イタリアでのコンサート

 昨年末に10日間ほどイタリアに旅行してきました。ミラノに入り、ボローニャ、フィレンツェ、ローマと巡り、4回のコンサートに行くことができました。今回の旅行のテーマは「ルネサンスの歴史と芸術を堪能する」ことだったのですが、やっぱり音楽ははずせません。本場のオペラを堪能するというわけにはいきませんでしたが、いずれも普段の音楽生活にはない貴重な体験でした。

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月21日 ミラノ・スカラ座
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 残念ながらオペラのコンサートも聴けませんでした。同日夜にはヴェルディの《ジャンヌ・ダルク》が上演されたのですが、あまりにも高額チケットでやむなくあきらめました。今シーズンのオープニングと同じ演目です。オープニング公演をNHKが1月末に放送しましたので、それで我慢します。かわりに、隣接する「スカラ座博物館」に行ってきました。写真はスカラ座正面。外観は決して豪華ではありませんが、中は別世界です。


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月24日:フィレンツェTeatro Verdi(ヴェルディ劇場)での「クリスマスコンサート」
Orchestra della Toscana
(トスカーナ管弦楽団)によるコンサートで、プログラムは
レスピーギ:ヨハン・セバスチャン・バッハの3つのコラール
デイヴィス:A spell for Green Corn(日本語題名がありません)
ドヴォルザーク:交響曲第8番
ヴァイオリン独奏:アンドレア・タッキ
指揮:ドナート・レンゼッティ
 イタリアオペラの巨人のであるヴェルディの名を冠しているこの劇場は日本では余り知られていませんが、フィレンツェでは規模の大きな劇場です。今回聴いたオーケストラはこのヴェルディ劇場を中心に活動しているようで、フィレンツェはトスカーナ州の州都ですから、地域を代表するオーケストラのようです。オケの規模はあまり大きくなかったのですが、コンサート冒頭にオケの代表の方のスピーチに対して客席から大きな拍手がありましたので、地域に密着した活動を続けているのでしょう。


 プログラムの中でクリスマスらしいのは第1曲目のバッハ。バッハの宗教曲のメロディーを生かして、イタリアの作曲家・レスピーギがオーケストラ用にまとめたものです。2曲目はヴァイオリン独奏を伴う曲で、作曲者は現役です。典型的な現代音楽で、やや聞きにくかったのですが、ヴァイオリニストはこのオーケストラのコンサートマスターを務めている方のようで、終わった後は大拍手でした。


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 ホールは「馬蹄形」と言われるヨーロッパに多くある形で、客席はご覧のように1階平場席(アリーナと言います)と後方とサイドの桟敷席(ボックス席とも言います)から成っています。ここでは後方2階席の最前列中央の席が取れました。ほぼ満席で、地元の方が大部分のようでしたが、我々のような観光客、日本人のグループもおられました。

ドヴォルザークと言えば「新世界から」ですが、ここで演奏された交響曲第8番は「新世界からの」ほどではないにせよ、ドヴォルザークらしさがよく現れた交響曲です。郷愁を感じさせるメロディが次から次へと現れ、チェコに行ったような気分にさせてくれます。フィレンツェのクリスマス・コンサートでなぜこの曲が選ばれたのか分かりませんが、演奏後は大きな拍手が送られていました。


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月25日:フィレンツェSt Mark's English Churchでの歌劇「ラ・ボエーム」(抜粋)
 会場となったのはアルノ川南岸の小さな教会。後で知ったことですが、建物自体の歴史は1500年代にまで遡ることができるという由緒あるもので、メディチ家の宮殿の一部でもあったそうです。その後、マキャヴェッリの所有となり、美しいネオ・ルネサンス様式に改築されたとのこと。ルネサンス期のメディチ家やマキャベリと同じ空間を共有できたとは、もっとよく見ておけばよかった。

