5月生まれの作曲家2:チャイコフスキー

 『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『眠れる森の美女』。チャイコフスキーの三大バレエ音楽であり、おそらく、バレエ音楽全体の中でも三大曲といって良いでしょう。チャイコフスキーの作品はオーケストラの音楽が中心ですが、情緒的で心にストレートに訴える音楽には誰しも魅了されます。

 ピュートル・イリイッチ・チャイコフスキーは1840年5月7日に生まれました。技術者の父を持ち、比較的裕福な家庭だったようです。当初役人を目指して法科大学に入り法務省に就職しますが、音楽への情熱が勝り、ペテルブルク音楽院に入学します。

 当時は帝政ロシアの時代で、首都であるペテルブルクでは十分に活躍できず、モスクワ音楽院で教鞭をとりながら作曲活動を始めます。

 バレエ音楽は、コンサートの用の組曲にも編まれており、オーケストラのコンサートでもよく演奏されます。しかし、なんといっても6曲の交響曲、中でも第4、5、6番はとりわけ有名です。第6番は「悲愴」とのタイトルもつけられ、やや異質な構成ではありますが、古今の交響曲の中でも名曲中の名曲です。また、協奏曲ではピアノ協奏曲第1番とヴァイオリン協奏曲(1曲しかつくっていない)も「超」のつくほどの名曲で、非常に頻繁に演奏され私も何度も生で聞いています。

 チャイコフスキーの音楽の特徴は、流れるようなメロディーとその一つ一つがロマンチシズムに溢れていること。また、曲の盛り上げどころ、あるいは泣かせどころなど、いわばツボを心得ているところでしょうか。スコア(オーケストラ用の全楽器のパートが記された楽譜)を見ると、作りは比較的単純なように見えます。絶妙な組み合わせが聴くものを酔わせるのでしょうか。

 上に挙げた曲は必ずどこかで耳にしているはずですが、どの曲でも良いのでぜひ意識して聞いて欲しいものです。

 チャイコフスキー自身はオペラ作品で名を成したかったようで、事実、10曲以上ものオペラを作曲しています。しかし、評価され、現在でも上演されるのは『エフゲニー・オネーギン』と『スペードの女王』の2作品くらいでしょうか。私もこれら以外は題名も知りません。

 あまり知られていな曲でおすすめは「弦楽セレナーデ」とピアノ曲集『四季』です。「弦楽セレナーデ」は、その名の通り弦楽器だけの編成による4楽章構成の曲です。冒頭はCMのBGMにも使われたことがあるので覚えている人も多いでしょう。また、『四季』は各月ごとにテーマを決めて作られた12曲からなっていて、中でも6月「舟唄」が有名です。リサイタルのアンコールなどでもよく演奏されますが、ロマンチスト・チャイコフスキーの面目躍如といった佳作です。

 亡くなったのは1893年11月6日。交響曲第6番初演の数日後で、入水自殺ともコレラに罹患したとも言われていますが、正確なところはわかっていません。