中津川・苗木城

 時間がたっていますが、7月末に岐阜県中津川市の苗木城へ行ってきました。『百名城』に続く『俗・百名城』に登録されおり、麓の博物館を始め、よく整備されています。それほど有名ではないだけに、観光客もそれほど多くはありませんが、外国人家族なども見かけました。

 江戸時代には苗木藩という一万石の最小領地を抱える城持ち大名・遠山氏の居城の跡。城主一族は『遠山の金さん』で知られる遠山影元の同族です。

 確かに規模は小さいのですが、木曽川を望む高台という要害の地につくられた城です。「立派な天守」はなかったようですが、残された石垣からは、長い時代を経て形作られていった様子がうかがえます。
IMG_4932
城郭の周辺から中心部への通路には、比較的初期の石垣でが組まれています。

IMG_4950
おそらく最も中心的な建物や櫓などがあった部分。最初の写真の部分に比べると、少し後の時代に作られた石垣です。

IMG_4944
最上部につくられたであろう櫓が再現されていますが、まさに絶景です。

ジャズつながりで

 名フィルの定期ではジャズの影響を受けた曲が並びましたが、先月末から「Nagoya Jazz Week」というイベントが行われていました。主に名古屋市内のホールで、ほぼ 毎日何らかのジャズのコンサートがあったようです。渡辺貞夫や山下洋輔など国内の有名な演奏家をはじめ、海外からも招聘したようです。
 
 先週の半ばにはジャズとクラシックのコラボと言うことでしょう、
《国府弘子&川井郁子プレミアムコンサート》
が名古屋・伏見の電気文化会館ザ・コンサートホールでありました。知り合いのつてで、無料招待券が手に入ったので行ってきました。先週は私にとっても「ジャズ・ウィーク」でした。

 ジャズのコンサートは初めてですが、形式はいつも聴きに行くクラシックのコンサートとそれほど差はありませんでしたが、やはりとお客さんの雰囲気が違いました。曲が終わる前に「ブラボー!」と声をかけてもいいようですし。

 ジャズのコンサートではあらかじめプログラムを決めて一覧を配布することはないようですが、この日に演奏されたのは、
エルガー:愛の挨拶
ピアソラ:リベルタンゴ
チャイコフスキー:バレエ音楽《白鳥の湖》から「情景」
モンティ:チャールダーシュ
川井郁子:ユーチューン
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
バッハ:《無伴奏バイオリン・パルティータ》から「ガボット」
映画音楽メドレー:「ひまわり」、「魅惑のワルツ」、「太陽がいっぱい」、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「慕情」
モーツァルト:きらきら星
ロドリーゴ:『アランフェス協奏曲』より第2楽章
ただし、バッハ以外はいずれも演奏者たちがジャズ風にアレンジしたものです。
そのほかに、題名をはっきりとメモすることができなかった川井郁子作曲作品が2曲演奏されままました。

 国府弘子はジャズ・ピアニストとして有名な方のようですね。独自にバンドを組んでいて、各地でコンサートをやられているようです。また、川井郁子は、オーケストラと協奏曲を共演する機会はあまりないようですが、他のジャンルの演奏家とコンサートを行ったり、作曲活動などが中心のようです。毎週金曜日の夜にテレビ愛知で放送される「100年の音楽」という番組に出演していて、テレビやラジオを通じて音楽を広める活動には熱心です。また、大阪音楽大学で後進の指導にも当たっているようです。演奏スタイルも優美で、惹かれる方も多いでしょう。

名フィル定期(第460回)《不安の時代》と《ウエスト・サイド・ストーリー》

 名フィルの9月定期は、9月7,8日に行われましたが、今回の定期は20世紀を代表する指揮者、作曲家、そして音楽教育家でもあったレナード・バーンスタインの生誕100周年を記念するプログラムでした。
いずれもバーンスタインの作曲で
  スラヴァ!(政治的序曲)
  ミュージカル『ウエスト・サイド物語』からのシンフォニック・ダンス
  交響曲第2番『不安の時代』
の3曲、
  ピアノ独奏:小曽根真
  指揮:川瀬賢太郎
でした。