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 開演前(左)の様子を見ると、ホールの規模がよく分かります。客席は100席に満たなかったと記憶してます。終演後(右)にはおきまりの出演者勢揃いでの挨拶。歌手が目の前です。

 「ラ・ボエーム」は主要な登場人物が男性4人、女性2人必要ですが、今回は最も中心になる男性2人と女性2人にしぼり、セットもほとんどない抜粋版、本来オーケストラが演奏する部分はピアノ、さらに、ストーリーの解説を付けて約1時間ちょっとに短縮して行われました。
 ストーリーは省きますが、天井が低く奥行き、横幅もあまりない小さな教会ため歌手の声が大きく響き、圧倒されました。特に男性歌手の迫力は、他ではきっと体験できないでしょう。

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月27日:ローマ、ローマ歌劇場:バレエ「くるみ割り人形」
ローマの中心部にあるTeatro dell’Opera di Roma、首都を代表する劇場でクリスマスシーズンの定番、チャイコフスキーの傑作を、何と最前列のほぼ中央で観ました。実はバレエを生で見るのは初めて。いきなり海外で?とも思ったのですが、日程がちょうど合ったので思い切って予約しました。本当は後方の(安い)席のはずだったのですが、Webで申し込んでから1ヶ月近く何の連絡もなかったので催促してみたら、料金そのままで2グレードアップの(たぶん一番高い)席が回ってきました。お隣(最前列中央)は”I’m a chairman”とおっしゃっておられました。ローマ歌劇場のしくみは知りませんが、たぶん運営の責任者グループのメンバーの方でしょう。
バレエといえば他にも有名な劇場はたくさんあるのですが、世界のトップレベルのバレエダンサーによる演技と歌劇場附属のオーケストラによる演奏の感動は一言では言い表せません。テレビで観てもすばらしいと思いますが、自分の目の前であんなに動いているということが信じられませんでした。
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最前列中央から客席後ろを見たところです。パノラマ写真ですので形はややいびつですが、典型的な馬蹄形ホールです。写真の両端がサイドの桟敷席の最前列です。

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月29日:ローマ、All Saints Church, Main Hallでの室内楽コンサート
ローマ市街の北東部にある教会。フィレンツェで行った教会に比べると大きなホールでしたが、作られたのは19世紀の後半。コンサート会場としてよく利用されているようです。有名なスペイン広場のすぐ近く、帰り道に見てきました(工事中でしたが)。
プログラムは、ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」(全曲)、演奏はConcerto Baroccoという小さなグループです。皆さんよくご存じの「春」をはじめとするイタリア・バロック音楽を代表する名曲です。編成はヴァイオリンソロ、ヴァイオリン2パート、ヴィオラ、通奏低音(一般的にはチェロとチェンバロ)で、ソロ以外の人数は決まっていませんが、今回は各パート一人ずつ、通奏低音もチェロ一人にチェンバロパートはチェンバロ音の電子オルガンでした。各パートの音が一つづつしかないため、弦楽四重奏にソロが入っているような演奏。ちょうどバロック時代やその後のサロンでのコンサートも同様なスタイルだったのでしょう。会場は席数も100席足らず、演奏者までの距離も近く、楽器の音を手ですくい取っているようで、時間があっという間に過ぎていきました。「四季」は全部で40分ほどの曲ですので、アンコールが2曲。いずれもヴィヴァルディの同編成の曲だと思いますが、題名は分かりません。
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 ところで、このヴィヴァルディの肖像画をご存じでしょうか。下の絵をどこかで見た覚えのある方も多いと思いますが、これはボローニャにある国際音楽資料博物館(Museo internazionale e biblioteca della musica di Bologna)にあります。
 ボローニャでは歌劇場でオペラを見るつもりだったのですが、公演自体がキャンセルされてしまいかなわず。代わりというわけではありませんが、博物館を見学してきました。写真撮影は自由にできたのでヴィヴァルディを記念に。
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