ソフィア・コッポラの《椿姫》

 先週土曜日からイタリア・ローマ歌劇場で上演されたヴェルディの歌劇《椿姫(la Traviata;ラ・トラヴィアータ)》の録画が映画館で上映されています。

 これまでに紹介したニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の《ライブビューイング》とは少し違い、ナビゲーターはつかず、バックステージ・ツアーもありませんが、イタリアでは評判になった舞台だそうです。

 HPここ:http://sofia-tsubaki.jpです。名古屋・港区のTOHOシネマズ 名古屋ベイシティで10月20日まで、名古屋・新栄の名演小劇場で10月21日から2週間の間上映されます。

 評判の最大の理由は演出を映画監督であるソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)がつとめ、出演者の衣装をファッションデザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)がデザインしたこと。

 コッポラ監督の映画は見たことはありませんが、《ゴッドファーザー》のフランシス・コッポラ監督のお嬢さんです。《ゴッドファーザーⅢ》では主役であるドン・コルレオーネ(アル・パチーノ)の娘役を演じた女優を覚えているでしょうか? 監督は自分の娘を抜擢したのですが、エンディングでドン・コルレオーネの身代わりのように殺されてしまいます。映画監督としてのキャリアを順調に積んでいるようですが、今回の《椿姫》はオペラでは初演出で注目され、成功を収めました。

 また、ヴァレンティノはご存じの方も多いでしょう。私は全く縁がありませんが、有名なブランドだそうです。終演後のカーテンコールの最後に登場して客席から大きな拍手を送られていました。

 ローマ歌劇場は3年前に行ったことがあり、正面玄関の雰囲気や豪華な客席が印象に残っています。しかし、イタリアの首都にありながら、ミラノやボローニャ、ヴェネチアやトリノに後れをとり、国内での評価はそれほど高くありません。事前のチラシでも演出やデザインのことばかりを注目するコメントが掲載されていたため、演奏にはあまり期待をしておりませんでした。出演は
ヴィオレッタ・ヴァレリー:フランチェスカ・ドット(ソプラノ・Francesca Dotto)
アルフレード・ジェルモン:アントニオ・ポーリ(バリトン・Antonio Poli)
ジョルジョ・ジェルモン:ロベルト・フロンターリ(バリトン・Roberto Frontali)
指揮:ヤデル・ビニャミーニ
演奏:ローマ歌劇場管弦楽団と合唱団

演出や舞台美術はオーソドックスで、あまりゴテゴテしすぎず、歌手に注意を向けていることができます。作品の時代である19世紀半ばのパリの社交界(裏の社交界)をイメージしたのでしょうか、豪華な衣装は見ごたえがありました。演出家が女性だからでしょうか、タイトルロールである椿姫=ヴィオレッタが常に中心で、初めての人にも非常にわかりやすいとおっもいます。
オーケストラの演奏も、歌手ごとに色を変え、メリハリのあるいい演奏でした。指揮者も若手で、他では聴いたことはありませんが、うまくまとめ上げていて将来が期待されます。

オペラは総合芸術と言われます。音楽、物語(文学性)、衣装や舞台美術、舞踊(このオペラでは途中でバレエのシーンがあります)と、全てが素晴らしく、まさに総合芸術を堪能できる部隊です。

《椿姫》はストーリーがわかりやすく、オペラの醍醐味を堪能できる作品です。上演頻度も高く、これまでにも何度か取り上げてきました。あらすじも含めて、参考にして下さい。昨年のMETライブビューイングはここ、5年前のMETライブビューイングはここここ、また、ここここもみてください。

 《プリティーウーマン》という映画をご存じの方も多いでしょう。《椿姫》のパロディです。ここに少し感想を書きました。