 プログラムでお気づきのように、バーンスタインはミュージカル映画『ウエスト・サイド物語』の音楽を作曲しました。彼はアメリカ生まれで、音楽家を志すものの多くと異なり、ヨーロッパに留学することもなくアメリカで学び続け、活動しました。そのためか、クラシック音楽の中にジャズやラテンの要素を取り込んだ音楽を作曲しました。今回取り上げられた3曲も、オーケストラのコンサートで取り上げられていますが、いい演奏をするには『ノリ』が必要です。

 1曲目は1977年初演。タイトルの「スラヴァ」は、20世紀を代表するチェリストだったムスティスラフ・ロストロポーヴィチの愛称だそうで、彼に捧げられた曲です。ロストロポーヴィチはソ連を代表する音楽家でもありましたが、政府と対立してアメリカに亡命して活躍していました。マーチ風の軽やかな曲調の中で、副題にあるような政治家のスピーチの録音が挟み込まれるなど、風変わりな曲です。1曲目だからなのか、始まりはノリが悪いように感じましたが、途中のドラムのソロ当たりからだんだん雰囲気がよくなってきました。

 『ウエスト・サイド物語』は、映画を見たことがなくても音楽もどこかでは耳にしたことがあるのではないでしょうか? おそらくバーンスタイが作曲した曲の中でもっともよく演奏されているでしょう。ミュージカルのストーリーはシェークスピアの『ロメオとジュリエット』のパスティーシュ。「シンフォニック・ダンス」はミュージカルの音楽の中から9曲をメドレーにしたものです。通常のオーケストラの編成の他に、サクソフォン、多種類の打楽器、ハープ、ピアノ、チェレスタが加わる大編成、ステージ全体が踊っているようでした。

 全体としては管楽器と打楽器が目立ちますが、弦楽器もリズムを刻んだりソロがあったりとはたらきは多彩です。大勢で「ノリ」をつくるには指揮者の役割も重要です。今回指揮した川瀬は3年前から「名フィル指揮者」として、1回の定期演奏会の他、年に数回名フィルを指揮しています。踊るような指揮姿が印象的ですが、若々しくも見事な棒さばきでした。

 バーンスタイン本人の指揮による演奏がここにあります(https://www.youtube.com/watch?v=X8qM1ZCoQls) 

 3曲目のメインは、アメリカの詩人でW.H.オーデンという詩人が1947年に発表した同名の長編詩にインスパイアされて作曲されています。邦訳も出版されているのですが、現在絶版。大学の図書にはあるようですが、残念ながら予習することができませんでした。第二次大戦中のニューヨークで若者が語り合っている様子を叙事的に描いたもののようです。この曲は「交響曲」と題されていますが、ピアノ・ソロが大きなウエイトを占めていて、ピアノ協奏曲といってもいいでしょう。全体にはジャズ的な要素がふんだんに取り込まれていることもあり、日本を代表するジャズピアニストで、クラシック音楽の演奏にも定評のある小曽根真をソリストして招いての演奏。

 難易度の高い曲だと思いますが、小曽根の指が宙を舞うように動いていました。サイン会の時にご本人もおっしゃっていましたが、演奏頻度が低い曲のため暗譜しているのもたいへんとか。カデンツァはたぶんオリジナルだと思いますが、ジャズのテイストを生かしながらオケにうまくつないでいました。
 バーンスタイン指揮の演奏がここにあります。(https://www.youtube.com/watch?v=KIrtI59mfa0)

 最後にソリストアンコールだけでなく、オーケストラアンコールもありました。シンフォニック・ダンスの中の「マンボ」。途中で、オーケストラのメンバーが「マンボ!」と2回叫びます。この部分を会場全員で声をそろえて演奏に参加しました。ピアノパートは小曽根真が弾いてくれるというサービス付き。オーケストラの演奏会でもこんなこともあるんです。

 終演後のサイン会は長蛇の列でしたが、最後まで待ったら一緒に写真を撮ってくれました。
IMG_5161
 右が小曽根真、左が指揮者の川瀬賢太郎です。


 来月は12,13日で、マーラー作曲の交響曲第8番、通称「千人の交響曲」と呼ばれる大編成(たぶん総勢400人以上)の曲です。