METライブビューイング《ワルキューレ》

 今シーズンのライブビューイングも第9作目で、ワーグナーの作品が取り上げられました。
ワーグナーは19世紀のドイツの作曲家で、数局の管弦楽曲を除くと、現在演奏されるのはオペラだけです。しかし、その音楽には惹きつけられる人が多いのか、わずか10曲程度のオペラは世界中で演奏されています。中でも《ニーベルングの指環》と題された4つのオペラからなる連作は生涯に一度は見たいと思っているファンは多いでしょう。

 今回上映された《ワルキューレ》はその第2作目に当たる作品です。合唱はなく、少ない登場人物たちのソロの連続ですが、全3幕で実演奏時間4時間近い大作です。幕間の休憩は、バックステージインタビューを含めて30分ずつ、合わせて5時間近い公演です。

 物語は神々のリーダーであるヴォータンと人間との間に生まれた双子の兄妹であるジークムントとジークリンデが出会うところから始まります。二人は生まれてすぐに生き別れとなり、ジークリンデは粗暴なフンディングと意に沿わず結婚させらていました。ジークムントとジークリンデはフンディン区から逃れて、禁断の愛に浸ります。

タイトルの「ワルキューレ」とは、ヴォータンが本妻ではない女神エルダとの間に産まれた9人の勇敢な戦士のこと。ただし、すべて女性。中でもヴォータンのお気に入りがブリュンリルデ。

 フンディングは逃げたジークムントとジークリンデに女敵打ちに出ます。ヴォータンは一旦ジークムントを助けようとしますが、筋を通してフンディングを助けるように、ブリュンヒルデに支持します。しかし、ブリュンヒルデはジークムントを助けようとしヴォータンの怒りを買います。

 結局、ジークムントはフンディングに敗れ、ブリュンリルデはジークリンデをつれて、姉妹たちのところへ逃げます。ここでの音楽が「ワルキューレの騎行」として有名です。映画《地獄の黙示録》で使われたので、聴いたことがあるでしょう。

 最後はブリュンリルデがヴォータンの怒りを受けて岩山に閉じ込められるところで物語は終わります。続きは第三作《ジークフリート》で語られます。

 配役は、
   主役のブリュンヒルデ:クリスティーン・ガーキー(ソプラノ)
   ジークリンデ:エヴァ・マリア=ヴェストブルック(ソプラノ)
   ジークムント:スチュアート・スケルトン(テノール)
   ヴォータン:グリア・グリムスリー(バス・バリトン)
   フンディング:ギュンター・グロイスベック(バス)
   ヴォータンの妻:フリッカ(メゾソプラノ)
   指揮:フィリップ・ジョルダン

 主役はブリュンリルデですが、第1幕はジークムントとジークリンデ、第2、3幕がブリュンリルデとヴォータンのそれぞれの二重唱が聴きものです。今回はいずれも重量級の声を持つ歌手たちによる熱唱で、聴きごたえ十分でした。

 次回、今シーズンの最終上演は6月7日から、プーランクの《カルメル会修道女の対話》です。