映画『カルテット』のリゴレット

以前紹介した『カルテット』という映画のエンディングで使われていた
ヴェルディ:リゴレットのCDを入手。早速聴いてみました(^-^)/

映画を観た時に感じたように、ソプラノは高音でありながらも柔らかく丸みがあり、テノールは明るく澄んだ声質。何度聴いても決して飽きることがないような素晴らしい演奏でした

DECCA
レーベル(輸入盤)で、Verdi: Rigoletto -- Highlightsと題されています。つまり全曲入っているわけではありません。
演奏は
マントヴァ公爵(テノール):ルチアーノ・パヴァロッティ
ジルダ(リゴレットの娘)(ソプラノ):ジェーン・サザランド
リゴレット(公爵づきの道化)(バリトン):シェリル・ミルンズ
マッダレーナ(殺し屋の妹)(メゾソプラノ):Huguette Tourangeau(フランス人らしいのですが、読めません(~_~
ロンドン交響楽団、指揮:リチャード・ボニング
CDのトラック14 "Bella figlia dell'amore(美しい恋の乙女よ)"です.
Webサイトはここです.

1971年、パヴァロッティが36歳、サザランドが45歳の時の録音です。お二人とも既に亡くなっていますが、年齢的にはともに絶頂期と言っていい時期ですね。指揮者のボニングとサザランドはご夫婦。当時あまり顧みられなかった19世紀初め頃のイタリア・ベルカント・オペラに光を当てた功績者です。パヴァロッティはそうした中で見出された逸材、20世紀後半を代表するテノール歌手です。

名フィル定期(第402回)

先週土曜日、名フィルの定期演奏会は「水・土ー廻る水の北の大地」と題して
細川俊夫:循環する海
ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番
バッハ(エルガー編曲):幻想曲とフーガ ハ短調
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」
指揮:川瀬賢太郎
クラリネット独奏:アンドレアス・オッテンザマー
でした.

メインのメンデルスゾーンもよかったのですが、何よりも先ずは日本人作曲家の作品から.
細川は現在ウィーン在住.作曲家として高く評価されているようで、ヨーロッパの有名なオーケストラのコンサートでもよく取り上げられているようで、CDもたくさんあります.今回の曲は、2005年にザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルによって初演されたそうで、恐れ入るばかりです.題名の通り、水が海から始まって、雲、雨そしてまた海の水というように循環していく様子を音で描いた曲です.

コンサートの前に作曲者自身によるプレ・トークがあり、簡単な解説をしてくれました.ある程度ストーリーを知って聴くと非常によくわかります.打楽器として”風鈴”も使われていました.また、弦楽器の使い方もおもしろく、現代音楽らしい様々な音色を体験できます.

1955年広島生まれで、原爆の惨禍をテーマとした「ヒロシマ・レクイエム」という曲もつくっています.

2曲目、作曲者のウェーバーは《魔弾の射手》で有名.1796年生まれで、ベートーヴェンよりも一世代下の作曲家.ドイツ・ロマン派初期の代表的な作曲家です.優れたクラリネット奏者の友人がいたようで、今回の曲の他にもクラリネットのための曲をいくつか作っています.ただ、今回はなんと言っても独奏者が\(^O^)/

現在ベルリン・フィルの首席奏者、まさに現代を代表するクラリネット奏者.それも1989年生まれという若さ.まるで言葉を話しているかのように自在に音が出てくるよう.それほど大きな音を出しているわけではないのですが、丸く柔らかい音がホール中に響き渡るようでした.

ベルリン・フィルは今秋来日して名古屋でも聴くことができますが、4年前には首席フルート奏者のエマヌエル・パユが名フィル定期(
第364回)でソリストを務めています.従って、ベルリンの首席が来たのは2回目です(来年1月には元首席ホルン奏者が来ます)

プリティー・ウーマン

先週、『プリティー・ウーマン』という映画を観に行きました。約20年前の映画です。挿入曲が有名で、映画は知らなくても、この曲を知らない人はいないでしょう。

この数年、映画を観に行く機会が多くなったのですが、「午前10時の映画祭」と題して、過去の名画(洋画ばかりです)を1週間に1本ずつ、毎朝10時に1回だけ上演する企画によく通っております.この辺りでは小牧のシネコンだけでしかやっていなかったのですが、今年から上演期間を2週間にして、名古屋市内の映画館でも上演されるようになったはずです。先週と今週が『プリティー・ウーマン』でした。来週からは『ウェストサイド・ストーリー』です。

さて、なぜわざわざ『プリティー・ウーマン』を取り上げたかといいますと、この映画の下敷きになっているのがヴェルディ作曲の『椿姫(原題:La Traviata)』というオペラで、この映画の中でカップルで観に行くオペラも『椿姫』です。オードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」が下敷きとしている記事もありますが、ちょっと違う気がします.

