名フィル定期 第442回 

 今月の定期演奏会は先週末(1月13,14日)に行われ、プログラムは
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調
フランク:交響曲 ニ短調
チェロ独奏:山崎伸子
指揮:円光寺雅彦
でした。

 今回の指揮者・円光寺とソリスト・山崎はご夫婦です。5年前にもエルガーの協奏曲を協演されています(ここで紹介しています)。

 今回、前半に演奏されたドヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェロ協奏曲の中で最も有名な曲です。チェロの超絶技巧がちりばめられ、聴き所満載です。ドヴォルザークらしい、ロマンティックで耳に残るメロディーもたくさんあり、親しみやすさも抜群です。

 山崎のチェロは決してテクニックをひけらかすのではなく、しっとり優しく胸にしみこむような演奏でした。オケも(指揮者もというべきか)、それを支えながら一緒になってドヴォルザークの世界を表現してくれました。

 木管楽器のアンサンブルは、ややここの楽器の音が際立ちすぎかと思いましたが、その分、演奏者の個性がよく分かりました。弦楽器は舞台の床を響かせたような、かなりしっかりした音がしていました。

 休憩後はメインのフランク。指揮者・円光寺の得意な曲だそうです。フランスの作曲家ですが、このように交響曲を作曲する当たりはドイツ的です。必ずしも有名な曲ではありませんが、いくつか印象的なメロディーがあり、一度聴くと耳に残ります。

 作曲家晩年の作品だけに、曲の構成は非の打ち所なく、第1楽章に出てくる主題(中心になるメロディー)が後半に入っても繰り返されながら、全体が展開していきます。短いモチーフを積み重ねるというのとは違いますが、考え抜かれた曲作りです。

 円光寺は非常に暖かい音をつくる指揮者で、いつも聴き終わってほっとするような気分になれる演奏をしてくれます。今回は得意曲だけに力が入ったのか、力んでいるようなところがありましたが、いつでも聴きたくなるような安心できる演奏でした。

 ところで、名フィルの定期演奏会では開演前にホールのホワイエで15分ほどの「ロビー・コンサート」が行われます。小さなアンサンブル形式の演奏を、団員の方の曲目紹介とともに聴かせてくれます。楽器の音や演奏している様子を間近で見聴きすることができます。管楽器はもとより、弦楽器奏者でも息づかいまで聴けて、毎回楽しみにしています。ウィーン・フィルの「ニュー・イヤー・コンサート」の向こうを張ったわけでもないでしょうが、今回は「新年」ということもあり、楽しいウィンナー・ワルツでした。

 来月は、若手指揮者・川瀬賢太郎の棒で、旧ソ連時代の作曲家3人、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、プロコフィエフの曲が取り上げられます。