ファゴット・トリオ・ザルツブルク コンサート

 皆さんは「ファゴット;fagott(英語ではBassoon;バスーン)」という楽器をご存じでしょうか? オーケストラでは木管楽器の後列、普通は客席から見て右側にいる、奏者の頭の上まで突き出たような楽器です。楽譜は通常ヘ音記号で書かれる、木管楽器で最低音部を受け持ちます。吹奏楽では、かなり規模の大きな編成の学校でないとないかもしれません。かなりマイナーな楽器です。

 大学時代にオーケストラで吹いていて、残念ながら就職後は機会がありませんが、常に耳が向きます。ファゴットだけのアンサンブルのコンサートはほとんどないだけに、またとない機会でした。

 5月26日に、名古屋の熱田文化小劇場で、オーストリア・ザルツブルクのザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団のファゴット奏者達によるアンサンブルのコンサートがありました。マネージメント会社のメルマガの登録者対象の無料招待に応募したら、幸い当選。大学からの地下鉄往復分で、十分に堪能しました。

 プログラムは
モーツァルト:ディヴェルティメント第4番変ロ長調
バッハ/レヒトマン選曲:オルガン協奏曲第2番イ短調
ロッシーニ/ゲバウアー編曲:歌曲『セビリアの理髪師』から4つのアリア
ハイドン/アンドレア編曲:ディヴェルティメントニ長調
モーツァルト:ファゴットとチェロのためのソナタ
ピアソラ/ジャクソン編曲:タンゴ組曲
アンコール:ガーシュウィン・メドレー

 ファゴット:黒木綾子、フィリップ・トゥッツァー、リッカルド・テルツォ
賛助出演 ファゴット:野村和代、パーカッション:西田尚史

 曲によって二重奏から四重奏と幅広い選曲でしたが、最後のタンゴにはパーカッションも加わっての、多彩なプログラムでした。楽器を自在に操るテクニックとともに、いつも一緒にやっているもの同士の阿吽の呼吸、見事というほかありませんでした。オーケストラの楽器の中で、もっともにとの声に近い音色といわれることがありますが、誰が聴いても自然に耳に入ってくる音色。とは言っても、曲によって少しずつ色が異なり、そこが演奏の解釈なのでしょう。

 5曲目の二重奏も、ファゴット二人によるもの。この曲はもともとアマチュアの演奏家のためにつくられたということもあり、私も学生時代にやったことがあります。聴いていると自然に楽譜が頭に浮び、自分と比較するのがまちがっていますが、自由自在とはこういう演奏をいうのかと圧倒されました。

 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団は、毎年8月にザルツブルクで行われる「ザルツブルク音楽祭」という、クラシック音楽の世界ではおそらく世界で最も有名な音楽祭(約1ヶ月にわたって、多くのコンサートが開催されます)のホストオーケストラです。もちろん実力も折り紙付き。今回演奏された黒木さんを含めて、日本人奏者も何人かいるはずです。