを1時間ちょっとに短縮.ストーリーは出演者の解説とナレーションで進めるという、簡易版.
ラ・ボエーム、イタリア語(La Boehm)ですが、英語で言うとThe Bohemian、辞書的には「芸術家など習俗にとらわれずに自由奔放に生活している人」.

《椿姫》と同様に19世紀半ばのパリを舞台にした、こちらは貧しい青年(自称)芸術家たちの恋物語.学生っぽいジョークなどが飛び交う一方で、プッチーニらしい胸にしみこんでくるようなメロディーにあふれる傑作です.このページで触れたことがないようなので、機会があれば見どころ、聴き所を紹介しようと思います.

砂川と村上はともに日本を代表する若手歌手.砂川涼子は昨年10月の名フィル定期で聴ききました.ホールの違いでしょうか、今回は声量に圧倒されてしまいました.声を耳で聴くというよりも、音波を身体で受け止めているという感じ.こんな体験は初めて.

お二人はご夫婦だそうで、仲良く恋人役を演じてくれました.比較的安価(全席自由で¥3,500でした)に、一流歌手の演奏でオペラが楽しめる今回のような企画がたくさん組まれるといいですね.

ところで、「初めてオペラを観る」というのであれば、この《ラ・ボエーム》か前回紹介した《椿姫》がお勧めです.プッチーニとヴェルディ、イタリアオペラの2大巨匠の代表作ですが、ストーリーが分かりやすい.人気があるので映像もたくさん出ていて手に入りやすい.音楽のタイプが全く違うので、好き嫌いがあるかもしれませんが、比較的初期(《椿姫》はヴェルディの中期といった方が正確ですが)の作品なので、気にいればそれを入り口にして他の作品にも入っていきやすいのではないかと思います.

椿姫(METライブビューイング)

デセイ《椿姫》を観てきました.

先週土曜日と今日・火曜日にも休みをとって^_^; いずれも満席に近く、(O_O) 客層にはだいぶ違いがありましたが・・・

さて、冒頭、悲しげな曲調の前奏曲が流れる中を主人公・ヴィオレッタ(この役をナタリー・デセイが演じ歌っています)が舞台に入ってくるのですが、この時点でヴィオレッタは結核を病んでいるという設定.いかにも息苦しそうにしていながら、曲調がワルツ風に代わったとたんに「元気いっぱい」とばかりに激しく動き回りました.演出なのですが、観客の目を釘図けにしてしまう演技には恐れ入ります.

赤と白の衣装は非常にシンプルなのですが、それぞれをシンボリックに使い分けていて効果的でした.ひとつひとつの動きが計算し尽くされているようで、登場人物の感情変化を見事に表現していました.イタリア語で歌われているので、映画同様字幕が出ますが、字幕をおっていると音楽が上の空になりやすいのですが、今回は演技や表情を観ているだけで何を考えているのかが何となくわかってくるので、シンプルな舞台もいいのかなと感じました.

第2幕では椿の花をあしらったガウンやソファーカバーが見事で、「我が家にも」と思った人も多かったのでは(^^).私もガウンはほしいと思いました.

ただデセイは声の調子があまりよくなかったようで、後半では何度か声がひっくり返りそうになっていました.途中のインタビューでもがらがら声でした.また、第1幕最後にあるこのオペラ最大の聴かせどころ「花から花へ」の最後の高音も外してしまうなど、全体としては非常にすばらしい舞台だっただけに、ちょっと残念でした.
また、ヴィオレッタの恋人・アルフレード役を演じたマシュー・ポレンザーニは、たぶん初めて聴いたと思うのですが、柔らかい声質で優しく歌うテノール歌手.来シーズンも出るそうなので楽しみです.

椿姫:次回の紹介2

先ほどMET《椿姫》のチケットを予約しました.ミッドランドスクエアシネマへ行ったことのある方はご存じでしょうが、ホールが7つあって、それぞれ収容人数が異なっています.先週の《マノン》を始め、これまで上映されたMETライブニューロングは、中くらいのサイズのホールで上映され、それでも空席が目立つほど.ところが次回《椿姫》は一番大きなホール、土曜日だからかもしれませんが、かなりの入りを見込んでいるようです.

たくさんの人が見に来られるのはいいのですが、外れたらどうするの(..;)
でも、一度観たら間違いなくあなたもとりこになります\(^O^)/

さて、今度上映される公演の演出は、オーストリア・ザルツブルクで行われる『ザルツブルク音楽祭』というイベントで数年前に成功したものを、そのまま持ってきています.このときの主演は先日の『マノン』を歌ったアンナ・ネトレプコ.テレビ録画を持っているので、昨日、一昨日と予習をかねてすこし観てみました.

はじめてオペラを観る人にはややわかりにくい演出かもしれません.時代背景などを反映した舞台にはなっていない、つまり大道具の造りなどが19世紀・パリの豪華絢爛な様子を反映しておらず、ちょうど抽象画を見ているような舞台.その代わり音楽、歌に集中させようという演出家の狙いがあるようですが、取っつきにくいのは事実.

ナタリー・デセイという歌手は「歌う女優」ともいわれるほど演技に長けたオペラ歌手で、これまでにも多くの名舞台を作り上げています.昨年、同じMETライブビューイングでのドニゼッティの《ランメルモールのルチア》(
ここ)の演技も実にすばらしいものでした.身体を常に動かしながら、顔の表情なども真に迫りすぎていて、音がなく字幕だけだったら、舞台演劇とまちがえてしまうかもしれません.

実はお城も観に行っています

ここのページも観ていただいているようでありがとうございます.

