NHK交響楽団演奏会

 1月26日に、名古屋・栄の愛知県芸術劇場コンサートホールで、NHK交響楽団(N響)の演奏会がありました。NHK交響楽団は名称の通り、NHKがスポンサーとなっているオーケストラで、名実ともに日本一のおけで、年に1回、この時期に名古屋でコンサートがあります。今回は、
   ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
   リヒャルト・シュトラウス:四つの最後の歌
   リヒャルト・シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』
   ソプラノ独唱:クリスティーヌ・オポライス
   指揮:ファビオ・ルイージ
で、行われました。

 お目当ては2曲目のソロを歌うオポライスです。METライブビューイングで何度か聴いているので、これを逃す手はないと聴きに行きました。もちろん、いつもテレビでしか観られないN響を生で体験できる機会でもあり、ルイージが指揮をするというのも大きな理由です。

 プログラムは、音楽史的には19世紀から20世紀前半のドイツロマン派の始まりを告げるウェーバーと、締めくくりと言っていいリヒャルト・シュトラウスで、特にルイージが得意とする後期ロマン派のシュトラウスを中心に組まれています。

 四つの最後の歌はヘルマン・ヘッセなどの詩に曲をつけた4曲からなります。「最後の」と題されているのは、シュトラウスの文字通り最後の作品、死の1年前に作曲されているからです。シュトラウスの晩年は決して恵まれた環境ではなかったようです。しかし、決して明かるい曲ではありませんが、 じっくりと心に染み渡るようなメロディーです。

 音域的にはソプラノの曲ですが、求められるのは決して華やかな声質ではなく、しっとりとした艶のある声がいいようです。オポライスはハリはありながらも、やや陰のあるような声で全曲を歌いました。もちろん、音量を求められる部分もあり大きく聞こえてきますが、むしろ迫力に圧倒されました。

 後半の『英雄の生涯』はシュトラウス壮年期の傑作です。大編成のオーケストラによる英雄の一代記を描いています。ベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』がモデルらしいですが、全体が6つの部分からなり、それぞれにテーマが与えられています。順に、
英雄、英雄の敵、英雄の伴侶、英雄の戦い、英雄の業績、英雄の引退と死
です。それぞれに印象的なメロディーがあり、英雄自身や伴侶などを表すとともに、シュトラウス自身のそれまでの作品のモチーフが業績として描かれます。最後は、伴侶に看取られながら静かに最後を迎えて、曲を閉じます。

 約45分の曲ですが、弦楽器の響き、管楽器の音色とアンサンブルなど、どれをとっても素晴らしい演奏でした。正直言って、名フィルに比べると一日以上の長があると感じました。

 来月の名フィル定期でも同じく『英雄の生涯』が演奏されます。優劣をつけるものではありませんが、迫ってくるものの大きさには下がるような気がします。