名フィル定期(第363回)

先週の土曜日、やや冷え込んだ日に挟まれたちょっと変な一日でした.先月よりはややメジャーな曲が入っているためか、お客さんは少し多かったような気がします.

さて、今月のテーマは「
11月の森」 実際のプログラムは
バックス:交響詩「11月の森」
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲、第2組曲
でした.
テーマ自体は1曲目の曲名そのままで、後の曲は必ずしもテーマとは関係ないので、これまでの演奏会と比べるとやや一貫性に欠く印象です.
たぶん指揮者とソリストの考えが大部はいっていると思います.

今回の指揮者は、広上淳一.20年くらい前に名フィルのアシスタント・コンダクターをつとめたこともあり、これまでも何度も協演しています.お互いに気心の知れた間柄といってもいいのでしょう.
ソリストは、ボリス・ベルキンというかなり有名なヴァイオリニスト.指揮者の広上とは今回のブルッフの協奏曲のレコーディングもしているため、これまた気心の知れた関係といってもいいのでしょう(このCDのオケは、イギリスの名門、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団です.これです:後半3曲)

「ペール・ギュント」は、冒頭の「朝」が非常に有名で、中学校などの鑑賞曲に指定されていたこともあるし、CMなどでもよく使われています.題名は知らなくても何処かで聴いたことのある曲だと思います.Youtubeで「ペール・ギュント」と入れてみてください.たくさんの「朝」に出会えます.

この曲は、以前のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」同様に、演劇用の付随音楽としてつくられました.その中から作曲者自身が4曲ずつを選んで2つの組曲をつくり、この組曲の形で頻繁にコンサートで取り上げられたり、CDとしてカップリングされています.すべての曲の雰囲気が異なっていますし、物語を知らなくても飽きずに楽しめます.最後は消えるように終わっていくので、何となく物足りなさが残るかもしれませんが.

今回の演奏会のメインはおそらく2曲目のヴァイオリン協奏曲.ソリストが大物ということもありますが、曲がいい.ブルッフという作曲家は19世紀後半にドイツで活躍した作曲家.たくさんの曲を作っているらしいのですが、現在演奏される機会があるのはこのヴァイオリン協奏曲くらい.ヴァイオリニストにとってはきっと難しいのだと思いますが、CDもたくさん出ています.
ソロのヴァイオリンはほとんど休みなく弾き続けているのですが、非常に印象的なフレーズがいくつかあって、一度聴けば忘れません.今回の演奏も彼らのCDの通り、ヴァイオリンという楽器のダイナミズムを堪能できました.上のHMVのサイトで冒頭が視聴できますから、ぜひ聴いてみてください.

来月は常任指揮者のフィッシャーの指揮で、ストラヴィンスキーの3回目.6月の定期同様、ついて行くのも大変な曲です.また、フルート・ソロの入った曲を2曲取り上げ、ベルリン・フィルの首席奏者であるエマニエル・パユが登場します.9月のデュメイ同様、よく来てくれたなと思います.今シーズンで一番期待している演奏会です.

オペラの映画

ちょっと前にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称MET)の「ライブ・ビューイング」という企画を紹介しましたが、先週の土曜日から始まりました.以後断続的に来年5月まで、9演目が上演されます.(ここが今年の紹介用のHPです
東海地方では名古屋のミッドランドシネマのみの上演で、普通の映画よりは少し高くて¥3,500(3回綴りの回数券なら¥3,000)です.

第1回目は、METの今シーズンのオープニングである
プッチーニ・トスカ
で、明日まで上演されます.

プッチーニは、昨年が生誕150年ということで新聞やテレビで取り上げられました(
ここここもみてください).彼の代表作の1つが今回の「トスカ」.タイトルロールの女性・トスカの恋愛と悲劇の物語(といっても、わずか2日間に起きる顛末です)で、舞台は19世紀初頭のローマ.ちょうどナポレオンがローマに侵攻してくる時期で、劇中でもローマ(ここでは絶対王政的な悪政を敷いている)がナポレオン軍に敗れるという連絡が入るシーンがあります.
主人公の恋人であるカヴァラドッシは画家であると同時にローマの絶対王政に対抗する共和派.当然権力側ににらまれていています.こうした背景が悲劇を生んでいくというストーリーです.

トスカを演じたのは、昨年R.シュトラウスの「サロメ」でタイトルロールを歌ったカリタ・マッテラ.サロメはここを参考にしてください(
ここが昨年のコメント
今回も映像だったので特に拍手もなく聴いてしまいましたが、生だったら涙ぼろぼろだったかもしれません.

トスカはやや嫉妬深いのですが、非常に情熱的な女性.カリタ・マッテラの素顔はわかりませんが、「サロメ」といい、彼女には合っているのかもしれません.ちょうどカルメン(来年上演されます)のように赤と黒の衣装が似合っていました.

有名なアリアは、トスカ(ソプラノ)の「歌に生き、愛に生き」とカヴァラドッシ(テノール)の「星は光ぬ」.どちらも非常に有名な曲なので、何処かで聴いたことがあるのではないかと思います.Youtubeで「トスカ」を検索すると、この2曲がたくさんヒットしますので、ぜひ一度聴いてみてください.

次回のMETライブビューイングは、28日からで、ヴェルディの「アイーダ」、この中で使われている「凱旋行進曲」はサッカーの試合などでも時々流れています.知っている人も多いのではないでしょうか.