名フィル定期

しばらくサボっておりましたが、先月(第380回)と先々月(第381回)の定期を簡単に紹介します.

5月は
『知ることと愛すること』と題して
ワーグナー:歌劇『ローエングリン』より第3幕への前奏曲、第1幕への前奏曲
シェーンベルク:浄められた夜(弦楽合奏版)
シューマン:交響曲第2番
指揮:マックス・ポンマー
でした.

指揮者はドイツ人で、もちろんドイツ音楽がお得意.プログラムもそれにあわせてかなり渋いドイツものが並んでいます.
ワーグナーの歌劇は中世の恋愛劇に材をとったもの.シェーンベルクは20世紀の作曲家で、無調音楽の創始者.リヒャルト・デーメルという詩人の同名の詩にインスパイアされて作曲されています.不義の子を身ごもった女性の複雑な心境を描いていて、訳詞を読んでも私にはピンと来ませんでした.
シューマンは4つの交響曲を書いていますが、今回の第2番は、その中でも最も演奏頻度が低い曲でしょう.

6月は
『死者に絶えざる安息を』と題して
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)
アデス:ヴァイオリン協奏曲『同心気道』
シベリウス:交響曲第2番
指揮:ダグラス・ボイド、ヴァイオリン独奏:松山冴花
でした.

今回のテーマに最も即しているのが、冒頭のブリテンの曲でしょう.「両親の思い出に」とスコアに書かれているそうですが、もともとは、戦前の日本政府が「紀元2600年」記念の祝祭音楽として委嘱したもの.これに対してブリテンはあえて「レクイエム」、つまり死者を追悼する曲を作りました.軍国主義にひた走る当時の日本では演奏されることはなかったようです.ブリテンは、当時のイギリスで兵役義務を拒否した平和主義者.戦後も反戦的な内容の音楽をつくってもいます.『レクイエム』は、こうしたブリテンの強烈な皮肉だったのかもしれません.
曲は3つの楽章からなっていて、ブリテンらしい音使いが随所にありますが、メロディーやリズムに非常に強烈な気持ちを感じます.

メインのシベリウスは、彼も7つの交響曲の中で最も有名な第2番.テーマとの関わりで曲の意味を考えると、第2楽章がドン・ファン伝説に基づいた「死」を暗示するものとして書かれています.
名フィルでこの曲を聴くのは少なくとも2回目.前回の演奏も非常にすばらしかったのですが、今回も見事でした.前回は、小林研一郎の指揮で神尾真由子が同じくシベリウスのヴァイオリン協奏曲を弾いたあとでした.(神尾真由子はこの演奏会の1年後に、チャイコフスキー・コンクールで優勝しました)
フィンランドの森や湖、あるいは冬の厳しさが頭に浮かんでくるような、名曲です.

この2回の演奏会の指揮者はそれぞれ一昨年、昨年の定期で指揮しており、快演を残しています.今後も継続してきてくれるといいのですが・・・・.

6月の演奏会の翌日、ささしまライブにある映画館で、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のオペラ公演を上映していました.これまで紹介していた、ミッドランドでやっているMETライブビューイングと同じような企画です.イギリスのグラインドボーン音楽祭という夏のイベントでの録画です.たまたまドン・ファンものが続いたのですが、このオペラでは最後に主人公であるドン・ジョヴァンニが地獄に堕ちることになっています.

さて、今日は7月定期、昨シーズンまで常任指揮者だったティエリ−・フィッシャーの指揮で、私が最も好きなオペラである『ばらの騎士』の管弦楽組曲版です.