『椿姫』というオペラはこれまでにも何度か紹介しています(ここ)が、19世紀半ばのパリが舞台で、高級娼婦・ヴィオレッタと田舎から出てきたお坊ちゃんとの儚い恋の物語です。最後はヴィオレッタが結核で死んでしまいます。一方、映画は現代のロサンジェルスを舞台に、ジュリア・ロバーツ演じる場末の娼婦・ヴィヴィアンと、リチャード・ギア演じるニューヨークから来たエリートビジネスマン・エドワードの恋。オペラ同様に、邪魔が入り、ちょっとこじれます。ただ、映画のいいところは、ハッピーエンドであるところでしょうか。

ロスからシスコへ自家用ジェット機で行くのはいかにもという演出です.しかし、ロスにはいい歌劇場はなく、シスコの歌劇場、サンフランシスコ歌劇場はアメリカ3大オペラハウスの一つに数えられる名劇場.従って、わざわざ行く価値があるわけです.

観劇のシーンでは、『椿姫』の第1幕の前奏曲と「乾杯の歌」、ヴィオレッタのアリア「花から花へ」(一部)、第2幕のヴィオレッタのアリア「私を愛して」、そして第3幕終曲のヴィオレッタが息を引き取るところの音楽が使われていました.最後の曲は舞台は写さずに、ヴィヴィアンが涙する様子を写しているだけだったのですが、この曲はいつ聴いても目頭が熱くなります.

映画のラスト、白馬の王子をまねてか白色のリムジンに乗りエドワードがヴィヴィアンを迎えに行き、花束を持ってオープンルーフから身を乗り出し、階段を上っていくところ.ここでもオペラ第2幕のアリアを使っています.

興味のある方はぜひ見較べてください.

カルテット

今、『カルテット 〜人生はオペラハウス』という映画がロードショー中です.

名優・ダスティン・ホフマンの初監督作品で、もともとは戯曲として書かれていたものを、「戦場のピアノスト」と同じ人が脚本化した作品.映画の舞台は引退した音楽家のための養老院。運営資金を稼ぐためのコンサートにむけた準備中に、かつてのスター歌手が入所してくるところから始まります.主演の4人はイギリスの有名は俳優ばかりだそうですが、何よりびっくりしたのは、養老院の入所者として登場していた「かつての音楽家たち」が本当に「かつての音楽家たち」であること。従って、演奏は実際に彼ら、彼女らがその場でやっているものだったこと。演奏にも、演技にもリアリティがあります。

映画の中では、彼らの演奏だけでなく、随所に名曲がちりばめられていて、これだけでも十分に楽しめました.

映画の題名「カルテット」とは、四重奏、または四重唱を指して使われる語ですが、ここではヴェルディ作曲のオペラ《リゴレット》の中で歌われる『美しい乙女よ(原題:Bella figlia dell'amore)』というソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンによる四重唱を、特にさしています。この曲は、映画のクライマックスと同時にエンディングとして用いられています.オペラ史上最も美しい四重唱といわれる曲ですが、ここでの演奏は、映画の出演者によるのではなく、ソプラノ:ジョーン・サザーランド、テノール:ルチアーノ・パヴァロッティ他による名演・名盤です.


引退した音楽家のための養老院、映画ではロンドン郊外にある『ビーチャム・ハウス』という名称でした。ビーチャムは実在のイギリスの作曲家。イギリスにこのような施設があるかどうかは知らないのですが、イタリア・ミラノには実在します。日本語では『音楽家の憩いの家』と呼ばれていて、ヴェルディが亡くなる直前、つまり今から100年以上前に私財を投じて作った施設です。現在も運営されていて、ヴェルディ曰く、「私の最高傑作」とのこと。

今年はイタリア・オペラの巨匠、ジョゼッペ・ヴェルディの生誕200年。ベルナールと同い年ということになりますが、イヴェントや関連本の出版が相次いでいます。この映画は昨年製作されたイギリスの映画ですが、メモリアルを意識して作られています。映画はコンサートの場面で終わるのですが、その始まりに観客たちがヴェルディの有名な肖像画をバックに記念撮影をしています.

名古屋・伏見の『ミリオン座』でやっています.