英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシリーズ:ロイヤル・オペラ《椿姫》

 メトロポリタン歌劇場のライブ・ビューイングを何度も紹介していますが、ロンドンやパリの歌劇場でも同様の企画をやっています。パリ・オペラ座は日本では上映していないようですが、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス(王立歌劇場、通称コヴェント・ガーデン)はこの数年、オペラとバレエを半々ずつくらいで合計10作品ほどを映画館上映しています。

 名古屋では、港区のTOHOナゴヤベイでそれぞれ1週間の上映です。たまに観に行っていますが、今回(4月5日から)は2月のMETと同じくヴェルディ作曲の《椿姫》を上映しています。目当ては父親役で歌うプラシド・ドミンゴです。

 《三大テノール》というのを覚えているでしょうか。ルチアーノ・パヴァロッティ、ホセ・カレーラス、おしsてプラシド・ドミンゴの、当時世界のトップテノール歌手だった3人が世界中でコンサートをやっていました。日本でも、確か東京ドームでやったのではないでしょうか。くらっしく音楽あるいはオペラをなじみやすくしてくれた功績は大きいと思います。

 パヴァロッティは亡くなり、カレーラスの事実上引退、ドミンゴだけが現役としてがんばっています。声楽界の巨匠中の巨匠です。METでも毎年歌っていますので、ライブ・ビューイングではよく見ています。ロイヤル・オペラでも頻繁に歌っているようです。

 とは言っても、すでに70歳を超え、高い音は出なくなっているのでしょう。元々がバリトン出身だったということもあり、この10年ほどはバリトンに転向して成功しています。バリトン役としては外せない《椿姫》のジョルジョ・ジェルモン(父親役)を演じるということで、見逃せません。

 主役ではないからか、これまで観てきたような絶対的な存在感はありませんでしたが、彼がいると舞台というか画面が締まります。

 おそらくCDで聴くのも、映像を見るのも最も機会が多いオペラが《椿姫》でしょう。いろんな演奏を観聴きしてきましたが、今回は主役のヴィオレッタ役を歌ったエルモネラ・ヤオの迫真の演技に圧倒されました。いろんな演奏家を知っているつもりでしたが、今回初めて聴いた歌手でした。ただ驚くばかり。お美しい方ですが、やや頬がこけたような顔立ちのため、結核をやんでいる想定のヴィオレッタそのもの。「役が憑依する」といいますが、本当ですね。不勉強を思い知りました。

 このロイヤル・オペラ・ハウスシリーズは、5月にも聴きに行く予定です。今回と同じヴェルディが作曲した《運命の力》というオペラです。主役を、アンナ・ネトレプコとヨナス・カウフマンという、現代を代表する2大歌手が歌います。