今週の授業の折、「最近はお城に行ってないのですか?」と訪ねてくれた人がいました.そういえば久しく記録をつけていなかったのですが、いくつか行っております.ここではなく、表紙に写真を載せるだけにしてしまっていたため、別の写真に変えるとそれっきりになってしまっておりました.

とりあえず行った証拠に再掲します.

2009
年5月

 ゴールデンウィークが終わって世間が落ち着いたところで彦根城へ行ってきました.写真は玄宮園というかつての城郭内の庭園.国宝である天守を背景にした有名な景色です.現在に残る城郭建築としては非常に大きな規模を持っていますが、天気も良く、ちょっとしたハイキング気分を味わえました.写真としては池に映った天守までいれるべきだったと後悔しています.

2010
年3月
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 恵那市の旧岩村町にある岩村城.標高717メートルと日本で最も高いところに築かれたお城.日本3大山城の1つで、16世紀初めにこの地の豪族遠山氏(《遠山の金さん》のご先祖)の居城として築かれたと言われています.石垣しか残っていませんが、なかなかしっかりした造りです.


2010
年8月

 有名な小田原城、新幹線から見えている天守閣です(2010.8.4).

2011
年8月

松本城です.この日は上天気に恵まれ青空に黒壁が映えています.中央の一番高い部分が天守、右側が小天守、その間が渡り櫓といい、ここまでの形式を連結式天守といいます.築城初期につくられた部分で、防御に力点を置かざるを得なかった江戸初期の形式.左側、天守のすぐ前が附き櫓、さらに手前の赤い欄干の付いている部分が月見櫓.文字通り月見をするためにつくったそうで、いくさのなくなった時代の反映でしょう.天守に櫓が付いている形を複合式天守といいます.連結式と複合式が組み合わされた天守は珍しく、築城当時のまま保存されていることとあわせて、国宝たるゆえんです.

椿姫(METライヴビューイング):次回の紹介

マノンの紹介ですこし触れましたが、今度の土曜日から(金曜日までの1週間)、今シーズンのMETライブビューイング最後を飾る
ヴェルディ作曲《椿姫(La Traviata;ラ・トラヴィアータ)》
です.(
2011-2012 | 演目紹介 | METライブビューイング | 松竹
主演はナタリー・デセイ、私が一番好きな歌手です.

《椿姫》は1850年頃のパリを舞台とした、高級娼婦=椿姫と田舎から出てきたお坊ちゃんの恋物語.ジュリア・ロバーツとリチャード・ギアが主演した映画《プリティー・ウーマン》はこのオペラのストーリーをたたき台にしてつくっています.映画の中で2人で観に行くオペラも《椿姫》です.
詳しいストーリーはここ

今回の上映は、4月に現地上演された録画ですが、評判は上々(ここ:
METライブビューイング 最新情報)のようで、今から期待に胸をふくらませております(^^).上のサイトで一部視聴できます.
一昨年、別の劇場による同じ《椿姫》の来日公演を見に行きましたが(
ここ)、今回は演出が全く異なっているので、どんな表現をするのか楽しみです.

さて、時間があれば、この《椿姫》でのデセイの歌声と前の《マノン》を歌ったネトレプコの歌声を比べてみてください.同じく現代を代表するトップソプラノですが、声の質が全く異なります.デセイは軽やかで透明感があり、高音を軽々と扱っています(このようなタイプをソプラノ・レッジェーロ、またはコロラテューラ・ソプラノといいます)が、ネトレプコはややかれたような声なのですが、抒情的で、高音域にも声に奥行きがあります(ソプラノ・リリコといいます).

《椿姫》は日本で非常にポピュラーなオペラ演目で、DVDもたくさん出ていて、テレビでも比較的よく取り上げられます(再来週、NHKがデセイが歌った《椿姫》の別の公演を放送します:
プレミアムシアター|NHK).

マノン(METライヴビューイング)

ゴールデンウィークはいかがでしたか? 事故や災害もあり、あまりうきうきもできませんでしたが、最終日にオペラの映画を観に行きました.

3月にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称MET)で上演された公演の録画を名駅・ミッドランドスクエアシネマで上映しています(今週金曜日まで).世界的な企画で、アメリカ国内などではライヴ上映なのですが、日本では時差や字幕をつけなおしたりするために、1ヶ月遅れくらいで上映、ただし通常の映画通り土曜日始まりで1週間やっています.松竹の配給ですが、東海3県ではミッドランドでだけ上映しています.(HPはここ:
METライブビューイング | 松竹

さて、今シーズンは今回の
マスネ作曲《マノン》と今度の土曜日から始まるヴェルディ作曲《椿姫》で終わりです.

《マノン》は、18世紀フランスのアベ・プレヴォー作《マノン・レスコー》という有名(ダそうです)な小説に材をとったオペラで、ほぼ同時期にプッチーニが《マノン・レスコー》というオペラをつくっています.

この小説を読んでみましたが、??でした.新潮文庫で出ています.

マスネは19世紀後半を代表するフランスの作曲家で、他には《タイス》(『タイスの瞑想曲』が有名)(
ここを参考にしてください)というオペラもつくっています.
フランスの作曲家らしく、音楽がすばらしく、フランス語の語感を優しく奏でていて、同じフランスオペラであるビゼー作曲(カルメン)などとは全く違う味わいです.公式の紹介はここ:
2011-2012 | 演目紹介 | METライブビューイング | 松竹 一部視聴もできますので、ぜひ!

主役のマノンを歌ったのが、アンナ・ネトレプコ、今シーズンのMETの顔.衣装の華やかさとも相まって、本人が目の前にいたら・・・(^_^; 

残念ながらこのオペラはいいディスクがなく、やや予習を怠ってしまい、途中でややうとうとしてしまいました.\(__ ) ハンセィ