名フィル定期 第446回 ベルリン・フィルのコン・マスのチャイ・コン

 今シーズン2回目、本来は5月中にあるべきだったのでしょうが、出演者の都合なのか、6月最初の週末に。テーマは《サンクトペテルブルク/ロシア革命》で、プログラムは
吉松隆:鳥は静かに…
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番二短調『1917年』
ヴァイオリン独奏:ノア・ベンディックス=バルグリー
指揮:川瀬賢太郎

 今回のハイライトは2曲目、ヴァイオリン協奏曲です。ソリストはあのベルリン・フィルハーモニーのコンサートマスターです。2014年に第1コンサートマスターに就任した、現在32歳の俊英。すらりとした長身で、まるで子ども用のヴァイオリンを持っているようでしたが、初演に先立って「演奏不可能」と断られたという難曲をいとも簡単に弾いている姿は多くの女性を魅了したのではないでしょうか。

 彼らのような超一流の演奏を聴くといつも感じることですが、楽器(声も含めて)の音の大小と強弱は決して同じではありません。今回も、楽譜ではおそらくp(ピアノ)またはpp(ピアニッシモ)であっても、弱々しい音がしているわけではなく、小さな音ではあってもすぐ近くで鳴っているように聴こえます。f(フォルテ)あるいはff(フォルテッシモ)であろう部分は、もちろん大きく聞こえますが、決して頑張って引いているわけではなく、様子は小さい音の時のかわらず。ヴァイオリンの場合に非常によくわかりますが、歌手の歌声でも全く同様です。

 チャイコフスキーは稀に見るメロディーメーカーだと思いますが、どの曲も非常に哀愁を帯びたような情感を感じる演奏がほとんどです。今回は指揮者もソリストも若いせいでしょうか、明るく軽やかな雰囲気を感じました。もちろん、随所に「ロシアの大地」を感じました。

 後半のショスタコーヴィチの交響曲第12番の表題は「ロシア革命」を表しています。ちょうど100年の節目になる今年を記念して取り上げられました。通常の交響曲の形式を踏まえ4楽章構成で、特に第1楽章と第4楽章は大音量を響かせ聴きごたえ十分でした。

 次回定期は6月30日と7月1日で、名フィル音楽監督である小泉和裕の指揮でモーツァルトとリヒャルト・シュトラウスです。ソリストは今回と同様、ベルリン・フィルの首席ホルン奏者であるシュテファン・ドールです。(詳細はここをご覧ください