名フィル定期(第384回)

最近、やや老眼が進行したのか、家のパソコンの画面を見るのがきつく、ずっとサボっていました(;_; 
ですが、いよいよ《芸術の秋》.コンサートの多くなり、毎週何かあるので、すこしずつでも紹介していこうと思います.

今月は既に名フィルのコンサートに2回行きましたが、直近から.
昨日(10月22日)は名フィル第384回定期演奏会.テーマは《狂気の愛》
プログラムは
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ショーソン:愛と海の詩
シャスラン:歌劇『嵐が丘』(抜粋)〈日本初演〉
ビゼー:歌劇『カルメン』組曲
指揮:フレデリック・シャスラン
ソプラノ:砂川涼子(ショーソンとシャスラン)
でした.

ビゼーの『カルメン』は世界で最も上演機会の多いオペラの一つで、『ハバネラ』や『闘牛士の歌』あるいは前奏曲や間奏曲などは必ずどこかで耳にしたことのあるメロディーだと思います.興味のある方は、Youtubeなどを探してみてください.

さて、曲順でいうと最後にくる『カルメン』がメインなのですが、聴いた印象では、休憩後に演奏された『嵐が丘』がメインで、『カルメン』は耳になじんだメロディーばかりということもありますが、長いアンコールを聴いたような感じでした.

今回の指揮者シャスランがフランス人ということもあり、全曲フランスものでした.
1曲目の作曲者ラヴェルは『ボレロ』などで有名な作曲家.「パヴァーヌ」というのは宮廷で親しまれた舞曲だそうですが、テンポが遅い、よく言えば優雅、やや形式張った踊りを想像させます.この曲はもともとピアノのために作曲されたそうですが、管弦楽の魔術師・ラヴェルらしく、自分ですばらしいオーケストラ曲に編曲しています.題名の「亡き王女」に意味はなく、フランス語の音「Pavane pour une infante défunte」に惹かれてから名付けたそうです.
ホルンのソロで始まるややけだるい雰囲気の曲です.オケの編成も小さいため、それぞれの楽器の音色や全体のハーモニーを楽しむことができます.たぶんいったん好きになるとやみつきにさせてしまうタイプの曲ではないでしょうか?

今回は2曲目と3曲目が声楽附き.いずれも口ずさめるというタイプの曲ではないですが、耳に優しいというか、歌詞の意味がわからなくとも聴いていてうっとりさせてくれる曲でした.
ショーソンは19世紀後半の作曲家.44歳でなくなったようで、彼の前後のフランクやドビュッシーに比べるとネームヴァリューに劣りますが、今回の歌曲は彼の代表作.プログラムの解説には「希望、幸福、情熱、そして失恋による苦しみや悲しみなど、心の変化が余情的かつ官能的に表現されている」とありましたが、まさにその通り.BGMとしてずっとかけていたいような曲です.

3曲目は、今回の指揮者であるシャスラン自身の作曲によるオペラ(まだ未完成らしいですが)の抜粋.イギリスのエミリー・ブロンテという作家の小説を題材にしたオペラで、これまでに映画やミュージカルにもなっているようです.訳本を買って読みかけたのですが、訳があまりにも下手で挫折し、ストーリーを紹介できません(;。;) しかし、昨日は作曲者自らの指揮だけに、オケを思う存分動かしているという演奏でした.

芸文のコンサートホールは国内でも指折りの音響を誇っていますが、残念ながら声の響きが今ひとつ.今回もせっかくのいい演奏であるにもかかわらず、私の席では歌声が十分にきこえず、ちょっともったいない思いをしました.そのかわり楽器の音はよく響き、最後の『カルメン』ではフルートやトランペットのソロも堪能できました.